育苗マットとは
育苗マットとは、本ページでは水稲の育苗で使用する、
育苗箱の床土部分を代替する成型培地・繊維系マットを指します。
ロックウールなどを成型した製品や、植物由来の繊維を利用した製品があります。
育苗培土を使用する場合と比べて苗箱を軽量化できる製品があり、
苗箱の運搬、苗積み、田植機への苗補給などで作業負担を軽減できることが大きな特徴です。
また、保水性を持たせた製品や、あらかじめ肥料成分を含ませた製品もあります。
ここで扱う育苗マットは、ポットや鉢へ水を供給する「底面給水マット」や、
育苗床を加温する「育苗用ヒーターマット」とは用途が異なります。
床土をマットに替えても覆土まで不要になるとは限らない
育苗マットを使用すると床土部分を減らせますが、
育苗箱へ土をまったく使用しなくてよいという意味ではありません。
多くの水稲用育苗マットでは、播種後に
覆土を行います。
必要な覆土量は製品によって異なるため、使用するマットの説明書を基準にしてください。
覆土が少なすぎると根上がりや種籾の露出につながる製品があります。
逆に、必要以上に厚くすればよいわけでもありません。
育苗培土で行っていた条件をそのまま育苗マットへ当てはめないことが基本です。
育苗マットの選び方
- 対象とする苗型:稚苗・乳苗など、想定されている育苗方式を確認します。
- 肥料成分:肥料入り製品では、寒地用・一般用・暖地用・乳苗用などで肥料設計が異なる場合があります。
- 育苗箱との適合:マット寸法だけでなく、育苗箱の底穴構造や敷紙の要否も確認します。
- 水管理:保水性が高い製品でも、初期の吸水量が不足すると出芽ムラや生育ムラにつながる場合があります。
- 使用後の扱い:ロックウール系と植物繊維系では、廃棄・回収・分解性などの扱いが異なります。
育苗マットで起きやすい失敗
最初のかん水量を従来の培土育苗と同じ感覚で決める。
ロックウール系では、播種前後の初期かん水を十分に行うよう指定されている製品があります。
マット全体まで吸水していないと、出芽やその後の生育が不揃いになる原因になります。
保水性が高いから水管理をしなくてもよいと考える。
保水性が高いことと、常に適正な水分状態が維持されることは別です。
育苗期間、天候、気温、苗床条件によって乾き方は変わります。
過湿と乾燥の両方を避け、生育を見ながら管理します。
肥料入りマットなら追肥は不要と決めつける。
必要な追肥は、製品の肥料設計、地域、育苗期間、生育状況で変わります。
肥料タイプの異なる製品を同じ条件で使用すると、生育不足や過剰生育につながる可能性があります。
マットを使えば苗質が自動的に揃うと考える。
苗質は種籾、播種量、出芽条件、温度、かん水、肥料、育苗期間などの影響を受けます。
育苗マットはこれらを置き換える資材ではありません。
育苗マット取り扱いメーカー・代理店
| メーカー・取扱企業 | 製品名 | 特徴 |
|---|---|---|
| 岩谷マテリアル株式会社 | 水稲育苗用成型培地 ロックウールマット30 | 水稲育苗用ロックウール成型培地。579×279×13mm、約140g/枚。K・N・Dタイプで肥料成分が異なる。高い保水性を持つため、初期かん水や覆土量などメーカー指定の使用方法を確認して使用する。 |
| 日本ロックウール株式会社 | 水稲育苗マット | 水稲育苗用ロックウールマット。Kタイプ(寒地用)、Nタイプ(一般用)、Dタイプ(暖地用)、ちびっこ(乳苗用)を展開。土苗より苗箱を軽量化でき、保水性が高い。 |
| 社会福祉法人はこべ福祉会 | ジーザック育苗マット | 水稲用育苗マットとして現在も取扱情報を確認。現行公式メーカー製品ページを確認できなかったため外部リンクは付けておりません。 |
| ヤンマーアグリジャパン株式会社 | 乳苗専用育苗マット | 乳苗専用のロックウール成型培地マット。一般的な稚苗・中苗用育苗マットと用途を混同せず、乳苗育苗体系に合わせて選定する。 |