
ナガエツルノゲイトウ(ながえつるのげいとう)とは、南米原産のヒユ科に属する多年草で、日本に侵入した特定外来生物に指定されている植物です。外来植物として非常に強い繁殖力と再生力をもち、一度定着すると水田や河川、水路などで急速に広がります。
葉や茎が地表を覆い尽くすように伸びるため、稲など農作物に深刻な被害を与え、作業効率の低下や収量減少を招きます。
繁茂した群落は除草剤を用いても駆除が難しく、耕作者や自治体に大きな負担をもたらしています。特に、稲作の現場では倒伏や減収といった課題に直結するため、早期発見・早期駆除が不可欠とされます。
同意語としては「外来雑草」「侵略的水草」などがあります。
河川で繁茂するナガエツルノゲイトウ
ナガエツルノゲイトウの概要
ナガエツルノゲイトウは学名を「Alternanthera philoxeroides(オルテルナンテラ・フィロクセロイデス)」といい、英語では「Alligator weed(アリゲーターウィード)」と呼ばれます。
茎はつる状に伸び、節から新しい根を出す特性を持ち、切れ端からでも容易に再生します。葉は長楕円形で対生し、花は小さな白色の球状花序を形成します。
湿地、水辺、農地圃場など環境を選ばず繁茂するため、世界各国で問題視されている外来種です。見分け方としては、地を這うように伸びる茎と密生する葉、そして根からの旺盛な再生力が特徴です。
ナガエツルノゲイトウの詳細説明
この植物は水田や河川敷に定着すると、強い繁殖力により稲の生育環境を奪います。雑草としての性質に加え、水草的な特性を持ち、水面を覆い尽くして光合成を阻害し、水流を滞らせるために水質悪化や生態系の撹乱も引き起こします。
また、外来種として在来植物を駆逐し、生物多様性を損なうリスクもあります。
農業面では、水田作業時の機械に絡みつき、作業性を低下させるため、農機具の効率も下がります。このため農業被害、環境被害の両面で深刻な課題を抱える植物といえます。
ナガエツルノゲイトウの課題
ナガエツルノゲイトウ代表的な課題と対策を示します。
- 課題1:稲作への被害
水田に繁茂すると稲の光合成や養分吸収を阻害し、倒伏や減収を引き起こします。対策としては、早期発見が最も重要であり、小規模な段階で根ごと除去することが推奨されます。また農業用除草剤の適正利用も組み合わせる必要があります。 - 課題2:水路や河川での蔓延
水流を妨げて洪水リスクを高め、環境全体に悪影響を及ぼします。対策は、地域での協働防除が不可欠で、住民と自治体が連携して除去作業を行うことが求められます。また、除去後の断片を放置せず適切に処分することが大切です。 - 課題3:再生力の強さ断片からでも再生するため、一度駆除しても短期間で再び繁茂します。対策として、根や茎を完全に除去し、埋設処分や焼却処分を徹底する必要があります。防除に失敗すると群落が拡大するため、継続的なモニタリングが重要です。
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まとめ
ナガエツルノゲイトウ(ながえつるのげいとう)は、農業と自然環境に深刻な影響を与える外来種です。見分け方を知り、雑草・水草としての性質を理解することが防除の第一歩です。除草剤の適正使用や外来種対策の知識を活用し、地域単位での協力体制を構築することが不可欠です。農業者にとっては「いかに早く気づき、駆除を徹底できるか」が被害を防ぐ鍵となります。