登録品種(とうろくひんしゅ)

登録品種(とうろくひんしゅ)
登録品種(とうろくひんしゅ)

登録品種の概要

登録品種(とうろくひんしゅ)とは、法令に基づき、特定の農作物の品種が公式に認められ、一定の権利保護が与えられた品種を指します。

この制度は、新しい品種が市場に投入される際、その品種が持つ形質の新規性、均一性、持続性を厳密に評価することによって運営されています。

登録が認められると、その品種は基本的に25年間、果樹や観賞樹などの永年植物では30年間、品種登録者がその品種に関する独占的な権利を持ちます。これにより、登録者の許可なくその品種を繁殖したり、販売したりすることは法律で禁じられます。

意語としては「育成者権登録品種」があります。

登録品種の概要

登録品種制度は、農業における品種改良の成果を適切に評価・保護する制度であり、特に以下の農作物に適用されます。

  • 野菜類:トマト、ナス、キャベツなど
  • 果樹類:リンゴ、ブドウ、カキなど
  • 花卉類:バラ、チューリップ、カーネーションなど
  • 穀物類:イネ、ムギなど
  • 豆類:ダイズ、アズキなど
  • 観葉植物:多肉植物、観賞用植物など
  • キノコ・菌類:シイタケ、マイタケなど

登録品種に認定されるには、農林水産省へ「出願」を行い、専門機関(たとえば農研機構など)による厳格な試験を通じて形質の評価を受けます。試験では色・形・収量・耐病性などの項目が検証され、それらが明確で他と異なるもので、安定的に維持されていることが求められます。

登録品種の詳細説明

登録品種が認定されると、その品種にはPVPマーク(Plant Variety Protectionの略)が表示されることがあります。これは、登録品種であることを示し、商標登録などのマークとは異なり、知的財産としての「育成者権」が付与されている証です。

登録された品種は、登録者(通常は育成者または企業)の許諾がなければ、他者が繁殖・販売・輸出入・増殖などの行為を行うことはできません。家庭菜園レベルであっても、「自家増殖」が原則として禁止されていることが特徴です。違反すると民事訴訟や罰則の対象となる可能性があります。

この制度は、日本国内に限らず、海外との知的財産保護協定にも対応しており、果樹種苗協会などの関連機関も国際的な保護体制の構築に寄与しています。

登録品種の役割

  1. 育成者の利益保護
  2. 長期間の研究・開発を経て誕生した品種の知的財産を保護し、再投資のインセンティブを与える。
  3.  
  4. 新品種の流通促進
  5. 品質や特性の安定した品種が登録されることで、生産者が安心して導入でき、流通の効率化にもつながる。
  6.  
  7. 国際競争力の強化
  8. 日本独自の高品質品種が海外でも保護され、輸出促進にも寄与する。

登録品種に関する主な課題と対策

課題1:知的財産権の国際的保護の弱さ

登録品種の育成者権が、国境を越えても確実に保護されるとは限りません。特に海外での無断繁殖や販売が問題になることがあります。
対策:WTO協定やUPOV条約などの国際協定に基づいた法整備と、外交的な知財保護交渉が必要です。

課題2:中小育成者への経済的負担

登録出願にかかる費用や時間が大きく、中小規模の育成者が制度を活用しづらい現状があります。
対策:費用補助や技術支援を含めた政府の支援策、弁理士との連携による申請サポート体制の強化が求められます。

課題3:品種の多様性の低下

市場で一部の登録品種への依存が高まると、在来種や未登録の希少種が淘汰され、農業の遺伝的多様性が失われる懸念があります。
対策:登録制度と並行して在来種の保存、種子バンクの活用、多様な育種戦略の導入が重要です。

登録品種に関するWTO協定(TRIPS協定)について

登録品種は、WTOのTRIPS協定(Trade-Related Aspects of Intellectual Property Rights:知的財産の貿易関連の側面に関する協定)に基づき、加盟国が育成者権などの知的財産を保護する国際枠組みのもとで制度化されています。

登録品種(育成者権)に関しては、TRIPS協定第27条(3)(b)が関係しています。

  1. 第27条3(b):各国は「植物の品種保護について、特許、独自の制度、またはその両方のいずれかにより保護する」ことが求められる。
これにより、各加盟国は「植物品種」を保護する法制度(例:日本の品種登録制度)を構築する義務を負っています。

備考

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