保冷庫・冷蔵庫・貯蔵庫とは
保冷庫・冷蔵庫・貯蔵庫は、
玄米、野菜、果実、花きなどの農産物を、
収穫後または調製後に一定の温度条件で保管するための設備です。
農業分野では、
玄米保冷庫、低温貯蔵庫、農産物保冷庫、冷蔵庫など
メーカーによってさまざまな名称が使われています。
名称だけで性能を判断することはできません。
設定可能温度、湿度制御の有無、冷却能力、収納量、
使用可能な周囲温度、電源、加温機能の有無などを確認し、
保管する農産物に合った機種を選びます。
低温貯蔵の目的
収穫後の青果物も呼吸や蒸散を続けています。
品温が高い状態では呼吸や水分損失が進みやすいため、
適切な低温条件で管理することで、
品質低下を遅らせることができます。
玄米でも、
温度や水分条件によって品質変化や害虫の活動などが変わるため、
玄米保冷庫や低温貯蔵庫が利用されています。
低温にすればするほど保存性が高くなるわけではありません。
農産物にはそれぞれ適した貯蔵温度と
相対湿度があります。
低温に弱い農産物では低温障害が発生することがあり、
高湿度が必要な農産物を乾燥した環境へ入れると
萎れや重量減少につながります。
青果物ではエチレンの発生量や感受性も品目によって異なります。
複数の農産物を同じ庫内で保管するときは、
温度だけでなく湿度やエチレンの影響も確認します。
予冷と低温貯蔵は別に考える
収穫直後の農産物は、
外気や日射の影響によって品温が高い場合があります。
この品温を輸送や貯蔵に適した温度まで速やかに下げる処理が
予冷です。
保冷庫や低温貯蔵庫を、そのまま予冷設備として使用できるとは限りません。
高温の農産物を大量に入れると、
庫内温度が下がるまで長時間を要したり、
冷却能力を超えて設定温度を維持できなくなったりする場合があります。
特に青果物を収穫直後から低温管理する場合は、
機器の冷却能力と許容投入負荷を確認し、
必要であれば強制通風予冷、差圧通風予冷、
真空予冷などの専用設備を組み合わせます。
玄米用と青果物用を区別する
玄米保冷庫は、
玄米の低温保管を主目的として設計された製品です。
玄米袋の収納数を
「30kg袋○袋」のように表示している製品が多く、
小型の一体型から大型の組立式低温貯蔵庫まであります。
野菜保冷に対応する製品もありますが、
玄米用であれば、どの野菜や果実でも長期保存できるという意味ではありません。
対象農産物によって必要な温度、湿度、通風条件が異なります。
製品ごとに保管可能な農産物と使用条件を確認します。
保冷庫・冷蔵庫・貯蔵庫の選び方
最初に確認するのは、
「何を、何kgまたは何箱、何日間保管するのか」です。
そのうえで、設定温度範囲、湿度条件、庫内容量、
棚やコンテナを含めた実際の収納方法を確認します。
表示されている庫内容積いっぱいに農産物を詰め込むと、
冷気の通り道がなくなり、
庫内に温度むらが生じる場合があります。
容量だけで選ばないでください。
農産物や包装容器の周囲を冷気が流れる配置が必要です。
設置場所の周囲温度も確認します。
夏季の納屋や作業場では高温になることがあり、
機器の使用可能周囲温度を超えると
十分な冷却能力を得られない場合があります。
電源についても、
単相100Vで使用できる小型機から
三相200Vを必要とする大型機まであります。
冬季の低温にも注意する
冷却専用の保冷庫では、
外気温より高い温度へ庫内を加温できません。
冬季に低温障害を起こしやすい農産物を保管する場合や、
一定温度以上を維持する必要がある場合は、
加温機能を備えた低温貯蔵庫などを検討します。
「設定温度10℃」と表示できても、
外気温が0℃のときに庫内を10℃まで加温できるとは限りません。
冷却機能と加温機能は別です。
湿度・結露の管理
農産物の保存では温度だけでなく湿度も品質に影響します。
高湿度を必要とする青果物では乾燥を防ぐ必要がありますが、
庫内や包装内で過度に結露すると、
腐敗やカビなどの原因になる場合があります。
空気中の水蒸気が結露し始める温度は
露点と関係します。
扉を頻繁に開閉すると、
暖かく湿った外気が庫内へ入り、
庫内壁面や農産物表面に結露することがあります。
温度変化を継続して確認したい場合は、
データロガーなどを使用して
庫内温度を記録すると管理状態を確認しやすくなります。
導入前に確認する項目
保冷庫や低温貯蔵庫は、
収納量だけを基準に選定すると失敗しやすい設備です。
対象農産物、必要温度、湿度条件、保管期間、
一度に投入する量と品温、
設置場所の夏季・冬季温度、
電源容量、搬入口寸法を確認します。
大型機では、
床の耐荷重、扉の開閉スペース、
排水や結露水処理、換気スペース、
搬入経路も事前に確認します。
故障すると庫内温度が短時間で上昇する場合があります。
長期貯蔵や高価な農産物を扱う場合は、
警報機能、温度記録、保守体制も選定条件に含めます。
保冷庫・冷蔵庫・貯蔵庫取り扱いメーカー・代理店
| 製造・発売元 | 製品名 | 特徴 |
|---|---|---|
| 静岡製機株式会社 | 農産物低温貯蔵庫「さいこ」 | 玄米・野菜向けの小型機から大型・プレハブ型まで展開。GBR、GBX、GB、プレハブさいこなどがあり、容量・設定温度・電源は機種により異なる。低温貯蔵用で、予冷には使用できない機種がある |
| 株式会社山本製作所 | 低温貯蔵庫 アグリストッカ AGR-SEVシリーズ/AGR-LSVシリーズ/AGR-DL・DHシリーズ/AGR-SSシリーズ | 玄米の低温貯蔵向け。小型から組立式大型庫まで展開し、シリーズにより玄米30kg袋8袋クラスから270袋クラスまで対応 |
| 株式会社やまびこ(共立) | COOLシリーズ/COOL-Jシリーズ/DKシリーズ | COOLは玄米と野菜の一時保管に対応し設定温度2~20℃。COOL-Jは玄米専用5~15℃。DKは大型低温貯蔵庫を展開 |
| ホシザキ株式会社 | 玄米保冷庫 HRAシリーズ | 玄米30kg袋6・14・21・28袋タイプを展開。庫内温度は3~16℃調節。6袋・14袋には周囲温度40℃対応仕様もある |
| 株式会社丸山製作所 | 玄米保冷庫 MRFシリーズ | 玄米の低温貯蔵用保冷庫。MRF014M、MRF028M、MRF21Eなどを掲載 |
| アルインコ株式会社 | 玄米専用低温貯蔵庫 米っとさん LHR-NFシリーズ | 玄米30kg袋4・10・14・21袋タイプを展開する玄米専用低温貯蔵庫。単相100V |
| エムケー精工株式会社 | 低温貯蔵庫「味の新鮮蔵」シリーズ | 玄米・野菜向けの小型機から大型プレハブ型まで展開。玄米用、野菜対応、加温機能付きなど用途別シリーズがある |
| だいわ株式会社 | 玄米保冷庫 | 玄米・野菜などの低温保管向け製品を展開。2026年7月に大和冷機工業株式会社から商号変更。現行公式メーカー製品ページを確認できなかったため外部リンクは付けておりません。 |