メリケントキンソウの概要
メリケントキンソウは病気ではなく、栄養欠乏などの生理障害でもない「外来の雑草(雑草害の原因)」です。冬から春にかけてロゼット状で地表に張り付くように生育し、春に作られる果実(種子)が硬いトゲ状となって靴底・衣服・動物体表に刺さる、または付着することが被害の本質です。作物の生育停滞などを病害と誤認すると、不要な薬剤使用や対応の遅れにつながるおそれがあります。圃場管理では結実(種子形成)前に個体密度を低下させることが最も重要な判断点です。
メリケントキンソウの詳細説明
メリケントキンソウは、主に秋から冬にかけて発芽し、ロゼット(地表に葉を広げる形)で越冬した後、春に小さな花をつけ、地表近くに果実(種子)を形成します。踏圧(人や機械の踏みつけ)がかかる場所でも生存しやすく、生育点が地表に近い低草丈雑草であるため、通常の刈払いでは取り残されやすく、管理の遅れによって結実に至りやすい性質を持ちます。
被害の中心は、雑草としての養水分・光の競合だけではありません。果実のトゲが刺さることで、草地・芝地・畦畔において歩行や作業が阻害され、牧草・干草・敷料への混入による品質低下や、家畜・ペットの蹄(ひづめ)・皮膚への刺入リスクが問題となります。衣服・靴底・タイヤへの付着によって圃場間を移動しやすく、発生域が拡大しやすい点も重要な特徴です。
見落とされやすい兆候としては、「地表に薄く広がる」「草丈が低い」「点在的に増加する」「作業動線(通路・出入口・畦畔)に集中する」ことが挙げられます。トゲ果実が確認できた段階では、すでに拡散が進行している可能性が高く、翌年の発生密度を高めやすいため、ロゼット期から開花前までの段階での確認と対応が判別・判断上の要点になります。
トゲ果実で被害を出す冬生雑草メリケントキンソウ。
メリケントキンソウが圃場で引き起こす影響
圃場や草地における影響は、①作業性の低下(トゲ果実による刺入、歩行や作業の支障、管理遅延)、②牧草・景観・管理品質の低下(牧草や敷料への混入、見た目や利用価値の低下)、③拡散による管理コストの増加(出入口や通路を起点とした周辺圃場への拡大)に集約されます。作物の収量低下は発生密度や発生場所(通路・畦畔・畑地・草地)によって現れ方が異なり、単年で急激な減収を招く例は多くありませんが、発生を放置すると翌年以降の管理負担や作業阻害が継続的な損失として蓄積します。
メリケントキンソウの発生状況に応じた管理判断基準
- 経過観察でよい状態
ロゼット個体が少数で、圃場外周や局所に限定されており、結実前に手取りや局所管理によって確実に除去できる密度。 - 対策が必要な状態
通路・畦畔・草地に面として広がり始め、作業動線での再侵入が確認される、またはロゼット数が増加傾向にあり、結実前の除去が追いつきにくい状態。 - 管理体系の更新判断が必要な状態
草地・芝地で広範囲に優占し、結実後のトゲ果実が毎年大量に残存するため、局所対応では密度低下が見込めず、利用や作業に恒常的な支障が生じている状態(草地更新や管理体系の見直しを検討)。
メリケントキンソウの防除対策
- 耕種的防除(作期・管理による回避)
メリケントキンソウ対策の基本は、結実前(ロゼット期〜開花前)に発生密度を低下させる管理です。出入口・通路・畦畔など外部からの持ち込みが起きやすい場所を重点的に監視し、草地・芝地では裸地化を避け、被覆(被度)を維持することで発生余地を減らします。更新や追播は、長期的な密度低下を目的として位置づけます。 - 物理的・環境的防除
少発生の場合は、手袋を着用した手取りと持ち出し処分(袋詰め)を基本とします。刈払いは結実前に行うことで有効ですが、結実後に行う場合は密度低下ではなく拡散防止を目的とし、トゲ果実や残渣を他圃場へ持ち出さない管理へ切り替える必要があります。靴底・機械・タイヤに付着した果実や土壌を除去し、圃場間移動による拡散を防ぎます。 - 化学的防除(適用条件と限界)
化学的手段は、作物や草地の種類、周辺作物、利用目的(採草・放牧・景観)によって使用可否が大きく異なります。登録内容と適用条件に合致する場合に限り、結実前の密度低下を目的とした補助的手段として位置づけます。結実後は効果が間に合わない場合が多く、枯死後もトゲ果実が残存することがあるため、化学的手段のみで被害が解消すると判断しないことが重要です。
メリケントキンソウに関する留意点と課題
- 現場で起きやすい誤判断:作物の生育不良を病害と誤認し、雑草管理の優先度を下げてしまう。
対処方法:発生場所(通路・畦畔・踏圧部)とロゼット分布を確認し、結実前の除去を管理判断の最上位に置く。 - 現場で起きやすい誤判断:継続的に刈払いを行っているため問題ないと判断する。
対処方法:刈払いは結実前の密度低下を目的に実施し、結実後は拡散防止を目的とした管理へ切り替える。 - 現場で起きやすい誤判断:除草剤処理によってトゲ被害も同時に解消できると考える。
対処方法:化学的手段は密度低下を目的とした補助策に限定し、物理的除去・草地更新・被度維持と組み合わせて被害軽減を図る。







