鋼線(果樹・カーテン線)とは
鋼線(こうせん)とは、
鋼を細長い線状に加工した線材です。
農業では、ブドウやナシなどの果樹棚の主線・小張り線・周囲線、
誘引用の支持線、
ビニールハウスの補強線、
カーテンやネット類の張線などに使用されます。
屋外で長期間使用する農業用鋼線には、
亜鉛めっきを施して耐食性を高めた線材や、
高い引張強さを持つ高張力線、
複数の鋼線をより合わせたストランド、
ステンレス鋼線などがあります。
「鋼線」という名称だけでは、用途や強度、耐久性は判断できません。
線径、引張強さ、伸び、めっき仕様、
単線かより線か、使用環境などを確認して選定します。
果樹棚に使われる鋼線
果樹棚では、
棚全体を支える線と枝を支える線では必要な強度が異なります。
ブドウやナシの棚では、
主線、周囲線、小張り線などに鋼線が使用され、
荷重や棚の構造に応じて線径や種類を使い分けます。
果実、枝葉、棚資材そのものの重量に加え、
風、雨、着雪などによる荷重が加わる場合があります。
線径だけで強度を判断しないでください。
同じ線径でも、
普通の亜鉛めっき線と高張力線では
引張強さや伸びなどの特性が異なります。
亜鉛めっき鋼線
亜鉛めっき鋼線は、
鋼線表面を亜鉛で被覆して耐食性を高めた線材です。
果樹棚やハウスなど、
雨や湿気にさらされる農業施設で広く使用されています。
亜鉛めっきを施していても、
切断部や表面の損傷、
使用環境や経過年数によって腐食することがあります。
「めっき線=錆びない線」ではありません。
めっきの種類や付着量、
線径、引張強さなどを確認します。
高張力線
高張力線は、
一般的な鉄線より高い引張強さを持つように作られた鋼線です。
果樹棚では、
細い線径でも必要な強度を確保しやすく、
伸びが小さい製品は棚線のたるみを抑えやすいという特徴があります。
日亜鋼業や平野鋼線が扱う果樹園用高張力線では、
硬鋼線に厚い亜鉛めっきを施した製品が使用されています。
高張力線は強度が高い反面、
一般的な軟質の針金と同じ感覚では曲げたり結束したりできません。
専用の巻付けグリップなど、
線材に適した固定方法を使用します。
より線・ストランド
より線は、
複数本の鋼線をより合わせた線材です。
果樹棚の周囲線、支線など、
比較的大きな荷重を受ける場所に使用される製品があります。
単線とは構造が異なるため、
同じ外径だけを見て強度を比較することはできません。
固定金具や端末処理も、
使用する線材の構造と径に適合するものを選びます。
ステンレス鋼線
ステンレス鋼線は、
亜鉛めっき鋼線とは異なる耐食性を持つ線材です。
果樹園やハウスなど、
長期間使用する場所の張線として利用される製品があります。
ステンレスだから腐食しないとは限りません。
鋼種、使用環境、薬剤、塩分などによって腐食条件は変わります。
また、亜鉛めっき鋼線とは価格や加工性も異なるため、
耐久性だけで選定するのではなく、
使用期間や施工方法を含めて判断します。
カーテン・ハウスに使う鋼線
施設園芸では、
カーテンやフィルムを支える固定張線のほか、
自動カーテンや妻面スライドなどを動かす
駆動用ワイヤーが使用される場合があります。
固定された棚線と、
ドラムや滑車を通って繰り返し動く駆動線では、
必要な性能が異なります。
固定張線を駆動用ワイヤーとして自己判断で代用しないでください。
自動装置では、
線径だけでなくワイヤー構造、
曲げや摩耗への耐久性、
ドラムや滑車との適合を確認します。
金属芯を樹脂で被覆した製品は
樹脂被覆線(果樹・カーテン線)、
ポリエステルなどを主体とした線材は
樹脂線・カーテンロープ
として区別しています。
鋼線を選ぶときの確認点
最初に、
主線、小張り線、周囲線、支線、
ハウス補強線、固定張線、駆動線のどこに使用するかを明確にします。
そのうえで、
線径、引張強さ、伸び、
めっきやステンレスなどの材質・表面処理、
単線・より線の違い、
固定金具との適合を確認します。
果樹棚では、
線材単体だけで強度が決まるわけではありません。
支柱、アンカー、巻付けグリップ、
ターンバックルなどを含めた
棚全体の構造として判断する必要があります。
張り過ぎと腐食に注意
棚線は強く張るほど良いわけではありません。
過大な張力をかけると、
鋼線だけでなく支柱、アンカー、
固定金具などへ大きな力が加わります。
施工後は、
著しい錆、線径の減少、素線切れ、
固定部の緩み、異常なたるみなどを確認します。
特に古い果樹棚では、
線材だけを交換しても、
支柱やアンカー側の劣化が残っていれば安全性は回復しません。
鋼線(果樹・カーテン線)取り扱いメーカー・代理店
| 製造・発売元 | 製品名 | 特徴 |
|---|---|---|
| 日亜鋼業株式会社 | 果樹園用針金 | 果樹園の棚張りに使用する亜鉛めっき線。JIS G 3547、亜鉛めっき3種・4種などを展開。現行公式カタログへの掲載を確認。現行公式メーカー個別製品ページを確認できなかったため外部リンクは付けておりません。 |
| 日亜鋼業株式会社 | 果樹園用高張力線 | 硬鋼線に厚めっきを施した果樹園用高張力線。伸びが小さく張りを維持しやすく、果樹棚の張線に使用。JIS G 3548。現行公式カタログへの掲載を確認。現行公式メーカー個別製品ページを確認できなかったため外部リンクは付けておりません。 |
| 日亜鋼業株式会社 | 高張力ストランド(より線) | 高張力鋼線を7本より合わせた果樹園用線材。周囲線や支線などに使用。JIS G 3537。現行公式カタログへの掲載を確認。現行公式メーカー個別製品ページを確認できなかったため外部リンクは付けておりません。 |
| 鈴木鋼材株式会社 | 農業用ステンレス線 | 果樹棚など農業用途向けのステンレス線を取り扱う販売会社。仕様は使用用途に応じて確認が必要。 |
| 鈴木鋼材株式会社 | メッキ半鋼線 | 農業用メッキ半鋼線を取り扱う販売会社。現行公式取扱一覧ではジェイ-ワイテックス株式会社製として掲載。 |
| ジェイ-ワイテックス株式会社 | 亜鉛めっき鋼線 ファームワイヤ「みのり印」 | 果樹園向け亜鉛めっき鋼線。加工性に優れ、厚い亜鉛めっきによる耐食性を持つ。各種果樹園での使用実績をメーカーが公表。 |
| 平野鋼線株式会社 | 3種・4種メッキ鉄線/半鋼線(高張力線) | 果樹園・ハウス向け農業用線材。3種メッキ線は永年性果樹の棚線やハウス補強、高張力線は果樹園専用線材として取り扱う。 |
| 平野鋼線株式会社 | SUS果樹園用ワイヤー | ステンレス製の果樹園用ワイヤー。亜鉛めっき鋼線などとは異なる高い耐食性を持つ農業用線材。 |
| 平野鋼線株式会社 | サイドワイヤー | 複数の鋼線をより合わせた農業用ワイヤー。ビニールハウスの自動カーテンや妻面スライドなどの駆動用途に使用。 |