葉茎菜類(ようけいさいるい)の概要
葉茎菜類(ようけいさいるい)とは、野菜のうち食用部位が葉または茎である作物をまとめた分類用語であり、栽培方法や資材の種類を示す言葉ではありません。果実を食用とする果菜類(かさいるい)や、根を食用とする根菜類(こんさいるい)と区別するために用いられ、作付計画や作物整理のための概念的な区分です。
葉茎菜類(ようけいさいるい)の詳細説明
葉茎菜類は、食用部位が葉身(ようしん)・葉柄(ようへい)・茎(くき)・若い花茎(かけい)などに該当する作物をまとめた呼称です。代表例として、葉を食べるホウレンソウ、コマツナ、レタス、チンゲンサイ、キャベツなど、茎や花茎を食べるアスパラガス、セロリ、フキ、ミョウガの茎葉部などが挙げられます。ただし「葉菜類(ようさいるい)」は主に葉を食べる作物を指す用語として使われることが多く、茎を主とする作物を含めるかは文脈によって異なります。そのため、用語集では「葉茎菜類=葉または茎が主食用部位」という定義を先に固定し、例示によって補足する扱いが適切です。
本用語は資材や栽培技術ではなく作物分類であるため、pHや化学的安定性といった用土資材の物性項目は評価対象になりません。一方で、葉や茎が可食部となる作物では、栄養成長の状態がそのまま収穫物の品質に反映されやすく、施肥設計や水分管理の影響を受けやすい傾向があります。特に窒素管理が不適切な場合、硝酸態窒素(しょうさんたいちっそ)の蓄積や軟弱徒長(なんじゃくとちょう)などが外観品質や日持ちに影響することがあります。
現場で問題になりやすい点は「分類の混同」と「管理目標の取り違え」です。判断基準として、(1)食用部位が果実・根・球ではなく葉または茎か、(2)収穫対象が栄養成長(えいようせいちょう)器官であるか、(3)出荷品質が外葉の傷・黄化(おうか)・萎凋(いちょう)など外観劣化に強く左右されるかの3点で整理すると実務に適合します。たとえば、ブロッコリーやカリフラワーは花蕾(からい)を食用とするため葉茎菜類に含めると説明が不正確になりやすく、アスパラガスも永年作物である点から一年生葉菜と同列には扱えません。分類として便利であっても、同一の栽培指針に直結させないことが誤用防止の要点です。
葉茎菜類(ようけいさいるい)の役目と役割
葉茎菜類は肥料でも資材でもなく、作物を「食用部位」で整理するための分類です。分類名そのものが収量や品質、栽培適性を保証するものではなく、作物ごとの生理特性と作型・環境・施肥設計を踏まえて個別に判断する必要があります。
- 栽培管理上の共通論点(外観品質重視、乾燥・傷みへの弱さ、栄養成長管理の影響など)を整理する枠組みとなる
- 収穫後管理や出荷設計における注意点を、作目横断で共有するための整理軸となる
- 作付計画において、短期回転作物や周年供給作物を検討する際の大分類として利用できる
葉茎菜類(ようけいさいるい)のメリットと課題
メリット
- 食用部位が葉・茎である作物を一括して整理することで、外観品質・鮮度・肥培管理の影響といった共通の管理論点を作目横断で整理でき、作付計画や管理項目の整理に利用できる
課題
- 分類の混同(葉菜類・茎菜類・花蕾(からい)類などの混在)
対処方法:食用部位(葉・茎・花蕾・果実・根・球)でまず区分し、例外(ブロッコリー等)は別枠として用語集本文で明示する - 一括説明による誤用(一年生葉菜と永年茎菜を同列に扱う等)
対処方法:葉茎菜類は栽培技術ではなく分類用語であることを冒頭で断定し、「葉を食べる群」「茎・花茎を食べる群」などに分けて記述する - 品質評価軸の取り違え(収量のみを追い外観劣化・鮮度低下を軽視する等)
対処方法:出荷品質は黄化(おうか)・萎凋(いちょう)・傷・汚れで急激に低下することを前提に、収穫・予冷(よれい)・乾燥防止など収穫後管理を栽培計画と同じ重要度で扱う







