スマート農業

スマート農業

スマート農業とは

スマート農業とは、ロボット、AI(人工知能)、IoT、各種センサー、GNSS(衛星測位システム)、クラウドサービスなどの技術を農業に活用し、作業の省力化・自動化、栽培管理の高度化、生産や経営に関するデータ活用などを行う取り組みです。

スマート農業は、特定の機械やアプリを導入すること自体を意味するものではありません。農作業や栽培管理のどこに課題があるのかを明確にし、その課題に対して必要な機器・データ・作業体系を組み合わせることが重要です。

自動操舵農機、農業用ドローン、環境センサー、ハウス環境制御装置、自動灌水・施肥装置、営農管理システムなど、対象となる技術は幅広く、露地栽培、施設園芸、水田、畑作、果樹、畜産などで求められる機能も異なります。

導入によって作業時間の短縮や作業負担の軽減、入力資材の削減、収量・品質の安定化などが期待できる場合がありますが、効果は経営規模、作物、圃場条件、既存設備、通信環境、運用方法などによって異なります。高機能な設備を導入すれば自動的に収益が向上するわけではありません。

このページでは、スマート農業に利用される農業機械、GNSS関連機器、各種センサー、環境制御装置、散布制御機器、営農管理・データ解析サービスなどを紹介します。各製品は、それぞれの用途別資材カテゴリーにも重複して掲載する場合があります。

スマート農業関連製品・サービス取り扱いメーカー・代理店

製造・発売元製品・サービス名分野特徴

スプレーイングシステムスジャパン合同会社(TeeJet)

Matrix 430

GNSSガイダンス4.3インチ画面を備えたガイダンスシステム。走行ガイダンス、カバレッジマッピング、圃場面積計測などに対応。

スプレーイングシステムスジャパン合同会社(TeeJet)

Matrix 908

フィールドコンピューターGNSSガイダンスを基本に、仕様により自動操舵、アプリケーション制御、ISOBUS等へ拡張可能。

スプレーイングシステムスジャパン合同会社(TeeJet)

Radion 8140

散布制御設定した目標散布量に応じて散布制御を行うスプレーヤーコントローラー。流量、速度、散布面積などを表示。

株式会社トプコン

XC1/XR-1-SET・XC1 plus/XR-1-SET

GNSS自動操舵既存農機への後付けに対応する自動操舵システム。マルチGNSS・RTKに対応し、圃場データ管理機能も備える。

株式会社クボタ

KSAS

営農管理・農機連携クラウド型営農支援システム。圃場、作業日誌、進捗等を管理し、対応農機と連携して収量・食味情報や可変施肥などに活用。

ヤンマー

SMARTASSIST

農機管理・営農データ対応農機の位置・稼働・エラー情報、作業履歴、収量情報などを確認できるサービス。外部営農管理システムとの連携にも対応。

アグリノート株式会社

アグリノート

営農管理圃場、作業、農薬、肥料、収穫などの営農情報をデジタルで記録・集計・共有する営農支援サービス。

株式会社farmo

ハウスファーモ

施設環境センシング施設園芸向け環境センサー。気温、湿度、日射、CO₂、土壌水分等を仕様に応じて測定し、スマートフォン等で確認可能。

株式会社誠和

プロファインダーNext80

施設環境制御施設内外の環境データを利用し、換気・暖房・カーテン等を統合制御する施設園芸向け環境制御システム。

株式会社ルートレック・ネットワークス

ゼロアグリ

灌水・施肥制御日射や土壌水分等の情報を利用して施設園芸の灌水・施肥を制御するシステム。Lite、Standard、Plus等を展開。

製品別に考える評価観点(導入設計の視点)

スマート農業機器は、単体の機能やカタログ上の性能だけで比較すると選定を誤る場合があります。既存設備との適合、通信・電源、データ利用方法、保守体制まで含めて評価します。

GNSSガイダンス・自動操舵システム

  • 必要精度:数十cm程度のガイダンスでよいのか、RTK等による数cm級の測位が必要なのかを作業内容から決めます。
  • 補正情報:RTK基地局、ネットワーク型補正情報など、必要な補正方式と年間利用料、通信条件を確認します。
  • 農機との適合:後付け可能機種、ステアリング方式、車速条件、ISOBUS対応などを確認します。
  • データ管理:圃場境界、走行ライン、作業履歴などを保存・移行・共有できるか確認します。

散布制御・可変施肥システム

  • 制御対象:散布量、ノズル、ブームセクション、施肥量など、何を制御する機器なのかを明確にします。
  • 速度追従性:走行速度が変化した場合でも、設定した面積当たり散布量を維持できるか確認します。
  • 実散布量の確認:制御装置の表示だけに頼らず、ノズルの吐出量や実際の散布量を点検します。
  • 既存機との適合:流量計、バルブ、ノズル、ブーム、ISOBUSなどとの接続条件を確認します。

センサー・圃場環境モニタリング

  • 測定項目:気温、湿度、日射、CO₂、土壌水分、EC、水位など、判断に本当に必要なデータを選びます。
  • 測定位置:センサーを設置する高さ、場所、日射や水滴の影響などによって測定値が変わるため、設置条件を確認します。
  • 精度・校正:センサーの測定誤差、経年変化、校正方法、交換周期を確認します。
  • 欠測:通信障害、電池切れ、センサー故障時にデータが欠落することを前提として運用方法を決めます。

施設園芸の環境制御・自動灌水

  • 制御対象:換気、暖房、カーテン、CO₂施用、灌水、施肥など、どこまで自動制御するのかを明確にします。
  • センサー異常時:誤測定や通信断が発生した場合に、設備がどの状態になるのかを確認します。
  • 手動運転:システム障害時でも換気・灌水・暖房などを手動で運転できる設計が必要です。
  • 既存設備との接続:現在使用している換気装置、ポンプ、電磁弁、暖房機などとの適合を確認します。

営農管理・クラウドサービス

  • 記録対象:圃場、作業、農薬、肥料、収穫量、機械稼働など、必要な情報を記録できるか確認します。
  • 入力負担:記録項目が多すぎると運用されなくなるため、日常的に入力可能な仕組みか確認します。
  • データ出力:CSV等でデータを取り出せるか、契約終了後も過去データを利用できるか確認します。
  • 外部連携:農機、センサー、他社営農管理サービスなどとAPI等で連携できるか確認します。

製品導入時の留意点

目的を決めずに機器を購入しない

「スマート農業を始めたい」という理由だけで機器を選ぶと、導入後に使用されなくなる可能性があります。最初に「誰の、どの作業を、何時間減らしたいのか」「どの判断を改善したいのか」など、解決する課題を具体化します。

導入費だけでなく年間費用を見る

本体価格だけでなく、通信料、クラウド利用料、GNSS補正情報利用料、センサー交換費、バッテリー、保守契約、ソフトウェア更新費などを含めた年間費用を確認します。

通信サービスの終了を想定する

通信機能を利用する機器では、使用している通信規格や通信事業者のサービス終了によって、機器の改修や通信端末の交換が必要になる場合があります。想定使用年数に対して、メーカーがどの程度サポートを行うのか確認します。

クラウド停止時の運用を確認する

インターネットやクラウドサービスに依存する設備では、通信障害やサービス障害が発生する可能性があります。特に換気、暖房、灌水など作物の生育や安全に直接影響する設備では、通信不能時でも現地操作や自動制御を継続できる構成が必要です。

データの所有・移行条件を確認する

取得した圃場・栽培・機械データを誰が利用できるのか、CSV等で取り出せるのか、他社システムへ移行できるのか、契約終了時にデータがどう扱われるのかを導入前に確認します。

製品選定の意思決定フレームワーク

  1. 現在の作業時間、作業人数、収量、資材使用量などを把握する。
  2. 解決したい課題と、導入後に改善したい数値を決める。
  3. 必要な機能だけを抽出し、製品候補を比較する。
  4. 既存農機・設備、通信、電源、設置場所との適合を確認する。
  5. 初期費用だけでなく、5年程度を目安とした維持費・更新費を含めて比較する。
  6. 導入前にKPIを設定し、導入後に実績値と比較する。
  7. 期待した効果が得られない場合に設定変更・撤去・他方式への変更が可能か確認する。

関連する資材分類・農業用語

参考リンク

農林水産省 スマート農業

農林水産省 スマート農業技術活用促進法について

農林水産技術会議 スマート農業実証プロジェクト 実証関係データ

農研機構 農業データ連携基盤 WAGRI

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