温風ダクト・暖房用ダクトとは
温風ダクト(暖房用ダクト)とは、
施設園芸のハウス暖房機(ハウス加温機)などから送られる温風を、
ビニールハウスや温室内へ分配するための筒状の送風資材です。
農業では単に「ダクト」「ポリダクト」と呼ばれることもあります。
このページでは、主に暖房機から温風を送るためのダクトを扱います。
農業用ダクトには、外気導入、空調、CO₂供給などに使用するものもあり、
「ダクト」という名称だけで用途を判断することはできません。
一般的なポリダクトには、
ポリエチレン(PE)製のフィルムチューブが使用されます。
耐久性を高めた多層フィルムタイプ、補強繊維入り、
吊り下げ施工に対応した製品などもあります。
ダクトを設置するだけでハウス内が均一に暖まるわけではありません。
径、本数、長さ、分岐位置、吹出口の大きさや配置が、
暖房機の送風量やハウスの形状に合っていることが前提です。
親ダクト(主ダクト)と子ダクト(枝ダクト)
暖房機の吹出口に接続し、
温風を各方向へ分配する太いダクトを
親ダクト、または主ダクトと呼びます。
親ダクトから分岐し、
畝や栽培列などに沿って温風を送る比較的小径のダクトは、
子ダクト、枝ダクト、分岐ダクトなどと呼ばれます。
親ダクトから子ダクトを分岐させる際には、
ダクトリングやダクトコネクタなどの専用部材を使用します。
暖房機や施工方式によっては、
親ダクトと子ダクトに分けない構成もあります。
呼称や接続方法はメーカーによって異なるため、
暖房機とダクトの仕様を組み合わせて確認します。
温度ムラを減らすダクト配置
例えば、ハウスの暖房機付近は十分に暖かいのに、
奥側だけ設定温度まで上がらない場合があります。
この状態で暖房設定温度だけを上げると、
温度ムラを残したまま加温量が増え、
余分な燃料を消費する原因になります。
まず、暖房運転中の温度をハウス内の複数箇所で測定します。
測定位置は床面だけではなく、
栽培している作物の生育位置や成長点付近を基準にします。
温風ダクトは表面からも熱を放出するため、
暖房機から離れるほど内部を流れる空気の温度は低下します。
ハウス奥部など温度が低くなりやすい場所では、
枝ダクトの本数、径、吹出口の大きさや間隔などを見直し、
必要な熱量を供給します。
吹出口を全区間で同じ大きさ・同じ間隔にすればよいとは限りません。
実際の穴径や配置は、
暖房機の送風量、ダクト径、長さ、分岐数、
ハウスの形状などによって変わります。
ダクト径・本数の決め方
ダクト径や本数は、
暖房機から送り出される風量に合わせて選定します。
ダクトが細すぎたり、
必要な枝ダクト本数を確保していなかったりすると、
送風抵抗が大きくなり、
暖房機本来の風量を確保できない場合があります。
逆に、ダクトを太くしたり本数を増やしたりすれば
必ず改善するというものでもありません。
暖房機メーカーが指定するダクト径・最低本数・接続方法を優先します。
既設ハウスで温度ムラがある場合は、
暖房能力そのものを疑う前に、
ダクトのつぶれ、折れ曲がり、分岐方法、
吹出口、温度分布を確認する必要があります。
ダクトの素材と種類
一般的なポリダクトは、
ポリエチレン製フィルムを筒状に加工したもので、
軽量で施工しやすく、さまざまな折径や長さがあります。
長期間使用する施設では、
多層フィルムや補強材を使用して
引張強度や耐久性を高めたダクトも利用されています。
吊り下げ施工では、
採光への影響を抑える透明系ダクトや、
吊り下げ用の加工を施した製品が選択される場合があります。
L字・T字部分では、
通常のダクトを強く折り曲げると通風抵抗が増えるため、
専用のコーナーダクトを使用する方法もあります。
ダクトリング、ダクトコネクタ、専用テープなどは、
主ダクトと枝ダクトの分岐や接続に使用する関連部材です。
設置後に確認するポイント
ダクト施工後は、
暖房機を実際に運転して状態を確認します。
ダクトが途中でつぶれていないか、
急角度に折れ曲がっていないか、
接続部から大きく漏気していないか、
末端まで必要な送風が届いているかを確認します。
さらに、ハウス内の複数箇所で温度を測定し、
温度差が大きい場合はダクト配置を再調整します。
循環扇を併用して
ハウス内の空気を動かす方法もありますが、
循環扇だけで不適切なダクト設計を補えるわけではありません。
暖房設備全体を
環境制御の一部として考え、
暖房機、ダクト、温度センサー、循環設備を
組み合わせて確認します。
温風ダクト・暖房用ダクト取り扱いメーカー・代理店
| 製造・発売元 | 製品名 | 特徴 |
|---|---|---|
| 株式会社弘和 | クリアダクト | UV剤入りの透明系ダクト。採光性を確保しやすく、L型・T型などの特注加工にも対応 |
| 株式会社ケイエイチブイ | クロスラムダクト | 高強度の多層フィルムを使用したダクト。耐久性と柔軟性を重視したタイプ |
| 日新化学工業株式会社 | ポリダクト | 加温機からの温風を送るポリエチレン製チューブロール。各種規格があり、別注生産にも対応 |
| 株式会社誠和 | ダクトリング | 暖房機用ダクトの分岐に使用する専用部材。ダクト折径に応じた複数サイズを設定 |
| ネポン株式会社 | 枝つきダクト | 畝間や栽培配置に合わせて枝ダクトを設けるタイプ。枝部と小ダクトを接続して温風を分配 |
| ネポン株式会社 | ダクトコネクタ | 主ダクトと枝ダクトを接続する部材。ダクト径に合わせた複数サイズを設定 |
| ネポン株式会社 | コーナーダクト | L字・T字部の通風抵抗やダクトの折れ曲がりを抑えるコーナー用ダクト |
| ネポン株式会社 | クロスラムダクト | 多層フィルムを使用した高強度タイプ。大径の主ダクト用途に対応 |
| ネポン株式会社 | パワーダクト | 耐久性を高めた温風ダクト。穴加工や吊り下げ施工に対応する仕様を設定 |
| イノチオアグリ株式会社 | イノチオダクト | 加温機用ポリエチレン製送風ダクト。高耐候性ダクトと同等の強度を目指したイノチオオリジナル製品 |
| 株式会社有明 | ポリダクト | 加温機からハウス内へ温風を送るチューブロール。温風送風以外の用途にも対応 |