農作業用シートとは
農作業用シートとは、圃場やビニールハウス内の通路、作業場、選果場、農産物の一時置き場などに敷き、歩行や運搬、床面の保護、泥汚れの軽減などを補助するシート・マット類です。
「農作業用シート」という名称は、特定の素材や構造を示す規格名ではありません。
薄手の樹脂製シート、厚みのあるゴムマットなど、用途の異なる製品が含まれます。
防草シートや、作物・施設を覆う被覆資材とは目的が異なります。
農作業用として販売されているシートであっても、遮光、防草、ハウス被覆など別用途にそのまま使用できるとは限りません。
製品が想定している使用場所と荷重条件を確認して選定します。
農作業用シートの主なタイプ
樹脂シートタイプ
比較的薄く、広い範囲へ展張しやすいシートです。
農地や施設内の通路を確保したり、作業時の地面・床面の養生、農作物や資材を一時的に置く場所として利用される製品があります。
表面の凹凸、厚さ、柔軟性、耐摩耗性、耐候性などは製品によって異なります。
なお、表面が滑らかなことを「滑りにくい」と解釈してはいけません。
作業物を動かしやすい表面と、人が濡れた状態で歩いたときの防滑性能は別の性能です。
ゴムマットタイプ
厚みと自重のあるゴム製マットは、畑やハウスの通路、ぬかるみやすい場所、観光農園、種苗施設、選果場などで利用されています。
製品によっては表面にイボ状やコイン状の凹凸を設け、歩行や農業機械の移動を想定したものがあります。
ゴムマットを敷けば排水不良が解消するわけではありません。
下地に水が滞留する場所では、排水、勾配、地盤の締まり具合を別に確認します。
農作業用シートの選び方
農作業用シートは、素材名だけで選ばず、実際の作業条件を確認します。
- 使用場所:露地、ハウス内、選果場、作業場など、使用環境を確認します。
- 歩行・走行条件:人の歩行だけなのか、台車、収穫コンテナ、運搬車、農業機械などが通るのかを確認します。
- 濡れた状態での表面性状:灌水、降雨、泥、洗浄水などによって濡れる場所では、乾燥時だけでなく濡れた状態での滑りやすさを確認します。
- 厚さと耐摩耗性:薄いシートは取り扱いやすい反面、局部的な荷重、石、脚立、台車などによる摩耗や損傷を受ける場合があります。
- 下地と排水:軟弱地盤、凹凸、石、ぬかるみがある場合は、シートだけで問題を解決しようとせず下地処理も検討します。
- 清掃性:土、培土、植物残さなどが堆積する場所では、清掃方法や水洗いの可否を確認します。
- 農産物との接触:農産物を直接シートへ置く場合は、直接接触用途への適合性や衛生管理方法をメーカーへ確認します。
農作業用シートで起こりやすい失敗
「農業用」と書いてあれば用途を問わず使えると考える
農業用シートには、通路用、養生用、防草用、被覆用など性質の異なる製品があります。
農業で使用するという点が共通しているだけで、用途は同じではありません。
メーカーが示す用途を優先します。
ゴムマットなら滑らないと考える
ゴムという素材名だけでは防滑性能を判断できません。
表面形状、硬さ、水や泥の付着、床面とのずれ、勾配などによって滑りやすさは変わります。
特に濡れる作業場では、実際の使用条件に適した製品か確認します。
シートを敷けばぬかるみが解消すると考える
シートやマットによって足元を確保できる場合はありますが、水そのものの排出能力は改善しません。
排水不良が原因なら、排水溝、勾配、地盤、排水設備などを先に確認します。
通路用シートを防草シートとして選ぶ
通路を覆えば一時的に雑草の生育が抑えられる場合がありますが、防草性能が保証されるわけではありません。
長期防草が目的なら、遮光性、耐候性、貫通抵抗性、固定方法などを考慮した防草シートを選定します。
薄いシートの上を台車や農機で繰り返し走行する
人の歩行を想定したシートと、車輪による繰り返し荷重を想定したマットでは必要な強度が異なります。
タイヤの荷重だけでなく、旋回、段差、石との挟み込みによって局部的な損傷が発生します。
走行用途ではメーカー仕様を確認してください。
農作業用シート取り扱いメーカー・代理店
| 製造・発売元 | 製品名・製品群 | 素材・構造 | 主な用途・特徴 |
|---|---|---|---|
| オカモト株式会社 | 農業用シート | 黒色シート。現行公式カタログ規格は厚さ0.30mm、幅183cm、長さ50m。 | 農地の通路確保や農作物の一時保管などに使用。表面に絹目のエンボスを設けた作業用シート。現行公式カタログでは遮光などの被覆材として使用しないよう注意されています。 |
| 有限会社魚瀬ゴム | 農作業用マット | 粉末再生ゴム製。基本サイズ250~700mm×2000mm、厚さ5・7・10mm。イボタイプ、コインタイプなど。 | 作物間の通路、ぬかるみやすい場所、観光農園、種苗用ハウス、選果場などを想定したゴムマット。歩行や農業機械の移動に利用されます。 |