塩類集積(えんるいしゅうせき)

塩類集積とは

塩類集積(えんるいしゅうせき)とは、肥料成分などの水溶性塩類が土壌中に過剰に蓄積する現象です。
施設栽培では雨水による自然な洗い流しが少なく、多肥や水分の蒸発・蒸散に伴う水移動によって塩類が根域や土壌表層へ集積することがあります。

塩類集積と「塩害」は同じ意味ではありません。
塩類集積は土壌中に塩類が蓄積した状態を指し、塩害は高い塩類濃度などによって植物に生育障害が生じた状態を指します。

施設栽培で塩類集積が起こりやすい理由

露地では降雨によって水溶性成分が下層へ移動することがあります。
ビニールハウスなどでは雨が遮られるため、施肥によって供給された成分が作物に吸収されず残ると、土壌中へ蓄積しやすくなります。

さらに土壌水分が蒸発・蒸散によって上方へ移動すると、水に溶けた塩類も表層側へ移動します。
排水不良や過剰施肥も集積を助長します。

「灌水量が多いほど塩類集積する」と一律に考えるのは誤りです。
排水性が確保された条件では、適切な水量を浸透させることで塩類を根域より下へ溶脱させる管理が行われる場合があります。
原水自体の塩類濃度が高い場合は別途評価が必要です。

塩類集積による生育障害

根域の塩類濃度が高くなると水の浸透ポテンシャルが低下し、土壌に水分が存在していても作物が水を吸収しにくくなる場合があります。

さらに特定の養分やイオンが過剰になると、養分バランスの崩れや特定元素による障害が発生することがあります。
症状だけでは肥料不足や根傷みと区別できないため、見た目だけで塩類集積と判断しないでください。

ECだけで原因までは分からない

ECは塩類集積を確認する代表的な指標です。
ただし、ECは溶液中に存在するイオン量の総体的な指標であり、どの成分が過剰なのかまでは分かりません。

また、土壌ECは抽出方法、土壌と水の割合、温度などによって値が変わります。
異なる方法で測定した数値を直接比較してはいけません。

原因を判断する場合は、ECだけでなく
土壌診断
によって硝酸態窒素、交換性塩基なども確認します。

塩類集積への対策

対策の基本は、原因となる過剰施肥を止めることです。
土壌診断結果を基に施肥量を見直し、作物が利用しなかった養分を毎作追加し続けないようにします。

排水が確保できる圃場では、灌水による溶脱を利用できる場合があります。
排水性が悪い状態で大量灌水すると過湿障害を招くため、必要に応じて
暗渠排水など排水条件も確認します。

熱水土壌消毒では大量の水が土壌中を移動するため、結果として除塩方向に作用する場合があります。
ただし、本来は病害虫防除を目的とする設備であり、燃料、水量、施工コストも大きいため、単純な除塩方法として導入するものではありません。

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