GMO(じーえむおー)

GMOとは

GMOとは、Genetically Modified Organismの略で、日本語では一般に「遺伝子組換え生物」「遺伝子改変生物」などと表現されます。

遺伝情報に人為的な改変を加える技術によって作られた生物を指す言葉で、農業分野では遺伝子組換え作物を指して「GMO」と呼ぶことが多くあります。

ただし、GMOは農作物だけを意味する言葉ではありません。
植物のほか、微生物や動物なども対象になり得ます。

また、日本のカルタヘナ法では「遺伝子組換え生物等」について法令上の定義が定められているため、日常的に使われる「GMO」という言葉と法令上の対象範囲を完全に同一と考えないことが大切です。

遺伝子組換え作物とは

農業でいう遺伝子組換え作物は、組換えDNA技術などを利用して遺伝情報を改変し、目的とする形質を持たせた作物です。

例えば、特定の害虫による被害を受けにくくする、特定の除草剤への耐性を持たせる、成分組成を変えるといった目的で利用されています。

従来の育種でも交配や突然変異などによって遺伝的な変化を利用しますが、遺伝子組換えでは目的とする遺伝情報を技術的に導入・改変する点が異なります。

農業で利用される主なGMOの形質

農業分野では、次のような形質を持つ遺伝子組換え作物が開発されています。

  • 害虫抵抗性:特定の害虫による食害を受けにくくする形質です。代表例として、特定の昆虫に作用するタンパク質を作るBt作物があります。
  • 除草剤耐性:特定の除草剤を散布しても作物が枯れにくい形質です。作物を残したまま雑草を防除しやすくする目的で利用されます。
  • 病害抵抗性:特定のウイルスなどによる病害を受けにくくする形質が利用される場合があります。
  • 品質・成分の改変:脂肪酸組成、アミノ酸組成、栄養成分、花色などを変化させる目的で利用されることがあります。
  • 環境ストレスへの耐性:乾燥などの環境条件に対する耐性を高めることを目的とした作物も開発されています。

これらはGMOに共通する性質ではありません。
どの形質を持つかは品種や系統ごとに異なります。

GMOと農薬使用量・収量の関係

「GMOを栽培すれば農薬使用量が減る」「GMOは収量が多い」と一括して説明することはできません。

例えば、害虫抵抗性作物では、対象となる害虫に対する殺虫剤散布を減らせる場合があります。

除草剤耐性作物では雑草防除の方法を変えられますが、除草剤そのものを使用しなくなるわけではありません。使用する薬剤、散布回数、抵抗性雑草の発生状況などによって防除体系は変わります。

収量についても同様です。
害虫や病害による減収を抑えることで結果として収量が安定する場合はありますが、遺伝子組換えであること自体が必ず増収を意味するものではありません。

「GMOだから環境負荷が低い」「GMOだから収量が高い」と判断するのではなく、作物、導入形質、栽培条件、防除体系ごとに評価する必要があります。

日本におけるGMOの安全性確認と規制

日本では、遺伝子組換え農作物について一つの制度だけで安全性を判断しているわけではありません。

利用目的に応じて、食品、飼料、生物多様性など異なる観点から確認が行われます。

食品として利用する場合

遺伝子組換え食品を輸入・販売する場合は、食品衛生法に基づく安全性審査が必要です。

安全性審査では、導入された遺伝子、新たに作られるタンパク質、アレルギー誘発性、有害成分への影響、主要な栄養成分などについて確認されます。

日本国内では、安全性審査を受けていない遺伝子組換え食品等や、それを原材料として使用した食品等を製造、輸入、販売することは認められていません。

飼料として利用する場合

家畜用飼料として利用する場合には、飼料安全法などに基づいて安全性が確認されます。

食品としての安全性確認とは別の制度であるため、「食品として承認されているから飼料としても自動的に使用できる」と考えることはできません。

栽培・輸入・流通などを行う場合

遺伝子組換え生物等を環境中で利用する場合には、カルタヘナ法に基づき、生物多様性への影響が評価されます。

例えば、遺伝子組換え農作物の栽培だけでなく、輸入や流通なども、条件によってカルタヘナ法上の「第一種使用等」に該当します。

生物多様性への影響について問題がないと評価され、必要な承認を受けたものについて使用が認められます。

GMOとゲノム編集の違い

ゲノム編集とGMOは同じ意味ではありません。

ゲノム編集は、DNA上の狙った位置を改変するための技術です。
CRISPR/Cas9などが代表的な技術として知られています。

日本では、ゲノム編集技術を利用した食品であっても、外来遺伝子などが残存するものは組換えDNA技術応用食品として扱われる場合があります。

一方、外来遺伝子などが残存せず、組換えDNA技術応用食品に該当しないものについては、遺伝子組換え食品とは異なる取扱いとなり、ゲノム編集技術応用食品として届出の対象となる場合があります。

したがって、「遺伝子を改変しているものはすべてGMO」と判断するのは正確ではありません。

GMOについて判断するときの注意点

GMOについては、「安全」「危険」「環境に良い」「環境に悪い」と技術全体を一括して評価すると、実態を誤ります。

確認すべきなのは、どの生物に、どのような遺伝的改変を行い、どの形質が付与され、食品・飼料・栽培などどの目的で利用されるのかという点です。

安全性や生物多様性への影響についても、GMOという名称だけで判断するのではなく、個々の品目や系統、利用方法ごとの審査結果を確認する必要があります。

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