チップバーン(ちっぷばーん)

チップバーン(ちっぷばーん)
チップバーンは新葉の葉先・葉縁が褐変して枯れ込む生理障害

チップバーン(ちっぷばーん)の概要

チップバーン(ちっぷばーん)とは、新葉や生長点(せいちょうてん)まわりの葉先・葉縁(ようえん)が褐変(かっぺん)して枯れ込む症状として現れる、生理障害(せいりしょうがい)です。病原菌(びょうげんきん)や害虫による感染性被害ではなく、農薬で直接改善できる病気ではありません。多くの場合、カルシウムの不足「量」ではなく、体内への供給(いどう)や移行がうまく機能しない状態が関与し、乾燥、急な生育加速、根傷み、塩類(えんるい)条件、養分バランスの偏りなどが重なると発生しやすくなります。

チップバーン・カルシウム欠乏症・薬害の違い(簡易整理)

  • チップバーン
    新葉(しんよう)・生長点付近の葉先や葉縁が局所的に褐変し、進行すると壊死(えし)する症状名(状態語)感染性病害の有無は症状だけでは判断できず、発生条件・経過・再発性を含めた整理が必要。
  • カルシウム欠乏症(けつぼうしょう)
    チップバーンを引き起こしやすい原因概念(要因語)。土壌や培地中にCaが存在していても、蒸散(じょうさん)、根量、塩類条件、養分拮抗(きっこう)などにより新葉へ十分に届かない欠乏が生じる。診断名ではなく、要因整理のための概念
  • 薬害(やくがい)
    薬剤の種類・濃度・混用・散布条件によって起こる障害。葉の奇形(きけい)、縮れ、斑状(はんじょう)の退色などを伴うことが多く、症状の発生時期が散布履歴と一致するかが重要な判断軸。葉先の枯れだけでチップバーンと決め打ちするのは危険

チップバーン(ちっぷばーん)の詳細説明

チップバーンは、細胞壁(さいぼうへき)の形成や細胞膜(さいぼうまく)の安定に関わるカルシウムが、生長点や若い葉の先端まで十分に届かない状態が重なったときに起きやすい生理障害です。カルシウムは体内での再配分(さいはいぶん)がほとんど起きない要素で、主に水の流れ(蒸散流)に乗って移動するため、急激な生育促進や水分移動が不安定な条件では「新葉だけが局所的に不足」しやすくなります。

そのため、土壌や培地にカルシウムが存在するかどうかだけでは説明できず、根の状態、水分変動、塩類濃度、養分拮抗、夜間環境などを要因の組み合わせとして整理しないと、対策が外れて症状が繰り返されます。施設栽培では、見かけのCa不足よりも移行不良が主因となるケースが多い点が重要です。

誘発(ゆうはつ)しやすい条件として、灌水(かんすい)の乾湿差(かんしつさ)が大きい根傷み(ねいたみ)や根量不足塩類集積(えんるいしゅうせき)による吸水低下カリウム(K)・マグネシウム(Mg)・アンモニウム態窒素(NH4-N)の多用による相対的なCa不利急な温度上昇や過度の窒素施用による生育加速などが挙げられます。加えて、夜間の高湿・低蒸散状態や急な夜温変動は、日中の吸水と新葉への供給バランスを崩し、発生を助長します。

症状(しょうじょう)は、初期には新葉の葉先・葉縁に限局した褐変として現れ、株全体の勢いが保たれている場合もあります。進行すると壊死(えし)部が広がり、葉が硬化したり展開が乱れたりします。壊死部は二次腐敗(にじふはい)の起点になりやすく、結果として商品性の低下や管理負担の増加につながります。

イチゴのチップバーン症状 イチゴのチップバーン症状

圃場で必ず確認すべきチェック項目(除外診断)

  • 根の状態:白さ・根量・褐変・腐敗臭の有無
  • 灌水条件:乾湿差の大きさ、灌水間隔、潅水直後の萎れ
  • 塩類条件:培地・土壌EC推移、ドレン率、塩類集積位置
  • 養分バランス:K・Mg・NH4-Nの過多、急な施肥変更履歴
  • 環境要因:夜間湿度、結露時間、温度変動、送風ムラ
  • 散布履歴:直前の農薬・資材散布と症状発現時期の一致

チップバーン(ちっぷばーん)が圃場で引き起こす影響

軽度では一部の葉先枯れにとどまり、生育への影響が小さい場合もあります。しかし、新葉で同様の症状が繰り返し現れる場合には、光合成(こうごうせい)面積の低下生育の停滞果実品質や外観評価の低下につながります。特に新葉の障害が継続する場合は、株の更新(こうしん)や次の花房形成(かぼうけいせい)にも影響し得るため、「自然に戻る」ことを前提にした放任は危険です。

チップバーン(ちっぷばーん)への対応と判断基準

  • 環境改善で回復可能な状態
    新葉の一部に軽い葉先褐変が見られるが、株全体の勢いは保たれている。根の白さ、乾湿差、EC上昇の兆候を点検し、その後に展開する新葉が正常化する
  • 生育遅延が残る可能性がある状態
    新葉の壊死が続き、葉の展開不良や株のまとまり低下が確認される。単一の対策では止まりにくく、根域・塩類・養分・環境を同時に是正する必要がある。
  • 作り直し・更新判断が必要な状態
    生長点付近の新葉が繰り返し強く枯れ込み、次に展開する新葉で再発する。根機能低下が疑われ、管理修正のみでは立て直しが困難な場合。

チップバーン(ちっぷばーん)に関する留意点と課題

  • 典型的な誤判断①:病気とみなして殺菌剤を増やす
    なぜ誤りか:生理障害であり、一次原因を解消しない。二次腐敗は別件で判断する。
  • 典型的な誤判断②:CaがあるからCa不足ではないと切り捨てる
    なぜ誤りか:問題は「存在量」ではなく「移行」。根域と環境が整わなければ再発する。
  • 典型的な誤判断③:葉面Caを濃く・頻繁に当てて解決したつもりになる
    なぜ誤りか:薬害や塩害を招きやすく、原因が残れば再発する。
  • 典型的な誤判断④:湿度が高いからと送風・換気を上げ続ける
    なぜ誤りか:低温化・根吸水低下・水分ストレスを招くことがある。目的は換気ではなく、吸水と供給の安定
新規CTA
種苗、肥料、農業資材の取扱店。 営農アドバイスも受けれます。
新規CTA
【無償掲載キャンペーン】農材ドットコムに貴社の商品情報を掲載!!
新規CTA
農材ドットコム SNSの告知
新規CTA
TOP