種子コーティング機・かくはん機とは
種子コーティング機・かくはん機とは、
播種前の種子に被覆資材や農薬などを付着させたり、
種子と処理材を混合したりするために使用する機械です。
水稲の直播用種子に粉粒状の資材を被覆する機械、
農薬などを種子表面へ処理する種子処理機、
種子と処理材を混合するミキサーなどが含まれます。
「コーティング機」「かくはん機」という名称だけでは、処理方法や対応する資材は判断できません。
機種によって、
回転ドラム式、スクリュー撹拌式など構造が異なり、
粉体、水、液剤などの供給方法や、
対応作物、1回当たりの処理量も異なります。
コーティング機とかくはん機の違い
種子コーティング機は、
種子を動かしながら粉体や液体などを供給し、
種子表面へ処理材を付着させる機械です。
国内では、水稲直播用の種籾へ
カルパー粉粒剤や鉄粉などを被覆する
回転ドラム式の機械も「種子コーティングマシン」と呼ばれています。
種子コーティング機がすべてペレット種子を製造する装置という意味ではありません。
かくはん機・種子処理ミキサーは、
種子を撹拌しながら処理材を混合・付着させる機械です。
粉衣処理などに使用する比較的単純な回転式ミキサーから、
液剤を供給しながら処理する専用の種子処理機まであります。
| 確認項目 | コーティング機 | かくはん機・種子処理機 |
|---|---|---|
| 主な働き | 種子を転動・撹拌させながら被覆材などを付着させる | 種子と処理材を撹拌・混合しながら付着させる |
| 代表的な用途 | 水稲直播用種子の被覆処理など | 農薬などによる種子処理、各種処理材の付着など |
| 処理材 | 粉体、水、液体など。機種によって異なる | 粉体、液体など。機種によって異なる |
| 選定基準 | 作物、種子量、処理材、処理方式、必要能力、清掃性などを確認する | |
コーティング機の方が高精度、かくはん機の方が低精度という区分はできません。
処理の均一性は、
機械構造、処理量、種子の状態、処理材、
供給方法、回転・撹拌条件などによって変わります。
水稲直播用種子のコーティング
水稲の播種では、
栽培方式に応じて種籾へ資材を被覆する場合があります。
カルパーコーティング、
鉄コーティングなどが代表例ですが、
使用する資材、播種位置、コーティング後の管理方法は同じではありません。
カルパー用の自動コーティング機では、
種籾を回転ドラム内で動かしながら、
粉粒剤と水を所定量供給して被覆します。
種籾の投入量や表面水分が変われば、
同じ機械設定でも仕上がりが変わる可能性があります。
鉄コーティングではさらに注意が必要です。
鉄粉の酸化反応によって発熱するため、
被覆後の放熱、酸化、乾燥などを
採用する処理体系に従って管理します。
「コーティング後は乾かせばよい」という単純な工程ではありません。
処理方法ごとのマニュアルや資材メーカーの使用条件を確認してください。
農薬による種子処理
種子へ殺菌剤や殺虫剤などを処理する
種子消毒にも、
専用の種子処理機やかくはん機が使用されます。
処理方式には粉衣、塗沫、浸漬などがあり、
使用できる方法は農薬ごとに異なります。
機械の設定と農薬の使用条件を混同しないでください。
農薬を種子へ処理する場合は、
対象作物、使用量、希釈条件、
使用時期、使用方法など、
その農薬の登録内容に従います。
付着が少なく見えるからといって、
任意に農薬量や濃度を増やしてはいけません。
また、処理時には使用する農薬に定められた
保護具や取扱方法を確認します。
異なる作物や処理材を同じ機械で扱う場合は、
前回処理した資材が機械内部に残らないよう、
清掃方法も確認してください。
機械選定で確認したい項目
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 作物・種子 | 水稲、麦、大豆、豆類など、機械が対応する作物と種子量を確認します。 |
| 処理目的 | 直播用被覆、種子消毒、その他の種子処理など、目的を明確にします。 |
| 処理材 | 粉体、液体、水を併用する資材など、機械が対応できる処理材を確認します。 |
| 処理量 | 1回当たりの投入量だけでなく、1時間・1日当たりに必要な処理量も確認します。 |
| 供給・計量 | 処理材や水を手作業で投入する機種、自動計量・供給する機種などがあります。 |
| 電源 | 単相100V、三相200Vなど機種によって異なります。 |
| 清掃性 | ドラム、スクリュー、排出口などに種子や処理材が残りにくく、清掃できる構造か確認します。 |
| 粉塵対策 | 粉体を扱う場合は、カバーやふたの有無、投入・排出時の飛散対策を確認します。 |
導入前に確認したい作業能力
機械の最大処理量だけで導入を判断すると、
実際の作業では予定した能力が出ないことがあります。
例えば1回の処理時間が短くても、
種子の計量、
処理材の準備、
投入、
排出、
次の処理までの清掃に時間がかかれば、
1日の実処理量は小さくなります。
少量多品目で作物や処理材を頻繁に切り替える場合は、
清掃や段取り時間の割合が大きくなります。
反対に、
同じ作物・同じ処理をまとまった量で行う場合や、
共同利用・受託処理を行う場合には、
自動供給や大量処理に対応する機械の利点が大きくなります。
カタログ上の処理速度ではなく、一連の作業時間で比較してください。
よくある間違い
コーティング機ならペレット種子を作れると考える
国内で販売される種子コーティング機には、
水稲種籾へ直播用資材を被覆する機械があります。
ペレット加工への対応は別に確認が必要です。
撹拌時間を長くすれば均一になると考える
長時間撹拌すれば必ず均一になるわけではありません。
処理量、回転速度、資材の供給方法、
種子の状態などが適合していなければ、
付着ムラや種子への機械的負担につながる場合があります。
メーカーが指定する処理条件を基準に調整します。
農薬量を増やして付着ムラを補う
これは誤りです。
農薬の使用量・使用方法は登録内容に従います。
機械側の付着不良は、
農薬量を増やすのではなく、
投入量、供給方法、撹拌条件や機械適合を確認します。
すべてのコーティング種子を同じ方法で乾燥する
後処理は被覆資材によって異なります。
特に鉄コーティングでは、
酸化に伴う発熱への対応が必要になります。
使用する資材と処理方法に対応した手順を確認してください。
機械を導入すれば発芽率が上がると考える
種子処理機そのものが
発芽率を高めるわけではありません。
種子消毒によって種子伝染性病害を抑えたり、
直播用被覆によって播種後の条件へ対応したりすることはありますが、
効果は処理目的と資材によって異なります。
種子品質や処理条件が不適切なら、
反対に発芽や出芽へ悪影響を与える場合があります。
種子コーティング機・かくはん機取り扱いメーカー・代理店
| 製造・発売元 | 製品名 | 特徴 |
|---|---|---|
| シンジェンタジャパン株式会社 | 種子処理機 Gepetto™(ゲペット) | スクリュー撹拌方式により農薬やバイオスティミュラントなどを種子へ塗布する種子処理機。大豆、小豆、トウモロコシ、水稲、小麦などに対応。2026年10月1日から全国で受注開始。 |
| ヤンマーアグリ株式会社 | 自動コーティングマシン YCT20 | 水稲直播用のカルパーコーティング機。粉衣剤の繰出し、水噴霧、傾斜回転ドラムによるコーティングを自動制御。使用粉衣剤や種籾投入量など所定条件の確認が必要。 |
| 株式会社クボタ | 自動鉄コーティングマシン 鉄コちゃん TC40 | 水稲の鉄コーティング種子づくりを自動化する機械。専用ミキサKNGM-3M7TCと組み合わせて使用。メーカー公式ページでは2026年7月時点で「在庫限り」と案内。 |
| セイカン株式会社 | 種子消毒ミキサー まぜコン ST-50-1 | 大豆などの種子消毒用ミキサー。ふた付きで粉末の飛散を抑え、シューターから処理済み種子を排出可能。大豆で約30kgの混合量を案内。 |
| 株式会社啓文社製作所 | 種子コーティングマシーン | 同社公式サイトには種子コーティングマシーンの製品カテゴリが残っていますが、現在そのカテゴリに製品記事は掲載されていません。現行公式メーカー製品ページを確認できなかったため外部リンクは付けておりません。 |