積算温度とは
積算温度(せきさんおんど)とは、一定期間の温度を積み上げ、作物の発育や成熟などの進みを温度の累積として評価するための指標です。
農業では、播種、発芽、開花、着果、成熟、収穫などの時期を予測する際の参考として利用されます。
ただし、積算温度には複数の計算方法があります。
単純に日平均気温を加算する「単純積算温度」のほか、作物や生物の発育が進み始めると考えられる基準温度を設定して計算する「有効積算温度」があります。
どの計算方法や基準温度を使用するかは、作物、品種、生育段階、対象とする現象などによって異なります。
単純積算温度
単純積算温度は、一定期間の日平均気温などを順番に加算して求めます。
例えば、日平均気温が20℃、22℃、21℃の3日間であれば、単純積算温度は63℃となります。
作物の成熟や収穫時期を推定する際に利用されることがありますが、積算開始日や対象となる生育段階を統一しなければ比較することはできません。
有効積算温度
有効積算温度は、作物や昆虫などの発育が進むと考えられる基準温度を設定し、それを上回った温度分を積算する考え方です。
代表的には、次のような考え方で計算します。
有効温度 = 日平均気温 - 基準温度
基準温度以下の日については有効温度を0として扱う方法があります。
例えば、基準温度を10℃とし、日平均気温が20℃であれば、その日の有効温度は10℃となります。
ただし、実際の発育モデルでは、上限温度を設定する方法、日最高・最低気温を利用する方法、時間ごとの温度から計算する方法などもあります。
そのため、「有効積算温度」という名称だけを見て同じ計算方法だと判断してはいけません。
農業での利用
- 発芽・出芽時期の予測:播種後の温度推移から発芽や出芽の進みを予測する際に利用します。
- 開花・成熟時期の予測:作物ごとに設定された温度指標を利用し、生育ステージの進行を推定します。
- 収穫時期の判断:開花や着果などを起点として積算し、収穫適期を予測するための参考値として利用される場合があります。
- 病害虫の発生予測:対象となる昆虫などの発育零点や有効積算温度が明らかな場合、発生時期を予測する材料として利用されます。
積算温度を利用する際の注意点
積算温度は便利な指標ですが、一定の数値に到達すれば必ず同じ生育状態になるわけではありません。
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作物・品種によって基準が異なる:
異なる品種や作型へ同じ積算温度の基準をそのまま適用することはできません。 -
積算開始時点を統一する:
播種、定植、開花、着果など、どの時点から積算するかによって値は大きく変わります。 -
使用する温度データを確認する:
施設園芸では、屋外の気象観測値とハウス内温度が大きく異なる場合があります。
施設内の生育予測を目的とする場合は、目的に合った位置で測定した温度を使用します。 -
温度以外の条件も生育へ影響する:
日射量、水分、養分、着果負担、病害虫などによっても作物の生育や成熟は変化します。
積算温度だけで収穫適期や生育状態を断定することはできません。
よくある誤解
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「晴天が多ければ積算温度が増える」:
積算する対象は温度です。晴天によって気温が高くなる場合は結果として積算が進みますが、日射量そのものを積算しているわけではありません。 -
「作物ごとに決まった1つの積算温度がある」:
品種、作型、生育ステージ、計算方法などによって基準は異なります。 -
「積算温度を適温に維持する」:
積算温度は制御する環境値ではなく、それまでの温度履歴を累積した指標です。管理するのは実際の温度環境であり、積算温度はその結果として算出されます。
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