ISTAとは
ISTA(あいえすてぃーえー)とは、International Seed Testing Association(国際種子検査協会)の略称で、種子検査方法の国際的な統一を進める国際組織です。
1924年にイギリス・ケンブリッジで開催された国際種子検査会議で設立されました。
ISTAでは、種子のサンプリング、純潔度合、発芽、含水量、種子健全性などを検査する方法や、検査結果を報告する方法を定めたInternational Rules for Seed Testing(国際種子検査規程、ISTA Rules)を策定しています。
国や検査機関によって検査方法が異なると、同じ種子でも結果を単純に比較できません。
ISTAは検査方法や結果の報告方法を国際的にそろえることで、種子品質に関する検査結果の信頼性と比較可能性を高め、国際的な種子取引を支えています。
ISTA Rulesとは
ISTA Rulesは、種子の品質を一定の方法で検査し、その結果を報告するための国際的な規程です。
主な対象には次のような検査があります。
ISTA Rulesは固定された基準ではありません。
検査技術や科学的知見の変化に対応して検討され、ISTAの年次総会で改正案が審議・承認されています。
したがって、実際の種子検査や国際取引では、対象となる時点で有効なISTA Rulesを確認する必要があります。
ISTA認定試験所とは
ISTAでは、種子検査やサンプリングを行う機関について、ISTA RulesやISTA Accreditation Standardに適合して業務を行えるかを審査する認定制度を設けています。
審査では、試験所の品質管理体制、担当者、設備、検査方法、サンプリング方法などが確認されます。
認定された試験所であっても、すべての作物やすべての検査について無制限に認定されるわけではありません。
試験所ごとに認定範囲(Scope of Accreditation)が設定されています。
「ISTA会員であること」と「ISTA認定試験所であること」は同じ意味ではありません。
ISTA Certificateを発行するには、ISTAから必要な認定と発行権限を受け、その認定範囲内で検査を行う必要があります。
ISTA Certificateとは
ISTA Certificate(ISTA国際種子検査証明書)は、ISTA Rulesに従って実施した種子検査の結果を所定の様式で報告する証明書です。
ここで注意したいのは、ISTA Certificateは「この種子は高品質である」とISTAが格付け・保証する証明書ではないことです。
証明されるのは、規定された条件で実施された検査結果です。
ISTA Certificateには、代表的に次の2種類があります。
Orange International Seed Lot Certificate
Orange International Seed Lot Certificate(オレンジ国際種子ロット証明書)は、種子ロットからのサンプリングと試料の検査がISTA認定試験所等の責任の下で行われた場合に発行されます。
規定された方法でサンプリングされた試料と元の種子ロットとの関係が管理されるため、記載された検査結果は、サンプリング時点の種子ロット全体に対する結果として扱われます。
Blue International Seed Sample Certificate
Blue International Seed Sample Certificate(ブルー国際種子試料証明書)は、試験所へ提出された試料そのものについて検査結果を報告する証明書です。
種子ロットからのサンプリングがISTA認定試験所の責任下で行われていないため、試験所は、その試料が元の種子ロット全体を代表していることまでは証明しません。
Orange CertificateとBlue Certificateでは、証明される範囲が異なります。
証明書の色だけの違いではありません。
ISTAと種子品質の関係
ISTAは、特定の種子について「良い種子」「悪い種子」と一律に判定する組織ではありません。
例えば発芽率についても、ISTA Rulesで定められた条件によって試験し、その結果を数値として報告します。
その数値が取引条件、各国の法令、購入者の仕様などを満たすかどうかは、ISTA Certificateとは別の判断です。
したがって、
ISTA Certificateがある=ISTAがその種子の品質を全面的に保証している
という理解は誤りです。
種子を購入・輸出入する際には、証明書の有無だけでなく、対象となる種子ロット、検査項目、検査結果、証明書の種類、取引先や輸入国が求める基準を確認する必要があります。
日本におけるISTA種子検査
日本では、農研機構の種苗管理センターなどがISTA認定試験所として種子検査を行っています。
種苗管理センターでは、依頼に応じて、発芽率、純潔度合、含水量、異種種子の粒数、病害などの検査を行い、国際種子検査証明書を発行しています。
これらの証明書は、種子を国際的に取引する際の品質に関する公的な検査結果として利用されています。
ISTAで誤解されやすい点
- ISTAは種子そのものを認証する制度ではありません。
ISTA Accreditationの中心となる対象は種子検査所やサンプリング機関です。 - ISTA Certificateは品質等級の認定書ではありません。
規定された方法で得られた検査結果を報告する証明書です。 - ISTA会員とISTA認定試験所は同じではありません。
ISTA Certificateを発行するには、所定の認定と発行権限が必要です。 - Orange CertificateとBlue Certificateは同じ証明範囲ではありません。
Orange Certificateは所定の条件を満たした種子ロットと検査結果が関連付けられるのに対し、Blue Certificateは原則として提出された試料についての検査結果を示します。 - ISTA Rulesは改正されます。
実務で利用する場合は、必ずその時点で有効な規程を確認します。
ISTAの参考動画
ISTAの役割や種子検査技術を理解するには、ISTAが公式に公開している動画も参考になります。
次の動画は、FAO(国際連合食糧農業機関)とISTAによる共同ウェビナーで、種子検査の歴史や、純潔度、発芽、含水量、種子健全性などに利用される新しい検査技術について解説しています。
Joint FAO/ISTA Webinar: New Technologies in Seed Testing
International Seed Testing Association(ISTA)
Joint FAO/ISTA Webinar: New Technologies in Seed Testing(YouTube)を見る
動画について:
この動画は、ISTAと種子検査の仕組みや検査技術を理解するための参考資料として紹介しています。
農材ドットコムが制作・管理している動画ではありません。
動画の内容、公開状況、URLなどは、公開元の都合により変更または削除される場合があります。
また、実際の種子検査、国際取引、証明書発行に必要な条件は、対象作物、検査項目、輸出入国、取引条件、適用されるISTA Rulesなどによって異なります。
関連する資材分類・農業用語
参考資料
- International Seed Testing Association「About Us」
- International Seed Testing Association「International Rules for Seed Testing」
- International Seed Testing Association「Accreditation」
- 農研機構 種苗管理センター「農作物の種苗検査」
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