マルハナバチ

マルハナバチ

マルハナバチとは

マルハナバチは、
農業ではトマト、ナス、イチゴなどの
受粉を助ける
訪花昆虫として利用されるハチの仲間です。

ミツバチと同じミツバチ科に属し、
農業では巣箱単位で施設へ導入する花粉交配用昆虫として利用されています。

特にトマトでは、マルハナバチが花にとまり、
花を振動させて葯から花粉を放出させる
振動受粉(buzz pollination)を行います。

単に花から花へ花粉を運ぶだけではありません。

ナスでも同様に振動による花粉放出が利用されます。
イチゴやその他の作物では、訪花による花粉の移動が受粉を助けます。

利用効果や適した導入方法は、作物、品種、開花状態、季節、施設環境によって異なります。

農業で利用される主なマルハナバチ

国内の施設園芸では、
在来種であるクロマルハナバチ(Bombus ignitus)が
花粉交配用として利用されています。

クロマルハナバチは本州、四国、九州などに自然分布する種ですが、
「在来種だから全国どこでも同じように利用できる」という意味ではありません。

自然分布域、地域個体群への影響、
製品メーカーの販売地域や利用条件を確認して導入します。

また、施設園芸では外来種の
セイヨウオオマルハナバチ(Bombus terrestris)も
利用されてきました。

セイヨウオオマルハナバチは
外来生物法に基づく特定外来生物に指定されています。

農業利用であっても自由に導入できるものではなく、
利用には法令に基づく飼養等許可と、
施設外へ逃がさないための管理が必要です。

現在は在来種マルハナバチへの転換が進められています。

導入前に確認すること

マルハナバチは、巣箱を置けば必ず受粉してくれる資材ではありません。

トマトでは、開花していても花粉が十分に放出されない状態では、
マルハナバチの訪花が少なくなることがあります。

花の状態を確認したうえで導入します。

高温、強い直射日光、急激な温湿度変化などは、
巣や訪花活動に影響します。
巣箱はメーカーが指定する環境条件に従って設置します。

また、紫外線を大きく減らす被覆資材は、
マルハナバチの定位や飛行、訪花活動に影響する場合があります。

UVカット機能を持つ被覆資材を使用している施設では、
導入するマルハナバチ製品との適合性を事前に確認します。

施設外への逸出を防ぐ

マルハナバチを利用する施設では、
開口部などからハチが施設外へ逃げないように管理します。

サイド換気部、天窓、妻面開口部などには、
用途に適した防虫ネットや
ハチ逃亡防止用ネットを設置し、
破れ、隙間、施工不良がないか確認します。

セイヨウオオマルハナバチでは、
逸出防止措置は外来生物法に基づく飼養等許可の重要な条件です。

クロマルハナバチでも逸出防止を行います。

在来種であることは、施設外へ放してよいことを意味しません。

農薬とマルハナバチ

マルハナバチを導入している施設では、
農薬の影響確認が欠かせません。

農薬によっては散布後もマルハナバチへの影響が長く残ります。

農薬名だけで「安全」「危険」と判断せず、
使用する製品について最新の農薬登録内容、
ラベル、マルハナバチ製品メーカーが公表する農薬影響情報を確認します。

散布時の巣箱の回収方法や、
再び施設へ戻すまでの期間も農薬によって異なります。

ミツバチに対する影響日数を、そのままマルハナバチへ置き換えて判断しないでください。

利用終了後の巣箱

利用を終えた巣箱を、
ハウスの外へそのまま持ち出して放置したり、
生きたハチを野外へ放したりしてはいけません。

メーカーの取扱説明書に従い、
巣箱内のハチを確実に死滅させたうえで、
地域の廃棄方法に従って適切に処理します。

セイヨウオオマルハナバチでは、
特に外来生物法に基づく管理を厳守します。

マルハナバチ取り扱いメーカー・代理店

製造・発売元製品名ハチの種類・区分製品特徴・注意
東海物産株式会社ハニートーン(在来種)クロマルハナバチ(Bombus ignitus)/在来種東海物産とバイオベスト社の共同開発による花粉交配用クロマルハナバチ。クロマルハナバチは北海道には自然分布しないため、地域と利用条件を確認して使用します。
東海物産株式会社ハニートーン(セイヨウ種)セイヨウオオマルハナバチ(Bombus terrestris)/特定外来生物外来生物法による規制対象。飼養等の許可を受けた利用者が、許可条件と逸出防止措置に従って使用する製品です。新規利用を一般的に推奨する製品としては扱いません。
株式会社アグリ総研アグリ・トップクロマルDXクロマルハナバチ(Bombus ignitus)/在来種日本原産のクロマルハナバチを国内で飼育・商品化。施設栽培のトマト、ナス、イチゴなどの授粉に利用されます。北海道向け販売は行われていません。
株式会社アグリ総研アグリ・トップクロマルNEXTクロマルハナバチ(Bombus ignitus)/在来種小面積施設向けのクロマルハナバチ製品。蜜量約2.5kgを装着し、蜂用蜜を交換できる構造。働きバチ数の多いコロニーを必要とする場合はDXが案内されています。
株式会社アグリ総研クロマルくろびークロマルハナバチ(Bombus ignitus)/在来種ネット販売限定のクロマルハナバチ製品。商品規格はアグリ・トップクロマルNEXTと同等で、外箱デザインが異なります。
株式会社アグリ総研アグリ・トップマルハナセイヨウオオマルハナバチ(Bombus terrestris)/特定外来生物外来生物法による規制対象。継続飼養等の許可を受けた利用者向けで、許可条件、逸出防止、使用後の適正処理などを厳守する必要があります。
ユーピーエルジャパン合同会社受粉昆虫製品クロマルハナバチ等旧アリスタ ライフサイエンス株式会社の事業を2026年8月8日付で承継。現行公式サイトでは受粉昆虫を事業内容として確認できますが、現行の個別製品ページを確認できなかったため外部リンクは付けておりません。

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