予冷(よれい)

予冷
予冷(よれい)

予冷とは

予冷(よれい)とは、
収穫後の野菜、果実、花きなどの品温を、
輸送や貯蔵に適した温度まで速やかに下げる処理です。

英語ではPrecoolingまたはPre-coolingと表記されます。

収穫直後の農産物は、
外気温や日射の影響によって高い品温を持っていることがあります。

高温状態が続くと呼吸や蒸散が進み、
内容成分の消耗、萎れ、重量減少などによって
品質が低下しやすくなります。

予冷は、
収穫時に農産物が持っている熱を速やかに取り除き、
その後の低温貯蔵や低温輸送につなげる工程です。

予冷は「できるだけ低温まで冷やすこと」ではありません。

適切な温度は作物によって異なります。

予冷と冷蔵・低温貯蔵の違い

予冷と低温貯蔵は同じ操作ではありません。

予冷は、
比較的高い品温の農産物を
目標とする品温まで下げる「冷却工程」です。

低温貯蔵は、
すでに適切な品温になった農産物を
その温度帯で維持する「保管工程」です。

一般的な保冷庫や低温貯蔵庫には、
大量の高温農産物を短時間で冷却する能力を
持たない製品があります。

庫内の設定温度が低くても、
農産物そのものの品温が短時間で下がるとは限りません。

低温貯蔵庫へ入れることと、十分な予冷を行うことは同じではありません。

主な予冷方法

予冷方法は、
対象作物、包装方法、一度に処理する量、
収穫時の品温、目標品温、
必要な冷却時間などによって選びます。

強制通風冷却

予冷庫や冷蔵庫内でファンなどを使用し、
冷気を循環させて農産物を冷却する方法です。

自然対流だけで冷却する場合より
熱を取り除きやすくなります。

ただし、
容器内部まで十分な冷気が流れるとは限りません。

容器の通気性、
積み方、
入庫量、
風量などによって冷却速度や冷却むらが変わります。

差圧通風冷却

積み重ねたコンテナや段ボール箱などの両側に圧力差をつくり、
冷気を容器の通気孔から内部へ強制的に通過させる方法です。

圧力差そのもので農産物を冷やす方法ではありません。

圧力差によって冷気を農産物の間まで通し、
熱交換を促進します。

通常の庫内冷却より
短時間で冷却できる場合があります。

差圧通風冷却では、
容器の通気孔の大きさや位置、
箱の積み付け方、
冷気が通る経路が冷却性能に影響します。

通気孔が塞がれていたり、
箱と箱の間などから冷気が抜けて農産物内部を通らない状態になると、
十分な冷却効果が得られません。

差圧通風冷却では、
単純に箱の間へ隙間を設ければよいわけではありません。

使用する装置の方式に合わせて、
通気孔をそろえ、
冷気が所定の経路を通るように積み付けます。

真空冷却

気密容器内の圧力を下げ、
農産物に含まれる水分の一部を蒸発させ、
その気化熱によって冷却する方法です。

葉菜類など、
表面積が大きく水分が蒸発しやすい農産物で利用されます。

短時間で比較的均一に冷却しやすい方式ですが、
冷却に伴って水分が失われます。

すべての農産物に適する方法ではありません。

冷水冷却

冷水を散水したり、
農産物を冷水へ接触・浸漬させたりして
熱を取り除く方法です。

農産物へ冷水を直接接触させるため、
短時間で冷却できる場合があります。

水濡れに対する作物の適性、
水質や衛生管理、
包装容器の耐水性などを確認する必要があります。

作物によって適した予冷条件は異なる

農産物は、
低温にすればするほど品質保持期間が長くなるわけではありません。

作物によって適温が異なり、
低温に弱い品目では低温障害が発生します。

農研機構が示す青果物の最適貯蔵条件も、
品目によって適温や適湿度が異なります。:chatgpt-content-reference{index=”1″}

また、
適切な相対湿度も品目によって異なります。

予冷時の冷気温度、
予冷終了時の品温、
冷却時間、
その後の輸送温度や貯蔵温度まで、
一連の温度管理として考えます。

予冷と包装資材の関係

包装後に予冷する場合、
包装資材の構造が
冷却速度に影響することがあります。

特に差圧通風冷却では、
段ボール箱や容器の通気孔から冷気を通すため、
通気孔の大きさ、位置、
箱同士の積み付け方が重要になります。

フィルムや袋で包装された農産物では、
包装状態によって農産物表面への気流が制限され、
裸の農産物とは冷却速度が変わる場合があります。

包装資材は、
輸送中の保護性能だけで選ぶものではありません。

包装後に予冷する場合は、
包装と冷却方式を一体で考えます。

予冷で起こりやすい失敗

庫内設定温度だけを確認する

庫内が設定温度に達していても、
農産物そのものが同じ温度になっているとは限りません。

大量に入庫した場合や、
容器内部への通風が悪い場合には、
冷却に長い時間がかかります。

見るべきなのは庫内温度だけではなく品温です。

必要に応じて、
庫内の異なる位置から代表的な農産物を選び、
品温を測定します。

データロガーなどを利用すると、
冷却開始から目標品温へ到達するまでの
温度変化を確認できます。

積み方だけで冷却性能を判断する

「箱同士を離せば冷える」
「密着させれば冷えない」
という単純な判断はできません。

通常の庫内冷却では、
冷気が循環できる経路を確保する必要があります。

差圧通風冷却では逆に、
容器間の不要な隙間から冷気が抜けると、
農産物内部を十分に通らない場合があります。

適切な積み方は予冷方式によって異なります。

設定温度を下げれば早く冷えると考える

冷気温度を下げれば、
常に安全に冷却時間を短縮できるわけではありません。

作物の凍結や低温障害を避けながら、
冷凍機能力、風量、処理量などを含めて設定します。

予冷後の温度管理

予冷後に農産物の品温が再び上昇すると、
予冷による品質保持効果を十分に生かせません。

予冷から低温貯蔵、
積み込み、
輸送、
集出荷、
販売まで、
品目に適した温度管理をつなげます。

このように、
生産地から流通・販売まで低温状態を連続して管理する仕組みは、
一般にコールドチェーンと呼ばれます。

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