
連棟ハウス(れんとうはうす)とは、複数の単棟型ビニールハウスを横方向に連結し、一体構造とした農業用施設のことを指します。
連結された屋根が両屋根式となっており、広い室内空間を確保できるのが特徴です。これにより、人力に頼らない栽培作業の機械化や管理設備の自動化がしやすくなり、大規模生産や効率的な営農体系の構築に適しています。
また、単棟式のビニールハウスと比べて建設資材の共有が可能なため、1平方メートルあたりの建設コストが抑えられるというメリットもあります。
同意語としては「連結型ハウス」「多連棟ハウス」「連続ハウス」などが用いられることがあります。
連棟ハウスの概要
連棟ハウスは、単棟ビニールハウスを連続的に並べ、支柱や屋根構造を共有させることで、構造を簡素化しつつ内部空間を拡張したタイプの施設です。
この構造により、空間の一体管理が可能となり、温度・湿度の均一化、作業動線の短縮、機械走行の自由度向上など、多くの効率化が実現されます。
連棟ハウスの詳細説明
- 構造面
両屋根式(A型)の形状が一般的で、屋根部分を共有することで、支柱の本数や資材を削減できます。 - 施工面
一度に広範囲を覆えるため、基礎工事・ビニール展張・灌水装置の設置などが統合して行え、工期の短縮も期待されます。 - 栽培面
野菜・果樹・花卉類のいずれにも適用され、特に周年栽培や高付加価値作物の大規模生産に向いています。
連棟ハウスの役割
- 省力化・機械化の促進
広い内部空間により、トラクターや搬送ロボットの導入が可能となり、省力的な農業運営を実現します。 - 環境制御の効率化
空間が一体であることで、温湿度管理や炭酸ガス施用、遮光調整などの制御装置が効率的に機能します。 - 施工コストの抑制
単棟に比べ、支柱や天井材の共有により建築資材が減り、建設コストの低減につながります。
連棟ハウスの課題と対策
1. 雪害リスクの増加
広い屋根面を持つため、積雪による荷重で倒壊する危険が高まります。
対策としては、補強部材を追加した耐雪構造の採用や、屋根勾配の見直し、冬季の定期的な除雪作業の徹底が挙げられます。
2. 換気性能の低下
大型化によって空気の流れが滞りやすく、病害の温床となる恐れがあります。
対策としては、側窓・天窓の自動開閉装置導入、強制換気用の送風ファン設置、内部仕切りの工夫により通気性を確保します。
3. 初期投資額の増大
一体型構造であるため、設計・建設時の初期投資が高くなる傾向があります。
対策としては、地方自治体の補助金制度の活用、リース契約や段階的拡張工事による費用分散などが有効です。