ビニールハウスとは?基礎知識から導入手順まで徹底網羅

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ビニールハウスとは?基礎知識から導入手順まで徹底網羅

この記事で分かること

  • ビニールハウスの定義と温室・ガラスハウスとの違い
  • 単棟・連棟、パイプ・鉄骨など種類ごとの特徴
  • 導入のメリット・デメリットと注意点
  • 栽培可能な作物と具体的な活用事例
  • 導入手順や価格相場、活用できる補助金制度

ビニールハウスとは、金属製のパイプや鉄骨で骨組みを作り、ビニールフィルムなどの被覆資材で覆った農業用の施設です。天候の影響を受けにくく、温度や湿度を管理しながら安定した栽培環境を確保できるため、多くの農家に利用されています。本記事では、ビニールハウスの基本的な定義や種類、構造から、導入するメリット・デメリット、栽培できる作物の例まで幅広く解説します。さらに、導入を検討している方に向けて、設置の手順や価格相場、活用可能な補助金制度についても詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

ビニールハウスとは

農業において安定した作物生産を実現するために、多くの農家が活用しているのがビニールハウスです。ここでは、ビニールハウスの基本的な定義や特徴、そして類似する施設との違いについて詳しく解説します。

ビニールハウスの定義と特徴

 ビニールハウスとは、亜鉛めっき鋼管などの金属製骨組みに、ポリエチレン(PE)やポリオレフィン(PO)などの高透光性フィルムを張設し、作物の温度・降雨・風・日射などの外部環境を緩和・制御する被覆型園芸施設を指します。一般に「ビニール」と呼ばれますが、現在主流の被覆材は塩化ビニルではなく、耐候性や耐久性に優れるポリオレフィン系フィルムです。日本では石油化学産業の発展を背景に1950年代後半から急速に普及し、促成栽培・抑制栽培・周年出荷を可能にする基幹的生産インフラとして全国に展開しました。 

ビニールハウスの主な特徴として、以下の点が挙げられます。

  • 太陽光を透過させ、被覆内での温室効果により日中の昇温を促進できる
  • 降雨や強風を遮断し、物理的損傷や過湿化から作物を保護できる
  • 側窓・天窓換気、巻き上げ開閉、加温・循環装置の併用により温度・湿度を段階的に制御できる
  • 一般的なパイプハウスは、同規模のガラス温室と比較して初期投資を抑制しやすい
  • 軽量構造型では基礎工事が簡素で、解体・移設が可能な設計も存在する

これらの特性により、露地栽培では困難な促成栽培や抑制栽培が成立し、出荷時期の前進・後進による市場対応が可能となります。ただし、被覆資材単体の断熱性能には限界があり、厳寒期の安定生産には加温設備や二重被覆が必要となる場合があります。また、密閉度の上昇は内部湿度の滞留を招きやすく、灰色かび病などの病害発生リスクを高めるため、換気設計と環境管理の徹底が不可欠です。

ビニールハウスの導入を検討される方は、農業資材情報で最新の資材について確認してみてください。また、お近くの販売店をお探しの場合は全国の農業資材販売店から検索できます。

温室やガラスハウスとの違いとは?

ビニールハウスと混同されやすい施設として、温室やガラスハウスがあります。これらは目的こそ似ていますが、構造や特性に明確な違いがあります。

比較項目 ビニールハウス ガラスハウス(ガラス温室)
被覆資材 ポリエチレンフィルム、ポリオレフィンフィルムなど ガラス板
骨組み パイプや軽量鉄骨が中心 鉄骨やアルミフレームが中心
耐久性 被覆材は数年で交換が必要 長期間使用可能
初期費用 比較的安価 高額になりやすい
光透過率 やや低い(経年劣化あり) 高い(安定している)
保温性 やや低い 高い

「温室」という言葉は、ビニールハウスやガラスハウスを含む施設園芸全般を指す広義の用法で用いられる場合があります。一方で、実務や行政文脈では、加温設備や高度な環境制御装置を備えた施設を指して温室と呼ぶ狭義の用法も存在します。そのため、無加温ハウスを含むかどうかは使用場面によって異なり、定義を明確にせず用いると誤解を招く可能性があります。

ガラスハウスは構造剛性が高く、耐久性や長期利用に適する点が特長です。単板ガラスや複層ガラスなど仕様により高い光透過率や断熱性能を確保できます。ただし建設費は高額になりやすく、基礎工事や施工期間も長期化する傾向があります。破損時には専門施工による部材交換が必要となるため、維持管理コストも無視できません。

これに対してビニールハウスは、比較的短期間で設置可能であり、パイプ構造型では初期投資を抑制しやすい利点があります。被覆フィルムは経年劣化により定期的な張り替えが必要ですが、資材単価は比較的低く、更新計画を立てやすいという側面もあります。そのため、新規就農者だけでなく、中規模・大規模経営体においても主力施設として広く採用されています。

どちらの施設が適するかは、作物単価、要求される環境精度、設置地域の積雪・風圧条件、経営規模、資金調達力などによって大きく異なります。初期費用の大小のみで判断するのではなく、耐用年数、更新周期、維持管理費、減価償却、収益予測を含めた総合的な投資設計の中で選定することが重要です。

 

ビニールハウスにはどんな種類がある?

 

ビニールハウスの種類と分類

ビニールハウスは構造形式、骨組み素材、被覆資材の違いによって分類されます。適切な形式は、栽培作物の要求環境、圃場の形状・地耐力、地域の積雪・風圧条件、投資規模によって大きく異なります。価格や規模のみで判断するのではなく、減価償却や更新周期を含めた経営計画と整合する構造を選定することが重要です。

単棟ハウスと連棟ハウス

ビニールハウスは棟数構成により「単棟ハウス」と「連棟ハウス」に大別されます。それぞれの構造特性と管理特性を理解することで、圃場条件や栽培計画に適合した選択が可能になります。

単棟ハウスの特徴

単棟ハウスは、1棟ごとに独立した架構を持つ形式です。軽量パイプ構造が主流で、初期投資を抑制しやすく、小規模圃場や段階的増設を想定する経営体で採用されることが多く見られます。

側面・妻面に開口部を設けやすく、自然換気を確保しやすい利点がありますが、実際の換気性能は開口面積、棟高、設置方位、外気風速に強く依存します。

また、棟ごとに構造が分離しているため、強風や積雪被害が発生した場合に全体倒壊へ連鎖しにくいという分散効果があります。一方で、棟間に作業通路や間隔が必要となるため、単位面積当たりの土地利用効率は連棟形式より低下する傾向があります。

連棟ハウスの特徴

連棟ハウスは、複数の棟を横方向に接続し、一体化した屋根・側壁構造を持つ形式です。単位面積当たりの被覆効率が高く、圃場内の通路を集約できるため、大規模経営や作業機械の導入を前提とする経営体で採用されることが多くあります。

内部空間は構造仕様により大きく異なり、鉄骨大型連棟では広いスパンを確保できる設計も存在しますが、すべてが無柱空間となるわけではなく、構造補強材の配置は設計条件に依存します。

連棟構造では谷部(棟間接合部)に降雨が集中するため、樋容量や排水勾配の設計が不十分だと漏水・溢水の原因となります。また、外周開口が減少することで自然換気効率が低下しやすく、換気設計を誤ると内部温度や湿度が滞留しやすくなります。そのため、天窓面積の確保や強制換気設備の導入が検討されます。

初期投資は単棟より高くなる傾向がありますが、土地利用効率や作業集約性の向上により、一定の条件下では単位労働当たり生産量の改善につながる可能性があります。

比較項目 単棟ハウス 連棟ハウス
構造 1棟で独立 複数棟を連結
初期費用 比較的低い 比較的高い
換気効率 高い 設計による
作業効率 標準的 大型機械導入に有利
適した規模 小〜中規模 中〜大規模

ビニールハウスの導入を検討する際には、農業資材情報で最新の構造仕様や被覆資材の情報を確認しておくと、選択肢の精度が高まります。

パイプハウスと鉄骨ハウス

骨組み素材により、ビニールハウスは大きく「パイプハウス」と「鉄骨ハウス」に分類されます。ただし両者の違いは単なる強度差ではありません。構造設計思想、想定荷重、耐用年数、拡張性、減価償却、設備搭載適性まで含めて比較検討する必要があります。

パイプハウスの特徴

パイプハウスは、主に亜鉛メッキ鋼管(アーチパイプ)を骨組みに用いる形式です。日本で最も普及しているタイプであり、初期投資を抑制しやすい点が大きな特長です。

軽量で施工性が高く、条件が整えば自家施工や段階的増設が可能です。投資を分割できる点は経営上の利点となります。

ただし、耐風・耐雪性能は設計仕様に強く依存します。
標準仕様のままでは、

・強風時の被覆破損
・積雪荷重による変形・倒壊
・結露や経年による腐食進行

が発生する可能性があります。

耐用年数は一般に10〜15年程度とされますが、これは適切な防錆管理、補強施工、定期的なフィルム更新を前提とした目安です。保守を怠れば寿命は短縮します。

また、構造剛性には限界があるため、大型暖房機や重量配管設備を導入する場合には補強設計が必要となることがあります。

鉄骨ハウスの特徴

鉄骨ハウスは、H形鋼・C形鋼などの重量鉄骨を用いた構造形式です。設計自由度が高く、荷重計算を前提とした長期利用に適します。

積雪荷重や設計風速を踏まえた構造計算が実施されるため、一定条件下では自然災害への耐性は高い傾向にあります。ただし「鉄骨=無条件に安全」という意味ではなく、設計想定を超える外力では被害は発生します。

耐用年数は20〜30年以上とされる例が多いものの、これも防錆処理や定期点検を継続することが前提です。

鉄骨ハウスは、
・自動換気装置
・炭酸ガス施用設備
・高効率暖房機
・養液栽培システム
などの高度設備と組み合わせやすく、周年栽培や高単価作物の安定生産を志向する経営モデルと適合しやすい構造です。

初期投資は高額になりますが、長期運用を前提に減価償却と収益計画を整合させれば、経営上合理的となる場合があります。

比較項目 パイプハウス 鉄骨ハウス
骨組み素材 亜鉛メッキ鋼管など H鋼・C鋼など
初期費用 低〜中程度 高い
耐用年数 10〜15年程度 20〜30年以上
耐久性 標準的 高い
施工難易度 比較的容易 専門業者が必要
適した地域 温暖な地域 積雪地・強風地域

パイプハウスや鉄骨ハウスの施工業者をお探しの場合は、全国の農業資材販売店から地域の取扱店を検索できます。

被覆資材による分類

ビニールハウスは、骨組みだけでなく被覆資材の違いによって性能が大きく変化します。被覆材は単なる外皮ではなく、可視光透過率、近赤外線挙動、保温性、結露発生、耐用年数を左右する環境制御要素です。作物の光要求特性、地域の放射冷却条件、更新周期と資材コストを踏まえて選定する必要があります。

農業用ポリ塩化ビニルフィルム(農ビ)

農業用ポリ塩化ビニルフィルム(農ビ)は、従来広く使用されてきた被覆材です。柔軟性が高く展張性に優れ、初期の気密性や保温性が比較的安定しています。特に無加温栽培で夜間の温度低下を緩和したい場合に利用されてきました。

ただし、紫外線劣化や可塑剤の揮発により経年で透明度が低下し、可視光透過率が徐々に低下する傾向があります。耐用年数は一般に2〜3年程度が目安ですが、日射量、展張張力、地域環境によって差が生じます。

また、塩素を含有する素材であるため、焼却処理には管理が必要で、産業廃棄物としての回収体制を考慮する必要があります。この点は更新コストと手間に影響します。

近年は採用割合が減少傾向にあるものの、特定用途では現在も使用されています。

農業用ポリオレフィン系フィルム(農PO)

農業用ポリオレフィン系フィルム(農PO)は、現在主流となっている被覆材です。軽量で施工性に優れ、耐候性や機械強度が高い特長があります。

農ビと比較して透光性の経年安定性が高く、長期間にわたり可視光環境を維持しやすい傾向があります。防曇・無滴加工を施した製品も多く、結露水滴による光散乱や病害誘発リスクを抑制する設計が可能です。

耐用年数は3〜5年程度が一般的な目安ですが、高耐久仕様ではさらに長期使用が可能な場合もあります。

塩素を含まないため焼却時の有害ガス発生リスクが低く、廃棄処理面で扱いやすい素材です。

ただし製品間の性能差は大きく、「農PO=高性能」と単純化するのは危険です。透過率、光拡散性、赤外線吸収特性、耐候試験データを確認することが不可欠です。

その他の被覆資材

用途に応じて多様な機能性フィルムが存在します。

・紫外線カットフィルム(UVカット)
害虫飛来抑制や病害抑制効果が期待されますが、単体で完全防除はできません。

・遮光フィルム
夏季高温対策として有効ですが、遮光率設定を誤ると光合成量が低下します。

・保温性向上フィルム(赤外線吸収型など)
夜間の放射冷却を緩和しますが、加温設備の代替にはなりません。

・多層構造フィルム
強度・断熱性・耐久性を高めた設計ですが、資材コストは上昇します。

・フッ素系フィルム(高耐久型)
長寿命で透光性維持に優れますが、初期投資は高額です。

機能性フィルムは万能ではなく、目的設定を誤ると期待効果は得られません。

被覆資材 主な特徴 耐用年数の目安
農ビ(ポリ塩化ビニル) 保温性が高い、柔軟性がある 2〜3年
農PO(ポリオレフィン系) 軽量、耐候性が高い、汚れにくい 3〜5年
紫外線カットフィルム 害虫侵入抑制効果 製品による
遮光フィルム 高温対策に有効 製品による

被覆資材の選定にあたっては、栽培する作物の光要求量や地域の気象条件を考慮することが大切です。各資材の詳しい特性については、メーカーのカタログや専門家への相談を通じて情報収集することをおすすめします。

ビニールハウスの構造と仕組み

 

ビニールハウスの構造と仕組み図解

ビニールハウスの構造と仕組みを理解することは、適切な施設選びや維持管理において非常に重要です。ここでは、基本的な骨組みを構成する部材の役割と、ハウス内の環境を制御するための換気・温度管理の仕組みについて詳しく解説します。

基本的な骨組みと部材

ビニールハウスは複数の部材が組み合わさって構成されています。それぞれの部材には明確な役割があり、全体として安定した構造を実現しています。

主要な構造部材の種類と役割

ビニールハウスを支える骨組みは、主にアーチパイプ、直管パイプ、妻面パイプなどで構成されています。これらの部材が連結されることで、風や積雪などの外力に耐えられる構造体となります。

部材名 役割 主な素材
アーチパイプ 屋根部分を形成し、被覆材を支える 亜鉛メッキ鋼管、ステンレス
直管パイプ アーチパイプ同士を連結し、奥行き方向の強度を確保する 亜鉛メッキ鋼管
妻面パイプ ハウスの前後両端を支え、出入口を形成する 亜鉛メッキ鋼管
筋交い 横からの風圧に対する補強材として機能する 亜鉛メッキ鋼管、ワイヤー
タイバー アーチパイプの広がりを防ぎ、形状を維持する 亜鉛メッキ鋼管
基礎パイプ 地中に埋め込み、ハウス全体を固定する 亜鉛メッキ鋼管

被覆材の種類と特性

骨組みの上に張る被覆材は、ハウス内部の環境を大きく左右する重要な要素です。現在、農業用として広く使用されている被覆材にはいくつかの種類があります。

被覆材の種類 特徴 耐用年数の目安
農業用ポリエチレンフィルム(農ポリ) 安価で汎用性が高いが、紫外線で劣化しやすい 1〜2年
農業用POフィルム 透明性と耐久性に優れ、保温性も高い 3〜5年
農業用塩化ビニルフィルム(農ビ) 保温性が高く、柔軟性があるため密着しやすい 2〜3年
フッ素樹脂フィルム 耐候性・透明性に非常に優れるが高価 10年以上

被覆材を選ぶ際は、栽培する作物の特性や地域の気候条件、コストのバランスを考慮することが大切です。最新の被覆材に関する情報は、農業関連ブログでも随時更新されています。

接合部品と付属パーツ

骨組みを組み立てる際には、パイプ同士を固定・補強する専用接合部品が不可欠です。これらの部材は単なる連結具ではなく、荷重伝達や耐風・耐雪性能を左右する重要な構成要素です。

代表的な接合部品には、パイプクロス、ジョイント金具、ユニバーサルジョイントなどがあります。また、被覆材を保持するビニペット、スプリング、パッカーといった固定資材も必要です。固定強度や施工精度が不十分であれば、強風時のフィルム破損や構造変形につながります。

ドアや換気窓の設置には、専用サッシ枠、ガイドレール、巻き上げ機などの付属パーツが使用されます。これらの選定と施工精度が、開閉操作の確実性や気密性に影響し、結果として日常管理の効率や環境安定性を左右します。

換気や温度管理の仕組み

換気や温度管理は、ビニールハウス栽培において作物生育を規定する中核要素です。温度・湿度・気流を適切に制御できなければ、病害発生や生理障害のリスクが高まります。環境制御は設備の有無ではなく、設計と運用精度によって決まります。

換気方式の種類

ビニールハウスでは、内部の温度・湿度・二酸化炭素濃度を調整するため、複数の換気方式が組み合わされます。栽培規模、棟高、外気条件、作物特性に応じて方式を選定しなければ、期待した換気効果は得られません。

換気方式 仕組み メリット
サイド換気(側面巻き上げ) 側面の被覆材を巻き上げて外気を取り入れる 構造がシンプルでコストを抑えられる
天窓換気 屋根部分に開閉式の窓を設け、上昇した暖気を排出する 効率的に高温を逃がせる
妻面換気 ハウスの前後にある妻面から通気を行う 風通しがよく、空気がハウス全体に流れやすい
強制換気(換気扇) 電動換気扇を使用して強制的に空気を入れ替える 天候に左右されず安定した換気ができる

近年は、自動巻き上げ機や温度センサーと連動した自動開閉システムも普及しています。これらの技術に関する最新動向は、農業関連ニュースから確認できます。

温度管理のための設備

温度管理は、加温と冷却の両面から設計する必要があります。冬季の低温対策と夏季の高温抑制を両立できなければ、周年で安定した栽培環境は確保できません。設備能力だけでなく、断熱性能や換気設計との整合が前提となります。

加温設備としては、温風暖房機や温水暖房システムが広く利用されています。温風暖房機は導入コストが比較的低く、立ち上がりが早い点が特長ですが、気流設計が不十分だと温度ムラが生じます。温水暖房は配管内に温水を循環させる方式で、放射と対流を組み合わせて緩やかに加温しますが、初期投資は高くなります。

高温対策としては、遮光ネットや遮熱フィルムの使用が一般的です。被覆材の外側または内側に設置することで日射侵入量を制御し、ハウス内温度の上昇を緩和します。ただし遮光率設定を誤ると光合成量が低下します。また、細霧冷房(ミスト冷房)や循環扇を併用することで蒸発冷却効果を高められますが、湿度上昇とのバランス管理が必要です。

湿度と空気循環の管理

ハウス内の湿度管理も温度管理と同等に重要です。湿度が過度に高いと灰色かび病やべと病などの病害リスクが増加します。一方で、乾燥しすぎると蒸散過多や生理障害を招く可能性があります。

湿度を適正域に保つには、換気量と換気タイミングの設計が鍵となります。朝夕など外気との温度差が比較的小さい時間帯に換気を行うことで、急激な温度低下を避けつつ水蒸気を排出できます。ただし外気湿度が高い場合は期待通りに除湿できないこともあります。

循環扇は冷却装置ではありません。内部空気を攪拌し、温度・湿度・二酸化炭素の分布ムラを低減するための装置です。大型ハウスでは配置間隔や送風方向を設計しなければ、効果は限定的になります。

ビニールハウスを導入するメリットとは?

 

ビニールハウスを導入するメリットとは?

ビニールハウスを導入するメリットは、安定した作物生産を実現できる点にあります。露地栽培では避けられない天候リスクを大幅に軽減し、計画的な農業経営が可能となります。ここでは、ビニールハウス導入によって得られる主なメリットを詳しく解説します。

天候影響を低減する安定栽培

ビニールハウス導入の大きな利点は、天候の影響を低減し栽培条件を安定化できる点にあります。被覆資材により外部環境を緩和することで、降雨、強風、霜などによる直接的被害を抑制できます。ただし、完全に天候の影響を排除できるわけではありません。

露地栽培では、長雨による過湿や根腐れ、日照不足による生育停滞、突発的な霜害などのリスクに常にさらされます。一方、ビニールハウス内では換気や加温を組み合わせることで温度や湿度を調整できるため、生育環境を一定範囲内に維持しやすくなります。ただし外気条件や設備能力の制約は受けます。

生育環境が比較的安定することで、収穫時期や収量の予測精度は向上します。出荷計画を立てやすくなり、契約栽培や市場出荷調整への対応力が高まります。環境変動幅を縮小できる点は、経営上のリスク低減要因となります。

ビニールハウスの導入を検討している方は、農業資材情報で最新の被覆資材やハウス関連製品を確認することをおすすめします。また、全国の農業資材販売店から地域の取扱店を探すこともできます。

比較項目 ビニールハウス栽培 露地栽培
天候の影響 軽減できる 直接受ける
収穫時期の予測 しやすい 変動が大きい
霜害リスク 低い 高い
栽培計画の立てやすさ 容易 天候次第

病害虫被害の軽減

病害虫被害の軽減は、ビニールハウス導入の重要な利点の一つです。被覆により外部と物理的に区画されることで、露地と比較して害虫の侵入経路を制限できます。ただし、完全遮断は不可能であり、管理の質が結果を左右します。

側面や天窓に防虫ネットを設置することで、アブラムシやコナジラミなどの微小害虫の侵入リスクを低減できます。侵入個体数を抑えられれば、それらが媒介するウイルス病の感染拡大リスクも抑制できます。ただしネット目合い、換気量、出入口管理が不適切であれば効果は限定的です。

さらに、発生初期密度を低く抑えられれば、農薬散布回数や使用量を削減できる可能性があります。これは生産コストの抑制だけでなく、減農薬栽培や特別栽培への移行にも寄与します。ただし、防除体系を確立せずに薬剤削減を行うと、逆に被害拡大を招く恐れがあります。適切なモニタリングと統合的病害虫管理が前提となります。

病害虫対策に関する最新情報は、農業関連ブログで定期的に発信されています。また、農業関連ニュースでは、新しい防除技術や資材に関する情報も確認できます。

病害虫対策 効果
防虫ネットの設置 微小害虫の侵入を物理的に遮断できる
換気管理 過湿を防ぎカビ系病害の発生を抑制できる
ハウス内環境の管理 病害虫が発生しにくい条件を維持できる

周年栽培による収益向上

周年栽培による収益向上は、ビニールハウス導入がもたらす代表的な経営効果の一つです。ハウス内の温度・湿度・日射を制御することで栽培期間を拡張でき、年間を通じた出荷計画を組みやすくなります。ただし、設備投資額と燃料費を回収できる販売単価が前提となります。

露地栽培では収穫期が集中し、市場供給量の増加によって価格が下落しやすい傾向があります。一方、ビニールハウスを活用すれば通常の旬を外した「端境期出荷」が可能となり、需給バランスが緩む時期に販売できます。ただし、端境期であっても産地リレーや輸入品の動向によって価格は変動するため、事前の市場分析が不可欠です。

さらに、暖房設備を導入すれば冬季の促成栽培も可能となります。トマト、イチゴ、キュウリなどは周年栽培の代表品目ですが、光量不足や燃油価格高騰が収益を圧迫する要因となるため、単に作れるかどうかではなく、収支構造で判断する必要があります。

また、作型を工夫することで回転数を高めることも可能です。生育環境を最適化できれば生育期間の短縮が期待できますが、過度な詰め込み作型は樹勢低下や病害発生リスクを高めます。収益向上は「栽培可能」ではなく「利益が残る設計」によって成立します。

収益向上の要因 具体的な効果
端境期出荷 市場価格が高い時期に販売できる
栽培期間の延長 年間の出荷回数を増やせる
作物回転数の向上 同面積での収量増加が見込める
安定供給体制 契約栽培など有利な取引条件を得やすい

ビニールハウスの導入は初期投資が必要ですが、安定栽培や収益向上によって中長期的な回収が見込めます。導入を具体的に検討する際は、農業資材情報全国の農業資材販売店を活用して、自身の経営規模に合った製品や業者を探すことが重要です。また、農業関連ブログ農業関連ニュースでは、実際の導入事例や最新の栽培技術も紹介されています。広告掲載や情報提供に関心のある事業者の方は、広告掲載に関するお問い合わせから連絡が可能です。

ビニールハウスのデメリットや注意点

 

ビニールハウスのデメリットや注意点

ビニールハウスには多くの利点がある一方で、導入前に正確に把握すべきリスクと負担も存在します。初期投資額、維持管理費、エネルギー価格変動、自然災害リスクなどは経営を左右する要素です。これらを数値で把握せずに導入すると、想定外の資金圧迫を招きます。ここでは、導入判断に直結する主要な留意点を整理します。

初期費用と維持費の負担

ビニールハウス導入における最大の障壁は、初期費用と固定費の増加です。露地栽培と比較すると設備投資は大幅に高く、減価償却期間中は資金繰りへの影響が続きます。補助金の有無だけで判断せず、自己資金比率と返済計画を含めた検討が不可欠です。

初期費用の内訳

建設には骨組み用パイプや鉄骨、被覆資材、基礎工事費に加え、換気設備、暖房機、遮光資材、自動制御機器などが必要です。規模・耐風仕様・積雪地域対応の有無によって金額は大きく変動します。一般的な単棟パイプハウスでも10アール規模で数百万円以上が目安ですが、暖房や複合環境制御を組み込めば投資額はさらに上昇します。

費用項目 概要 備考
骨組み資材 パイプ、直管、アーチパイプなど 鉄骨の場合はさらに高額
被覆資材 農業用ポリエチレンフィルム、POフィルムなど 耐用年数により交換が必要
基礎工事 地盤整備、アンカー設置など 地域や地質により変動
環境制御設備 換気扇、暖房機、潅水設備など 自動化の程度で費用が変わる
施工費 組立工事、電気工事など 業者により異なる

維持費の内訳

ビニールハウスは建設後も継続的な維持費が発生します。とくに被覆資材は紫外線、強風、展張張力、薬剤散布などの影響で劣化が進行するため、定期的な張り替えが不可欠です。農業用ポリエチレンフィルムは一般的に3~5年が目安とされますが、地域条件や使用環境によってはさらに短縮する場合もあります。

さらに、冬季暖房費は経営に直結する固定費です。燃油価格や電力単価の変動は利益率を大きく左右し、単価下落局面では赤字化の要因となります。近年は省エネ型暖房機、ヒートポンプ、二重被覆や内張りカーテンによる保温強化などの対策が進んでいますが、導入コストと回収年数を試算せずに設備更新を行うのは危険です。

維持費項目 発生頻度 コスト削減のポイント
被覆資材の張り替え 3年から5年ごと 耐久性の高いフィルムを選択
暖房費 毎年(冬季) 二重被覆や省エネ機器の導入
設備の修繕費 随時 定期点検による早期発見
潅水や換気の電気代 毎月 タイマー制御による効率化

こうした費用面の課題に対しては、国や自治体が実施する補助金制度を活用することで負担を軽減できる場合があります。最新の補助金情報や資材価格については、農業関連ニュースで随時確認することをおすすめします。

台風や積雪への対策は必要?

ビニールハウスは屋外に設置される軽量構造物であり、台風や積雪などの自然災害リスクを常に抱えています。設計耐風速や耐雪荷重を超えれば倒壊や被覆材破損が発生し、栽培中断や資金損失に直結します。導入時点で地域の過去最大風速や最大積雪量を確認し、それを前提に仕様を選定することが不可欠です。

台風対策

強風被害を軽減するには、平常時の管理と事前点検が重要です。台風接近前には以下の点を確認します。

  • 接合部・基礎固定部の緩みや腐食を点検し、増し締めや補修を行う
  • 被覆材の裂け・摩耗部を確認し、破断拡大を防ぐ補修を実施する
  • サイド・妻面を確実に閉鎖し、内部加圧を防止する
  • 周囲の資材やパレットなど飛散物を撤去する
  • 筋交い・マイカー線など補強材を追加する

なお、風速が非常に強い場合に被覆材を部分的に外して風を逃がす方法が用いられることもありますが、固定方式や立地条件によっては逆に構造不安定を招く場合もあります。実施可否はハウス形式と基礎条件によって判断すべきです。

積雪対策

積雪地域では雪荷重による座屈や倒壊が最大のリスクとなります。想定積雪量を超えた場合、短時間でも構造破断が起こり得ます。導入時および運用時には以下を考慮します。

  • 地域の設計積雪量に対応した耐雪型仕様を選択する
  • 暖房や内張りによる融雪体制を確保する
  • 屋根勾配を確保し、自然落雪しやすい形状とする
  • 中柱やサポート支柱で一時補強を行う
  • 早期除雪を実施し、限界荷重到達前に対応する

「耐雪型」であっても無制限に耐えられるわけではありません。災害対策は設備性能への過信ではなく、地域気象データと運用管理体制の両立によって成立します。

災害の種類 主なリスク 有効な対策
台風 骨組みの変形、被覆資材の破損、倒壊 補強、点検、開口部の管理
積雪 屋根の陥没、骨組みの座屈、倒壊 耐雪型の採用、融雪、除雪
強風 被覆資材の剥離、ハウスの浮き上がり アンカー強化、マイカー線補強
大雨 浸水、排水不良による根腐れ 排水溝の整備、高畝栽培

その他の注意点

自然災害以外にも、ビニールハウス運用では日常管理上の課題が存在します。特に夏季は内部温度が外気以上に上昇しやすく、遮光資材、換気装置、循環扇の適切な運用が不可欠です。また、同一作型の繰り返しによる地力低下や病原菌密度の増加を防ぐため、土壌診断や作型分散などの計画的な土壌管理が求められます。

さらに、ハウス内は閉鎖環境になりやすく、夜間の結露や湿度滞留が病害発生を助長します。露地よりも制御できる反面、管理を怠ればリスクは集中します。換気タイミングの最適化、内張り開閉の調整、予防的防除の実施など、環境制御と防除を連動させることが重要です。

災害対策や日常管理に関する詳しい情報は、農業関連ブログでも解説されていますので、参考にしてください。適切な資材選びや施工業者の情報については、農業資材情報から確認できます。

ビニールハウスで栽培できる作物

 

ビニールハウスで栽培できる作物

ビニールハウスで栽培できる作物は多岐にわたります。温度や湿度を調整しやすい環境を活かすことで、露地栽培では難しい時期にも安定した生産が可能です。ここでは代表的な野菜類と、果樹や花卉の栽培事例を紹介します。

野菜類の栽培事例

野菜類はビニールハウス栽培でもっとも一般的な作物です。施設園芸の特性を活かし、周年出荷や端境期の高単価出荷を狙えるため、多くの農家が取り組んでいます。

果菜類

果菜類はビニールハウス栽培の代表格といえます。温度管理によって生育をコントロールしやすく、収量や品質の安定化が図れます。

作物名 特徴 主な産地
トマト 周年栽培が可能で、養液栽培との相性も良好 熊本県、北海道、愛知県
キュウリ 生育が早く、促成栽培や抑制栽培に適する 宮崎県、群馬県、埼玉県
ナス 長期どり栽培で収量を確保しやすい 高知県、熊本県、福岡県
ピーマン 高温を好み、ハウス栽培で品質が向上する 茨城県、宮崎県、高知県
イチゴ 高設栽培の普及で作業効率が大幅に改善 栃木県、福岡県、熊本県

イチゴは12月から5月頃の出荷が中心となりますが、ビニールハウスの加温設備を活用することでクリスマス需要に合わせた早期出荷も実現できます。

葉茎菜類

葉茎菜類は生育期間が短く、回転率の高い栽培が可能です。ハウス内であれば風雨による葉の傷みを防ぎ、商品価値の高い状態で出荷できます。

作物名 特徴 栽培のポイント
ホウレンソウ 寒締め栽培で甘みが増す 換気管理で病害を予防する
コマツナ 播種から収穫まで30日程度と短期間 連作障害に注意する
レタス 結球レタスからリーフレタスまで多品種 高温期は遮光資材を活用する
ミズナ サラダ需要の増加で人気が上昇 軟弱徒長を防ぐため適度な換気が必要
ネギ 軟白ネギや葉ネギの周年供給が可能 土寄せ作業の効率化を図る

これらの葉茎菜類は、露地栽培と組み合わせることで端境期をカバーし、年間を通じた安定収入につなげられます。栽培に必要な資材や設備については、農業関連ブログでも詳しく紹介されています。

根菜類・その他

根菜類もビニールハウスで栽培できますが、作物によって向き不向きがあります。比較的浅い土層で育つものや、軟弱野菜として扱われるものが適しています。

ダイコンやニンジンは露地栽培が主流ですが、ミニサイズの品種やベビーリーフ用途であればハウス栽培でも十分な収益を見込めます。また、ハーブ類やスプラウトなど付加価値の高い作物も、ビニールハウスの環境制御との相性が良いため注目されています。

果樹や花卉の栽培事例

果樹や花卉もビニールハウス栽培の重要な対象です。特に高単価で取引される品目では、品質管理や出荷時期の調整が収益に直結するため、施設栽培の優位性が発揮されます。

果樹類

果樹類のビニールハウス栽培は、主に加温による早期出荷や雨よけによる品質向上を目的として行われます。

作物名 ハウス栽培のメリット 主な産地
ブドウ 裂果防止と糖度向上が図れる 山梨県、長野県、岡山県
メロン 温度管理で高品質な果実を安定生産 茨城県、熊本県、北海道
サクランボ 雨よけで実割れを防ぎ商品化率が向上 山形県、北海道、山梨県
ミカン 加温ハウスで年末年始の高値出荷が可能 愛媛県、和歌山県、静岡県
マンゴー 亜熱帯果樹だが加温ハウスで国内生産が実現 宮崎県、沖縄県、鹿児島県

マンゴーのように本来は熱帯・亜熱帯でしか栽培できない果樹も、ビニールハウスの加温設備を活用することで国内生産が可能になっています。宮崎県産の完熟マンゴーは、ハウス栽培によって高い品質を維持し、ブランド化に成功した代表的な事例です。

花卉類

花卉類は出荷時期と品質が価格を大きく左右するため、ビニールハウス栽培が広く普及しています。冠婚葬祭や季節のイベントに合わせた計画的な生産が求められる点も、施設園芸との相性が良い理由です。

品目 栽培の特徴 需要期
バラ 周年出荷が可能で切り花の主力品目 年間を通じて安定需要
キク 電照栽培で開花時期を調整 お盆、お彼岸、年末
カーネーション 母の日需要に合わせた計画生産 5月上旬がピーク
トルコギキョウ 多様な花色と花形でブライダル需要が高い 6月から10月
ガーベラ 高設ベンチ栽培で省力化が進む 年間を通じて安定需要

キクの電照栽培は、夜間に人工照明を当てることで開花を遅らせる技術です。この方法により、需要の多い時期に合わせて計画的に出荷できます。花卉栽培に関する最新の動向は、農業関連ニュースからも確認できます。

鉢物・観葉植物

鉢物や観葉植物もビニールハウス栽培の対象となります。シクラメンやポインセチアなど季節の鉢花は、開花時期の調整が売上に直結するため、温度管理が欠かせません。

観葉植物は年間を通じて一定の需要があり、インテリアグリーンとしての人気も高まっています。熱帯原産の品種が多いことから、冬季の加温が必要ですが、比較的病害虫が少なく管理しやすい点が特徴です。

このようにビニールハウスでは、野菜から果樹、花卉まで幅広い作物を栽培できます。自分の経営方針や地域の気候条件に合った作物を選ぶことが、安定した収益を得るための第一歩となります。

ビニールハウスの導入手順

 

ビニールハウスの導入手順

ビニールハウスの導入は、適切な計画と準備によって成功の可能性が大きく高まります。ここでは、設置場所の選定から稼働開始までの具体的な手順を詳しく解説します。

設置場所の選定と準備

ビニールハウスの設置場所は、栽培成績だけでなく維持費や災害リスクにも直結します。日照条件、水はけ、卓越風向、地盤強度などを総合的に評価しなければなりません。立地の欠陥は後から修正できない場合が多く、設計段階での見極めが重要です。

日当たりと方角の確認

一般にハウスは南北方向に棟を延ばすことで日射の偏りを抑えやすいとされますが、緯度や周辺遮蔽物の影響によって最適方位は変わります。冬至期の太陽高度を基準に影の落ち方を確認し、隣接建物や防風林による日照阻害がないかを具体的に検証する必要があります。

地形と水はけの調査

設置地は平坦であることが望ましいものの、重要なのは地盤の締まりと排水性です。傾斜地では造成費用が増加し、盛土不足や転圧不良は不同沈下の原因になります。また、排水不良地では暗渠排水や表面排水路の整備を前提に設計しなければ、根圏障害や基礎腐食を招きます。

インフラ環境の確認

電源、水源、排水経路へのアクセスも事前確認が不可欠です。暖房機や環境制御装置を導入する場合、契約電力容量が不足すれば追加工事が発生します。水源についても水圧・水量・水質を調査し、灌水設計に支障がないかを確認する必要があります。

確認項目 チェックポイント
日照条件 年間を通じて6時間以上の日照が確保できるか
地形 傾斜角度が3度以内で平坦か
排水性 大雨時に水が溜まりやすい場所ではないか
電気設備 必要な電源容量が確保できるか
水源 灌水に必要な水量が確保できるか
アクセス 資材搬入や収穫物の運搬に支障がないか

サイズや仕様の決め方

ビニールハウスの規模や仕様は、栽培作物だけでなく、労働力、販売計画、資金計画を含めて総合的に決定します。単年度収量だけを基準にすると過大投資や管理負荷増大を招きます。将来の作型変更や増棟計画も想定し、拡張性と管理効率の両立を図ることが重要です。

栽培作物に応じた規模設定

作物特性によって必要な軒高や容積は異なります。トマトやキュウリなどの高性作物では、十分な軒高と換気容積を確保しなければ高温障害や湿度滞留を招きます。一般に軒高2.5メートル以上が目安とされますが、仕立て方法によってはさらに高容積が望ましい場合もあります。葉物中心であれば軒高1.8メートル程度でも可能ですが、将来的な作目転換を考慮する必要があります。

間口と奥行きの決定

間口は作業動線や換気効率に影響します。一般的なパイプハウスでは5.4~7.2メートルが多く採用されますが、広幅化すれば内部環境の均一化が難しくなる場合があります。奥行きは土地条件と労働力を踏まえ、30~50メートル程度が管理しやすいとされますが、長大化すると換気制御と防除効率が課題となります。

骨組み強度の選択

地域の最大風速や設計積雪量に基づき、パイプ径やアーチ間隔を選定する必要があります。単に「太い=安全」ではなく、基礎固定方法や地盤条件との組み合わせで耐力が決まります。過小設計は倒壊リスクを高め、過大設計は投資回収を遅らせます。

仕様検討時は、農業資材情報で製品仕様を比較し、構造・耐風・耐雪条件を確認してください。また、全国の農業資材販売店へ相談し、地域実績に基づく助言を得ることが有効です。

施工業者の選び方と見積もり取得

施工業者の選定は、完成後の耐久性と維持費に直結します。価格だけで決定せず、設計根拠や施工体制を確認した上で複数社比較することが基本です。

業者選定のポイント

施工実績、地域での施工棟数、アフター対応体制を確認してください。特に災害後の復旧対応や部材供給体制は長期運用で差が出ます。図面と強度計算の提示が可能かどうかも、信頼性を判断する重要な材料です。

選定基準 確認内容
施工実績 同規模・同タイプのハウス施工経験があるか
技術力 資格保有者や熟練技術者が在籍しているか
アフターサポート 定期点検や修繕対応の体制が整っているか
対応エリア 設置場所への対応が可能か
保証内容 施工後の保証期間と範囲が明確か

見積もり取得時の注意点

見積もりを依頼する際は、必ず同一仕様書・同一図面条件で複数業者へ依頼することが比較の前提です。条件が異なれば価格差は意味を持ちません。見積書には資材費、施工費、基礎工事費、運搬費、諸経費の内訳が明記されているかを確認し、不明瞭な一式計上が多い場合は詳細説明を求める必要があります。

また、追加費用が発生し得る項目を事前に洗い出すことが重要です。地盤改良、排水整備、電源増設、残土処分などは現地調査後に増額となるケースがあります。契約前に追加発生条件を明確にし、概算上限を把握しておくことで予算超過リスクを抑えられます。

施工事例や注意点は、農業関連ブログでも紹介されています。また、資材価格や制度変更などの動向については農業関連ニュースも参考になります。

設置工事から稼働開始まで

設置工事から稼働開始までには複数の工程があり、各段階での確認が欠かせません。建設完了がそのまま栽培開始を意味するわけではなく、環境制御の調整期間も必要です。

設置工事の流れ

一般的には、基礎位置出し、杭打ち・基礎固定、骨組み組立、被覆展張、設備設置の順に進行します。工期は規模や天候条件に左右されますが、単棟パイプハウス(間口6メートル、奥行き30メートル程度)であれば1~2週間が一つの目安です。ただし、基礎工事や電気工事を伴う場合はさらに延びる可能性があります。

工程 作業内容 所要期間目安
整地作業 設置場所の整地と基礎準備 1日から2日
基礎工事 アンカーや基礎パイプの設置 1日から2日
骨組み組立 アーチパイプや母屋パイプの組立 2日から3日
被覆作業 ビニールフィルムの展張 1日から2日
付帯設備設置 換気装置や灌水設備の取付 1日から2日
最終確認 動作確認と引き渡し 半日

稼働前の準備作業

ハウス本体の設置完了後は、栽培開始に向けた環境整備を行います。土壌消毒や施肥、畝立てなどの圃場準備に加え、土壌分析結果に基づく施肥設計の再確認が必要です。また、灌水設備や暖房機、循環扇などは実際に通電・通水し、設定値どおりに作動するかを事前に検証します。単に動くことと、制御できることは別問題です。

稼働開始時の確認事項

稼働開始前には、温度・湿度・CO₂濃度などの環境制御が意図通りに機能するかを確認します。換気扇、巻き上げ装置、内張り開閉機構などの可動部は負荷をかけた状態で試運転し、異音や動作遅延がないかを点検します。初導入の場合は短期間の試験栽培を行い、日中・夜間の環境変動を記録しておくと、本格栽培時の設定精度向上に役立ちます。

導入後の運用ノウハウについては、農業関連ブログで先輩農家の体験談を参照できます。資材の追加購入や交換部品については農業資材情報全国の農業資材販売店をご活用ください。業界の最新情報は農業関連ニュースでも確認できます。なお、農業資材に関する広告掲載に関するお問い合わせも受け付けています。

ビニールハウスの価格相場はどのくらい?

 

ビニールハウスの価格相場はどのくらい?

ビニールハウス導入を検討する際、最も関心が集まるのが費用水準です。ただし価格は規模や仕様、地域条件によって大きく変動し、単純な相場で判断できるものではありません。事前に費用構造を理解し、自身の栽培計画に照らして試算することが重要です。ここでは規模別の目安と活用可能な補助制度の考え方を整理します。

規模別の費用目安

ハウスの価格は骨材の強度区分、被覆資材の耐久性能、基礎工法、環境制御設備の有無によって決まります。一般的なパイプハウスと鉄骨ハウスでは、同一面積でも耐久性や設計耐力が異なるため、費用差が大きくなります。単価比較だけでなく、耐用年数と維持費を含めた総コストで評価する必要があります。

以下の表は、一般的なビニールハウスの規模別価格目安をまとめたものです。

規模(面積) パイプハウス 鉄骨ハウス
100平方メートル程度 30万円〜80万円 100万円〜200万円
300平方メートル程度 80万円〜200万円 250万円〜500万円
500平方メートル程度 150万円〜350万円 400万円〜800万円
1,000平方メートル程度 300万円〜700万円 800万円〜1,500万円

上記の価格には、基本的な骨組みと被覆資材の費用が含まれています。ただし、暖房機や換気扇、灌水設備などのオプションを追加する場合は、別途費用が発生します。

また、施工費用も価格に大きく影響します。自分で組み立てるキットタイプを選べばコストを抑えられますが、専門業者に依頼する場合は工事費として本体価格の20〜30%程度が加算されることが一般的です。

各種設備の追加費用目安は以下のとおりです。

設備の種類 費用目安
暖房機(加温機) 20万円〜100万円
換気扇・循環扇 5万円〜30万円
自動灌水システム 10万円〜50万円
遮光カーテン 5万円〜20万円
防虫ネット 3万円〜15万円

初期投資を抑えたい場合は、中古のビニールハウスを検討するのも一つの方法です。中古品であれば新品の半額以下で購入できる場合もありますが、耐用年数や状態を十分に確認することが大切です。最新の農業資材情報をチェックして、価格動向を把握しておくとよいでしょう。

活用できる補助金制度

ビニールハウス導入には高額な初期投資が伴いますが、国や自治体の補助制度を活用することで自己負担を軽減できる場合があります。ただし補助金は採択制であり、必ず受給できるものではありません。公募要件、事業計画の妥当性、採択枠の状況を事前に確認することが重要です。

農林水産省の「強い農業づくり総合支援交付金」は、産地の体質強化や収益力向上を目的とする制度で、生産施設整備が対象となる場合があります。補助率は事業区分により異なりますが、概ね2分の1以内が目安です。ただし事前着工は原則対象外となるため、申請時期と施工時期の調整が不可欠です。

また、「経営継承・発展等支援事業」は後継者への事業承継に伴う施設整備を支援する制度です。新規就農者向けには「農業次世代人材投資資金」などもありますが、用途制限や報告義務があります。補助金は“後払い”が原則である点も踏まえ、自己資金とつなぎ資金の確保を前提に検討する必要があります。

主な補助金制度の概要は以下のとおりです。

制度名 対象者 補助率の目安
強い農業づくり総合支援交付金 農業者の組織する団体など 2分の1以内
産地生産基盤パワーアップ事業 産地の生産者組織など 2分の1以内
各都道府県独自の補助金 地域により異なる 3分の1〜2分の1程度

補助金の申請には、事業計画書の作成や審査が必要となります。募集期間が限られている場合も多いため、早めに情報収集を始めることをおすすめします。

地域によっては、都道府県や市町村独自の補助制度が設けられていることもあります。お住まいの地域の農政担当窓口や農業協同組合(JA)に相談すると、利用可能な制度を教えてもらえます。全国の農業資材販売店でも、補助金に関する情報を提供している場合がありますので、問い合わせてみるとよいでしょう。

さらに、融資制度を活用する方法もあります。日本政策金融公庫の「農業経営基盤強化資金(スーパーL資金)」や「農業近代化資金」は、低金利でビニールハウスの設置資金を借り入れできる制度です。返済期間も長期に設定されているため、計画的な資金調達が可能です。

補助金や融資制度は年度ごとに内容が変更される場合があります。最新の情報は農業関連ニュース農業関連ブログで確認することをおすすめします。また、農業資材や設備の導入に関する情報発信にご興味のある企業様は、広告掲載に関するお問い合わせからご連絡ください。

よくある質問(FAQ)

ビニールハウスの寿命はどのくらいですか?

骨組みは防錆処理と定期点検を適切に行えば15〜20年程度使用可能とされますが、沿岸部や積雪地域では劣化が早まる場合があります。被覆フィルムは材質と使用環境で差があり、一般的なPOフィルムで3〜5年が目安ですが、展張状態や薬剤使用条件により短縮することもあります。

ビニールハウスは自分で建てられますか?

小規模な単棟パイプハウスであればDIY施工も可能です。ただし、基礎固定や耐風設計が不十分な場合、強風時に重大な損傷を招く恐れがあります。大型・連棟・耐雪仕様は強度計算と施工精度が重要なため、専門業者への依頼が推奨されます。

ビニールハウスの電気代はどのくらいかかりますか?

電気代は暖房方式、契約電力、栽培期間により大きく異なります。加温栽培を行う場合は月数万円以上となるケースもあり、燃油併用の場合はさらに変動します。導入前に想定使用時間と設備容量から概算試算することが不可欠です。

ビニールハウスに必要な広さはどれくらいですか?

必要面積は作物単収、労働力、販売計画によって決まります。家庭菜園用途であれば10〜20平方メートル程度が一例ですが、営農では100平方メートル以上でも十分とは限りません。面積は「管理できる規模」を基準に設計すべきです。

ビニールハウスの補助金はどこで申請できますか?

農林水産省関連制度や各自治体の農政担当部署で相談できます。ただし公募期間や要件が定められており、事前着工は対象外となる場合が多いため、施工計画前に確認する必要があります。

ビニールハウス内の温度管理はどうすればよいですか?

基本は換気、遮光、内張り開閉、加温設備の組み合わせで制御します。近年は自動制御装置の導入も進んでいますが、センサー校正や設定値の調整を怠ると逆に環境変動が拡大することがあります。機械任せにせず、実測値の確認が重要です。

まとめ

ビニールハウスは、天候に左右されず安定した栽培を実現できる施設です。種類や構造を理解し、目的に合った仕様を選ぶことで、効率的な農業経営につながります。導入にあたっては費用や補助金制度も確認しておきましょう。さらに詳しい情報は農業資材情報全国の農業資材販売店をご覧ください。最新の農業関連ニュース農業関連ブログも参考になります。広告掲載をご検討の方はお問い合わせよりご連絡ください。

この記事の執筆・監修者
株式会社農材ドットコム
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農材ドットコムは営農者ならびに農業関係に従事されておられる方を対象にした「農業資材情報サイト」です。 農業資材商社に十数年勤務した創業者の経験をベースに情報を構成しております。農業生産・販売・流通・メーカーに携わる方々の利益向上、並びにより良い商品・製品・サービスの市場への波及向上を図れるように努力しております。現在の掲載内容はビニールハウス、ガラス温室等で用いられる農業生産資材を中心に掲載しておりますが、適宜カテゴリーを追加してユーザーの皆様にお役に立てるように心掛けて取り組んでおります。
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