光周性(こうしゅうせい)

光周性

光周性とは

光周性(こうしゅうせい、Photoperiodism)とは、植物が1日の明期と暗期の長さの変化を認識し、花芽形成・開花・休眠・茎の伸長などの生理反応を変化させる性質です。

農業では特に、日長によって花芽分化や開花時期が変化する性質として重要です。
この性質を利用して、キクの電照栽培や長日処理、短日処理などが行われています。

なお、光周性は「光が強いほど生育がよくなる」という意味ではありません。
光合成に必要な光量とは別の生理反応であり、比較的弱い光でも、照射する時間帯や波長によって花芽形成などに影響する場合があります。

光周性では暗期の長さが重要

「短日植物」「長日植物」という名称から、昼の長さだけを感知しているように理解されやすいですが、花成反応では連続した暗期の長さが重要になる植物が多くあります。

例えば短日植物では、十分に長い暗期が続くことで花芽形成が促進されます。
しかし、その暗期の途中で人工照明を点灯すると暗期が分断され、短日条件が成立しなくなる場合があります。
このような夜間の照明を「暗期中断(光中断)」といい、長日処理の代表的な方法の一つです。

反対に長日植物では、暗期中断によって長日条件と同様の反応が生じ、花芽形成や抽だいが促進される場合があります。

短日植物・長日植物・中性植物

花芽形成や開花の日長反応によって、植物は一般に短日植物、長日植物、中性植物などに分類されます。
ただし、反応の強さや限界日長には種だけでなく品種差があるため、作物名だけで一律に判断してはいけません。

短日植物

短日植物は、日長が短くなり、一定以上の連続した暗期が確保されることで花芽形成・開花が促進される植物です。
代表例としてキクなどがあります。

キクでは夜間に照明して暗期を中断すると、花芽分化が抑制されます。
この性質を利用して開花時期を調節するのが電照栽培です。

長日植物

長日植物は、日長が長い条件、言い換えると暗期が一定時間より短い条件で花芽形成・開花が促進される植物です。
代表例としてホウレンソウなどがあります。

長日植物では、夜間の暗期中断によって花芽形成や抽だいが促進される場合があります。
そのため、葉を収穫するホウレンソウなどでは、不要な長日条件が早期抽だいにつながることがあります。

中性植物

中性植物(日長中性植物)は、花芽形成や開花が日長によって大きく左右されない植物です。
ただし、「光の影響を全く受けない」という意味ではなく、光量や波長、温度などが生育や開花に影響する場合があります。

限界日長とは

限界日長とは、短日植物・長日植物が花成反応を示す境界となる日長です。

ただし限界日長は作物ごとに固定された一つの値ではありません。
品種、温度、生育段階などによって反応が異なるため、実際の栽培では品種・作型ごとの試験結果や栽培基準を確認する必要があります。

光周性と光受容

植物は、葉などに存在する光受容系によって光環境を認識しています。
特に赤色光・遠赤色光に反応するフィトクロムなどが、日長反応に関係しています。

日長条件が花成に適した状態になると、葉で花成シグナルが形成され、フロリゲンなどを介して茎頂の花芽形成が誘導されます。
ただし、光周性の仕組みは植物種によって異なり、単純に特定波長だけで説明できるものではありません。

光周性を利用した栽培管理

施設園芸や花き栽培では、光周性を利用して開花や生育時期を調節します。
代表的な方法には次のようなものがあります。

  • 日長延長:日没後や日の出前に照明して明期を長くします。
  • 暗期中断:夜間の暗期途中に照明し、連続暗期を分断します。
  • 短日処理:遮光資材などを利用して人工的に暗期を長くします。
  • 電照栽培:人工照明を利用して日長・暗期を調節します。

例えばキクでは、暗期中断による長日効果を利用して花芽分化を抑制し、その後に電照を終了することで開花時期を調整します。
一方、長日植物では同じ暗期中断でも花芽形成や開花を促進する方向に作用する場合があります。

栽培上の注意点

  • 作物名だけで判断しない:日長反応には大きな品種差があります。
  • 昼の長さだけを見ない:連続した暗期の長さが重要な植物があります。
  • 街灯や作業灯にも注意する:夜間の弱い光でも暗期中断として作用する場合があります。
  • 波長によって反応が異なる:照明の明るさだけでは効果を判断できません。
  • 温度条件も無視できない:花芽形成は日長だけで決まるものではありません。
  • 光合成補光と混同しない:日長反応を制御する電照と、光合成量を増やす補光では目的と必要な光量が異なります。

よくある誤解

「短日植物は短い昼を測っている」
必ずしもそうではありません。多くの場合、連続した暗期の長さが花成反応で重要になります。

「長日植物は長時間、強い光を当てればよい」
誤りです。長日反応と光合成量は別の問題です。暗期中断のように比較的短時間・低光量の照明でも日長反応を起こす場合があります。

「同じ作物なら全品種で電照条件は同じ」
誤りです。光周反応には品種差があり、限界日長、光質への反応、必要な処理期間などが異なる場合があります。

「中性植物は光の影響を受けない」
誤りです。中性植物という分類は主として花成の日長反応についてのものであり、光量や光質が生育に影響しないという意味ではありません。

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