ユスリカ(ゆすりか)

ユスリカ(ゆすりか)
ユスリカ(ゆすりか)

ユスリカ(ゆすりか)とは、ハエ目ユスリカ科に属する昆虫で、一見すると蚊に似ていますが、人を刺したり吸血したりすることはありません。農業においては、作物に直接的な被害を与える「害虫」ではなく、水田や湿地の生態系の中で重要な役割を担っています。

特にその幼虫は「赤虫(あかむし)」と呼ばれ、ヘモグロビンを含み、水中の有機物を摂取して水質を改善します。また、成虫は鳥類や魚類、クモなどの餌となり、食物連鎖の中間に位置する重要な存在です。大量発生による不快感や農作業への影響といった課題もありますが、適切な管理によって共生が可能です。

ユスリカ

「ユスリカ」の表記は以下の通りです。
漢字表記:揺蚊(※ただし一般的ではなく、通常はカタカナ「ユスリカ」が用いられます)
英語表記:non-biting midge または chironomid 英語では、「non-biting midge(刺さない蚊)」が一般的な呼称で、学術的には「Chironomidae(キロノミダエ)」という科名が用いられます。

同意語としては、「環境指標昆虫」「非吸血性昆虫」などが挙げられます。

 

ユスリカの概要

ユスリカは世界中に広く分布しており、日本でも全国の湿地、水田、側溝、池、湖沼などの淡水環境に多く見られます。成虫の体長はおよそ2~10mmで、細長い体と長い脚を持ち、羽をゆすりながら飛ぶ様子が特徴的です。名前の由来はこの飛翔様式にあります。成虫の寿命は短く、数日から1週間ほどですが、その間に交尾し、産卵します。

ユスリカの詳細説明

ユスリカのライフサイクルは「卵→幼虫→蛹(さなぎ)→成虫」という完全変態を経ており、特に幼虫期が最も長く、環境内で重要な働きを果たします。幼虫は有機物やプランクトン、デトリタス(分解しかけた植物残渣)などを食べ、水質の改善に貢献します。赤色を帯びるのはヘモグロビンを含むためで、低酸素環境でも活動できる適応力を持っています。

成虫になると、主に夜行性となり、人工光や街灯に集まる性質があります。このため、夜間の農作業施設やハウスに飛来することがあり、「蚊柱(かばしら)」と呼ばれる群飛行動も目立ちます。こうした生態は、チョウバエや蚊などの他の飛翔性昆虫と類似点がありますが、ユスリカは吸血しない点で明確に異なります。

ユスリカの役割

  • 水質浄化への寄与
    幼虫が有機物を食べることで、水田や湿地の水質を改善し、富栄養化防止にもつながります。

  • 生態系内の餌資源
    成虫は鳥類、魚類、クモなどの餌となり、自然界における食物連鎖の中核に位置します。

  • バイオインジケーター
    ユスリカの種構成や個体数は水環境の汚染度の目安となり、環境評価やモニタリングに活用されます。

農業に於けるユスリカの課題と対策

1. 大量発生による生活環境・農作業への影響

湿地や側溝、水田などでユスリカが大量に発生すると、農作業中の視界妨害や、農機具への付着による不快感が生じる場合があります。特に成虫が大群となって飛来する「蚊柱」は、農業施設の作業者にとって深刻な障害となります。

  • 水域周辺の除草や清掃を徹底し、発生源となる腐敗物を除去する。
  • 水溜まりや不要な湿地を排水・整備し、産卵場を減らす。
  • 防虫ネットや屋外灯にUVカット機能を施し、飛来を抑制する。

2. 屋内・施設への侵入

夜間の照明に引き寄せられたユスリカが、ハウスや作業小屋内に侵入するケースがあり、食品残渣や有機肥料などに群がることもあります。作物や作業資材への付着で間接的な品質劣化リスクもあります。

  • ハウスの開口部に網戸や防虫ネットを設置する。
  • LED照明など、昆虫の視認性の低い光源を選ぶ。
  • 誘引トラップや忌避剤の使用も検討する。

3. 見た目による心理的な不快感

ユスリカは蚊に似た姿をしているため、観光農園や直売所などで訪問者に誤解を与え、イメージ悪化につながる可能性があります。

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