シナチクノメイガ

シナチクノメイガ
シナチクノメイガは、タケ類の葉を食害する中国原産の外来種

シナチクノメイガ(しなちくのめいが)は、チョウ目ツトガ科ノメイガ亜科に属する外来性の害虫で、学名をEumorphobotys eumorphalis(ユーモルフォボティス・ユーモルファリス)といいます。

中国南部から侵入したと考えられており、日本では2020年に愛知県で初めて発生が確認されました。その後、複数の都府県で確認され、竹林やタケノコ生産地への影響が懸念されています。

幼虫(ようちゅう)は主にタケ・ササ類の葉を食害します。葉を糸で綴(つづ)り合わせた「つと」を作り、その内部に潜むため、初期段階では発生に気付きにくい害虫です。多発すると緑葉が大きく減少し、竹林が枯れたように見える場合があります。

シナチクノメイガの概要

シナチクノメイガの成虫は、翅(はね)を広げたときの幅である開張(かいちょう)がおよそ30〜40mmです。日本国内で確認されているノメイガ類の中では大型で、雌雄(しゆう)により前翅(ぜんし)の色が異なります。

幼虫は淡緑色から淡赤白色で、終齢幼虫(しゅうれいようちゅう)では体長約30mmになります。幼虫はタケ・ササ類の葉を糸で綴り合わせて「つと」を作り、その中に潜みます。つとの中で蛹化(ようか)する場合があるほか、外部へ移動して薄い繭(まゆ)を作り蛹化する場合もあります。

若齢幼虫(じゃくれいようちゅう)は葉の表面をなめるように食害し、白い筋状の痕を残します。成長した幼虫は葉をかじって食害します。多発すると緑葉が失われ、竹林が枯れたように見える場合があります。

国内では2020年に愛知県で初めて発生が確認されました。その後、静岡県、山梨県、神奈川県、東京都、千葉県、栃木県、兵庫県、京都府、大阪府などでも確認されています。ただし、確認地域は今後も変化する可能性があります。最新の発生状況は、各都道府県の病害虫防除所が公表する特殊報や防除情報を確認してください。

主な寄主植物(きしゅしょくぶつ=害虫が成長や繁殖のために利用する植物)は、タケ・ササ類です。タケノコを収穫する竹林で多発すると、葉を失うことによる竹勢(ちくせい)の低下が懸念されます。

シナチクノメイガの成虫シナチクノメイガ

シナチクノメイガと疑われる被害を見つけた場合

竹やササの葉が糸で綴じ合わされ、内部に幼虫が潜んでいる場合は、ノメイガ類による被害が疑われます。竹林を見回る際は、葉の不自然な綴じ合わせ、白い筋状の食害痕、葉の欠損、幼虫、蛹(さなぎ)の有無を確認してください。

ただし、被害葉や幼虫の外見だけで、シナチクノメイガと断定することはできません。タケ・ササ類を加害する別のノメイガ類も確認されています。被害が急速に拡大している場合や、タケノコ生産竹林で発生した場合は、最寄りの病害虫防除所、農業改良普及センター、自治体またはJAへ相談してください。

シナチクノメイガの課題と対策

シナチクノメイガや、たけのこのノメイガ類については、通常の農薬登録だけを見て防除方法を判断することはできません。一部地域では、植物防疫法第29条第1項に基づく地域限定の防疫措置が公表されています。ここでは、主な課題と対策を3点に整理します。

  1. 課題1:通常登録の農薬がなく、使用できる薬剤は地域により異なる
    シナチクノメイガや、たけのこのノメイガ類に対して、全国一律に使用できる通常登録の農薬が示されているわけではありません。

    ただし、一部地域では被害拡大を受け、植物防疫法第29条第1項に基づく都道府県の防疫措置として、一定条件下で農薬を使用できる場合があります。京都府では「エスマルクDF」、大阪府では「トアロー水和剤CT」を用いた地域限定の措置が公表されています。

    対策: 農薬を使用する前に、必ず栽培地を管轄する病害虫防除所、農業改良普及センター、自治体またはJAへ確認してください。別の都道府県で認められた薬剤を、自己判断で使用してはいけません。措置内容は変更または終了する可能性があるため、必ず最新の公表資料を確認してください。

  2. 課題2:幼虫が葉の内部に潜むため、初期発見が難しい

    幼虫は葉を綴り合わせて作った「つと」の中に潜みます。そのため、竹林全体が褐変するまで被害に気付かない場合があります。

    対策: 竹林内を定期的に見回り、綴じ合わされた葉、幼虫、蛹を見つけた場合は、可能な限り除去してください。除去した被害葉は竹林内に放置せず、袋などに回収します。処分方法は、自治体、病害虫防除所または農業改良普及センターの指示に従ってください。
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  4. 課題3:被害葉や幼虫だけでは種を断定できない
    タケ・ササ類を加害するノメイガ類は、シナチクノメイガだけではありません。幼虫の外見や葉の被害だけで、原因となる種を確定することは困難です。

    対策: 被害が広がっている場合は、被害葉や幼虫を確認できる写真を撮影し、発生場所、確認日、被害範囲を記録してください。自己判断で害虫名を断定せず、病害虫防除所、農業改良普及センター、自治体またはJAへ相談してください。

農薬を使用する前に必ず確認すること

シナチクノメイガや、たけのこのノメイガ類に対する農薬の使用可否は、地域によって異なります。都道府県が植物防疫法第29条第1項に基づく措置を行っている場合でも、対象地域、対象作物、薬剤名、希釈倍率、散布液量、使用時期、使用方法などの条件を守る必要があります。

  • 栽培地を管轄する病害虫防除所または農業改良普及センターへ確認する
  • 他の都道府県で認められた措置を自分の地域へ流用しない
  • 被害葉や幼虫だけで害虫の種を断定しない
  • 散布前に、最新の行政資料と購入した農薬の登録内容を確認する
  • 散布日、散布場所、使用薬剤、希釈倍率、散布量などを帳簿へ記録する

重要:地域限定の防疫措置は、通常の農薬登録が恒久的に拡大されたことを意味しません。措置が終了または変更される場合があります。農薬名だけを見て自己判断で散布しないでください。

参照

  • 京都府病害虫防除所:「病害虫発生予察特殊報第5号 シナチクノメイガ」
    https://www.pref.kyoto.jp/byogai/documents/tokusyu2024_05.pdf
    → 京都府におけるシナチクノメイガの発生、成虫と幼虫の形態、タケ類での被害、防除上の注意点を確認できます。
  • 京都府病害虫防除所:「植物防疫法第29条第1項に基づく措置(たけのこのノメイガ類に対する防除)について」
    https://www.pref.kyoto.jp/byogai/documents/nomeiga_article_29.pdf
    → 京都府における、たけのこのノメイガ類に対する地域限定の防疫措置を確認できます。措置内容は変更または終了する可能性があるため、最新情報の確認が必要です。
  • 大阪府環境農林水産部農政室:「病害虫発生予察 特殊報 第2号 シナチクノメイガ」
    https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/126628/250926_tokusyuhou02_shinachikunomeiga.pdf
    → 大阪府内での発生、国内の確認地域、形態、生態、被害症状、防除対策を確認できます。大阪府における植物防疫法第29条第1項に基づく地域限定措置の資料も含まれています。
  • 大阪府環境農林水産部農政室:「たけのこのノメイガ類の発生について」
    https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/126628/250731boujojoho04_takenoko_nomeiga.pdf
    → タケノコ栽培竹林で発生するノメイガ類について、幼虫段階では種を確定できない場合があること、早期発見と物理的除去が必要であることを確認できます。
  • 京都府病害虫防除所:最新情報
    https://www.pref.kyoto.jp/byogai/
    → 京都府における最新の病害虫発生情報と、防疫措置の更新状況を確認できます。

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