四倍体(よんばいたい)

四倍体(よんばいたい)
四倍体(よんばいたい)とは、細胞内に通常の2倍にあたる4セットの染色体をもつ植物

四倍体(よんばいたい)とは、植物の体細胞が通常の二倍体(2n)の2倍、すなわち四倍体(4n)の染色体を持っている状態を指します。

植物育種の分野では、コルヒチンなどの化学処理により二倍体から四倍体を人工的に作出する技術が確立されており、特に種無し果実や形質改良、ゲノム編集との併用などで重要な手段とされています。

四倍体の植物は一般に細胞が大きく、結果として葉や花、果実がより大型になる傾向があり、栽培効率や市場価値の向上に貢献します。

同意語としては「倍数体系植物」「多倍体植物」などが使われます。

四倍体の概要

植物は通常、父母それぞれから受け継いだ染色体を1セットずつ持つ二倍体(2n)が基本です。これに対して、四倍体は各染色体を2セットずつ持つため、染色体数が4nとなります。自然発生する場合もありますが、多くはコルヒチンなどによって人工的に細胞分裂を阻害し、染色体を倍加させることで得られます。

四倍体植物は一般に形質が安定し、雑種強勢(ヘテローシス)や無種子化に応用されます。

四倍体の詳細説明

四倍体植物は、生物学的に見れば染色体の倍加によって得られる多倍体植物の一種です。この形質は自然界でも観察されますが、意図的に作り出す場合には、主に以下のプロセスを通じて作出されます。

  1. 染色体倍加処理
  2. コルヒチンやオリザリンといった薬剤を用いて、細胞分裂中の紡錘糸形成を阻害し、染色体が複製されたまま分離しないようにします。

  3. 倍加後の選抜
    倍加された植物は通常の二倍体よりも明らかに大型で、葉の幅や厚み、花のサイズなどから選抜可能です。

  4. 繁殖と固定
    倍加が確認された個体は、通常の育種過程と同様に、形質固定と系統確立のために数世代を経て育成されます。

特にパンコムギ(コムギ類)では、四倍体系統を経て六倍体となった例もあり、作物改良における四倍体の意義は非常に大きいとされています。また、ブドウやジャガイモの一部品種においても四倍体化が実用化され、種無し果実の生産や病害抵抗性の強化に寄与しています。

四倍体の役割

  • 種無し果実の作出
    四倍体と二倍体を掛け合わせた結果得られる三倍体(3n)は不稔性となり、種無し果実を生じます。これにより、種無しブドウや種無しスイカなどの商品価値が向上します。

  • 収量性・品質の向上
    四倍体は細胞が大きくなるため、果実や葉の面積が拡大し、収量の増加につながることが多くあります。

  • 育種素材としての重要性
    ゲノム編集遺伝子導入時の背景系として、より強い性質を持つ系統の作出に活用されています。

四倍体に関する課題と対策

  1. 課題1:繁殖力の低下
    四倍体は染色体数が多いために配偶子(はいぐうし)の形成が不安定になることがあり、実生繁殖に課題が生じます。 
    対策: 無性繁殖(挿し木、栄養繁殖)や組織培養技術を用いて安定的に増殖させることが効果的です。

  2. 課題2:育成に時間がかかる
    形質が安定しない場合があり、育種過程で複数世代にわたり選抜と試験を繰り返す必要があります。
    対策: ゲノム解析やマーカー選抜技術を導入し、目的遺伝子を早期に判定することで、育成期間を短縮できます。

  3. 課題3:消費者の認知不足
    「四倍体」「種無し」の意味や安全性について、消費者に十分な理解が得られていないケースもあります。
    対策: 商品表示の工夫や、生産者・販売者からの丁寧な説明、SNSや直売所でのPR活動が有効です。

 

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