特殊農法用シートとは
特殊農法用シートとは、
特定の栽培方式や栽培システムで使用することを前提として、
光環境、根域、水分・養分の供給、播種などに特定の機能を持たせた
シート、フィルム、ネット類を、このページで便宜的に分類したものです。
「特殊農法用シート」は、
農学上の統一された資材分類名ではありません。
一般的な被覆資材や
マルチとは異なり、
特定の栽培方式と組み合わせることで機能する製品を中心に紹介します。
特殊農法用シートの主な使われ方
光環境を変えるシート・ネット
特定の波長を吸収、透過、反射、変換することで、
作物に届く光の量や波長分布を変える資材があります。
光質変換フィルムやネットが代表例です。
この種の資材では、
「赤色だから光合成が増える」
と単純には判断できません。
作物に届く光合成有効放射(PAR)の量、
波長分布、設置方法、作物、栽培時期などを含めて評価する必要があります。
フィルム自体を根域として利用する栽培方式
ハイドロゲルなどの特殊な膜を利用し、
その表面に根を展開させながら水や養分を供給する方式があります。
一般的なハウス被覆フィルムではなく、
養液栽培などの栽培システムを構成する
機能性フィルムとして使用されます。
播種方法と組み合わせる専用シート
播種用テープと専用マルチを組み合わせ、
播種位置とマルチ開口部を対応させながら施工する方式があります。
この場合、
シートだけを交換しても同じ機能が得られるとは限りません。
対応する播種機、シーダーテープ、条間や株間などを含めて確認します。
根域を制限するシート
水や空気を通しながら根の貫通を抑えるシートを用いて、
根域を一定範囲に制限する栽培方法があります。
果樹などでは、
根域の大きさと灌水量を管理することで樹体の生育を調節します。
シートを敷くだけで品質が向上する資材ではありません。
根域容積、土壌・培地、排水、施肥、
灌水管理を含めた栽培設計が必要です。
特殊農法用シートを選ぶ際の注意点
製品名や農法名だけで効果を判断しないでください。
同じシートでも、
作物、地域、季節、日射条件、施設構造、
灌水方法、施肥管理などによって結果は変わります。
特に光環境を変える資材では、
遮光率だけでは性能を判断できません。
全光線透過率、PAR透過量、波長別の分光特性など、
メーカーが示している測定条件を確認します。
根域や水分移動を制御するシートでは、
透水性、通気性、遮根性だけでなく、
排水位置や灌水方法まで含めて選定します。
専用シートだけを導入しても、元の栽培方式と同じ効果が得られるとは限りません。
システム専用品の場合は、
施工方法や管理条件を含めてメーカーへ確認してください。
特殊農法用シート取り扱いメーカー・代理店
| 製造・発売元 | 製品名 | 特徴 |
|---|---|---|
| 株式会社光変換光合成促進農法 | 光変換ピンク農法(フィルム・ネット) | 光変換機能を持たせたフィルム・ネットによって作物に届く光の波長分布を変える栽培方式。生育・収量への影響は作物、季節、設置方法、透過光量、分光特性などによって変わるため、導入時はメーカーが示す試験条件や光学特性を確認する。 |
| メビオール株式会社 | アイメック®(フィルム農法) | ハイドロゲルでできた薄いフィルムを根域として利用する栽培システム。フィルムを介して水と養分を供給する。一般的な被覆フィルムではなく、給液・防水シートなどを含めた専用栽培システムとして導入する。 |
| 日本プラントシーダー株式会社 | シーダーマルチシート | 特殊な小判型の連続穴を設けたマルチシート。シーダーテープと組み合わせ、マルチ施工と播種を同時に行うシーダー農法向け。使用する播種機、シーダーテープ、栽植条件との適合確認が必要。 |
| 有限会社ハセガワ工業 | ルートラップシート | ポリエステル100%長繊維不織布を用いた根域制限栽培用シート。水・空気を通しながら根の貫通を抑える。果樹などで利用されるが、効果はシート単体ではなく、根域容積、灌水、施肥、排水を含む管理条件によって左右される。 |