青年等就農資金(せいねんとうしゅうのうしきん)

青年等就農資金(せいねんとうしゅうのうしきん)
青年等就農資金は農業経営の安定と成長を目指す際に活用できる無利子融資制度

青年等就農資金の概要

青年等就農資金(せいねんとうしゅうのうしきん)とは、これから農業を始める若者や新規参入者が、安定した農業経営を確立するために利用できる無利子融資制度です。日本政策金融公庫が実施主体となり、国の農業政策の一環として設けられています。

この制度は、農林水産省と地方自治体の協力のもと、市町村から「認定新規就農者」として認定を受けた人を対象にしています。資金の用途は、農地の取得、農業機械や施設の導入、育苗・灌水(かんすい)設備の整備、種苗の購入、あるいは農業法人設立に向けた初期費用など、農業経営開始に必要な幅広い項目が対象です。 

返済期間は通常12年以内で据置期間も設けられ、経営が軌道に乗るまで無理なく返済できるよう配慮されています。

同意語としては「新規就農者資金」「就農支援資金」などがあります。

青年等就農資金の概要

青年等就農資金は、農業を志す青年やUターン・Iターン就農者、農業法人へ就職後に独立を目指す人など、幅広い層が対象です。制度の中心にあるのは「認定新規就農者」という資格で、これは就農計画書営農計を提出し、市町村が農業経営の実現性を認めた人に与えられます。 計画の中には、栽培作物や灌水システム、労働時間、収益見込み、機械設備などが具体的に記載される必要があります。これにより、農業経営を一時的ではなく持続的に行う意志と能力を証明します。

無利子で利用できる点が大きな特長で、資金の上限は3,700万円(令和6年度時点)。これは、ハウス建設やトラクター・コンバインなどの高額機械導入を伴う初期投資にも対応できる金額です。資金の融資は日本政策金融公庫を通じて行われ、審査には計画の実現可能性、地域農業の担い手としての意欲、農地確保の見通しなどが考慮されます。

青年等就農資金の詳細説明

青年等就農資金は単なる融資制度ではなく、農業経営の「育成支援策」として設計されています。農業を取り巻く環境は高齢化、人手不足、資材高騰など厳しい状況にあり、新規就農者が単独で経営を安定させるのは容易ではありません。そこで本制度は、資金支援とともに、地域の農業委員会、JA、指導機関が一体となって、経営・技術・流通の3分野をサポートします。

たとえば、秋田県では「次世代農業経営者ビジネス塾」を設け、農業経営力向上を目指す新規就農者を対象に経営・販売の基礎を学ぶ機会を提供しています。また、秋田県農業研修センターでも実践的な営農研修が行われており、青年等就農資金を活用した就農者が参加しています。

また、長野県では「新規就農者育成総合対策(就農準備資金等)」を通じて、青年等就農資金と併用可能な支援制度が整備されています。さらに「農業制度資金」の一環として位置づけられており、認定新規就農者が長期的に営農できる仕組みを持っています。

農地確保の面では、両県ともに「農地中間管理機構(農地バンク)」を活用しています。この制度により、農地所有者から借り受けた土地を新規就農者へ貸し出すことで、安定した圃場(ほじょう)の確保が可能です。 さらに、長野県小布施町の農地バンク制度のように、市町村レベルで運用される例も増えています。

青年等就農資金の役目・役割

青年等就農資金の役割は、単なる金銭的支援にとどまらず、次世代の農業経営者を育てる「仕組み」として機能している点にあります。 農業経営開始時に必要な設備投資、種苗・肥料購入費、施設の改修、雇用人件費などは高額で、自己資金だけでは賄いきれない場合が多くあります。無利子で利用できることにより、初期の経営不安を軽減し、営農技術や販売ネットワークの確立に集中できる環境を提供します。

  • 地域農業の担い手確保:農業従事者(のうぎょうじゅうじしゃ)の高齢化が進む中、若手の新規就農者を育成・定着させることで地域農業を維持・再生します。
  • 経営リスクの低減:無利子かつ長期返済により、収穫や市場変動の影響を受けにくい資金計画が立てられます。
  • 人材投資の促進:資金支援を通じて、農業を「職業」として成り立たせる人材育成を促進します。

青年等就農資金の課題と対策

  1. 課題1:認定要件のハードルが高い
    市町村による「認定新規就農者」審査では、計画内容の実現性や経営経験を厳しく問われます。そのため、未経験者が計画を作成するのは困難です。
    対策:各地の農業改良普及センターやJAの経営相談窓口を活用し、専門家と共同で計画を作成することで、実現性の高い営農計画を立案できます。

  2. 課題2:返済期間内での収益化リスク
    就農初期は天候不順や販売先未確保などにより収益が安定しない場合があります。
    対策:「農業次世代人材投資資金(準備型)」や「経営開始型」と併用することで、初期3~5年間の生活費を補い、資金負担を軽減できます。

  3. 課題3:情報・支援体制の地域格差
    地域によって制度の周知やサポート体制に差があり、利用者数に偏りが見られます。
    対策:自治体や県単位での「就農相談会」や「農業支援ポータルサイト」の整備が進められており、Web申請やオンライン面談を活用することで地域差の解消が期待されています。

 

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