赤カビ病原菌(あかかびびょうげんきん)

赤カビ病原菌(あかかびびょうげんきん)
赤カビ病原菌(あかかびびょうげんきん)

赤カビ病原菌(あかかびびょうげんきん)とは、フザリウム属(Fusarium)に属する糸状菌(しじょうきん)の一群であり、特にFusarium graminearum(フザリウム・グラミネアラム)種複合体が知られています。

この菌は、小麦、大麦、トウモロコシなどの穀物類に感染し、穂や茎、種子を侵します。

特に開花期に湿度が高くなると分生子という胞子(ほうし)を飛散させ、植物体に侵入して繁殖します。

赤カビ病原菌がもたらす最大の問題は、「かび毒(どく)」と呼ばれる有害物質、特にデオキシニバレノール(DON)の産生にあります。これは人や家畜に有害であり、食品衛生の観点からも非常に重要な課題となっています。 

同意語としては「フザリウム病原菌」「赤かび病菌」などがあります。


赤カビ病原菌の詳細説明

赤カビ病原菌は、フザリウム属の中でも土壌中に普遍的に存在し、植物の残渣(ざんさ)などから越冬して、翌年の作物に感染をもたらします。発生のリスクが特に高まるのは、開花期から登熟期にかけての高湿環境です。

この期間に降雨や曇天が続くと、菌の分生子が形成・拡散しやすくなり、植物体の傷口や自然開口部から侵入します。感染後は、茎や穂が赤褐色に変色し、しばしば腐病(ふびょう)状の症状が現れます。

顕微鏡で観察すると、菌糸や分生子の形態が確認でき、確定診断の一助となります。感染した種子は見た目に分かりにくいこともあり、基準値を超えるかび毒が含まれることもあるため、検査が不可欠です。食品衛生法では、DONの含有量に基準値が定められており、超過した穀物は流通できません。

赤カビ病原菌の課題と対策

自然界においては、有機物の分解者としての一面もある赤カビ病原菌ですが、農業生産においては大きな課題を伴います。以下に代表的な課題とその対策を示します。

  1. かび毒(DON)の汚染
    かび毒は収穫物に含まれ、人や家畜が摂取すると健康被害を引き起こす可能性があります。特に小麦やトウモロコシでは食用・飼料用ともに深刻な影響を及ぼします。
    対策:栽培中に耐病性品種の導入、開花期前後の殺菌剤散布、収穫後の検査と乾燥管理の徹底が必要です。

  2. 品質と収量の低下
    赤カビ病原菌に感染すると穂や実が萎縮し、見た目の品質低下や収量減を招きます。
    対策:前作物の残渣をすき込みまたは焼却し、輪作による病原菌の密度低減を図ることが効果的です。

  3. 感染の広がりやすさ
    分生子による空中伝播や、種子への感染によって圃場全体に広がるリスクがあります。
    対策:無病種子の使用、開花期の気象条件の把握、発病初期の観察と早期対処が重要です。

まとめ

赤カビ病原菌は、穀物類にとって深刻な病害を引き起こす重要な病原菌であり、食品の安全性や農業収益に多大な影響を及ぼします。

そのため、赤カビ病の発生メカニズムを理解し、予防的な防除対策を適切に講じることが、生産者にとっても、消費者にとっても大変重要です。

今後も育種や農薬開発の進展とともに、赤カビ病原菌に対する総合的な管理手法(IPM)を強化していくことが求められます。

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