ハウス被覆資材(ビニールハウス・屋根ビニール・厚手シート)

ハウス被覆資材(ビニールハウス・屋根ビニール・厚手シート)
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ハウス被覆資材(ビニールハウス・屋根ビニール・厚手シート)とは

ハウス被覆資材とは、ビニールハウスや温室などの施設園芸において、外部環境から作物や花を保護し、安定した生育環境を維持するために使用されるカバー素材です。これらの被覆材は、栽培作物の種類や気候条件、ハウス構造に応じて選定され、花卉栽培や野菜栽培など幅広い用途で活用されています。

近年では、単なるカバー素材ではなく、 耐久性・保温性・光線透過性・防曇性・遮熱性 など多機能を備えた高性能シートが普及しています。特に 厚手ビニールシート  屋根ビニール は、寒冷期の温度管理や強風・積雪への対策としても重要な役割を果たし、農業の省力化と品質向上に貢献しています。

ハウス被覆資材の種類

ビニールハウス用の被覆資材は大きく「軟質系フィルム」と「硬質系フィルム」に分けられます。用途や耐用年数、コストに応じて最適な素材を選ぶことが大切です。

軟質系フィルム(柔軟で扱いやすいタイプ)

軟質系フィルムは主にパイプハウスや屋根型ハウスに使用され、柔軟性に優れ施工が容易です。以下は代表的な種類です。

  • 農業用ビニール(農ビ):透明性が高く保温性に優れ、花卉や野菜の栽培に最適。耐久年数は1〜2年程度。
  • 農PO(ポリオレフィン):紫外線に強く4〜5年の耐用。厚手タイプは屋根ビニールにも推奨。
  • フッ素フィルム(ETFE):透光率が高く、10年以上使用可能な高耐久タイプ。
  • 農サクビ(酢酸ビニルフィルム):防曇性・耐寒性に優れ、曇天時も安定した光を確保。
  • 中空シート・発泡シート:断熱性が高く、冬季の保温目的に最適。 

硬質系フィルム(高耐久・長寿命タイプ)

硬質系フィルムは主に鉄骨ハウスの屋根や壁面に用いられ、長期使用を前提とした強度を持ちます。

  • ポリエステルフィルム(PET):耐久性が高く、光線透過率も良好。
  • 硬質波板:強度があり、風・雪・雹などに対して優れた耐性を発揮。 

ビニールハウスのビニール選び方とポイント

ハウス被覆資材を選ぶ際は、光線透過率・保温性・散光性・防曇性・耐久性の5点を重視します。以下にそれぞれのポイントを解説します。

  1. 光線透過率
    光線透過率は、作物の光合成や生育に大きく影響する重要な要素です。農ビや農POはおおよそ90%前後の透過率を持ち、フッ素フィルムはさらに高い透過性を誇ります。透明度が高く汚れにくい素材を選ぶことで、花や野菜の光合成を効率的に促進し、作物の健全な成長や色付きの向上にもつながります。

  2. 保温性
    保温性は、夜間の冷え込みや温度差から作物を守るために重要な要素です。厚手ビニールシートや赤外線吸収タイプの被覆材は、夜間の熱損失を効果的に抑えます。特に農ビは赤外線の吸収率が高く保温効果に優れ、農POも多層構造によって高い保温性能を発揮します。

  3. 散光性
    散光性の高い被覆資材は、ハウス内の影を減らし、均一な光を作物全体に届けます。花卉栽培では色鮮やかさを保ちやすく、直射日光によるヤケ(葉焼けや果実焼け)を抑制し、果実や花の色付きの向上にも効果があります。

  4. 防曇・流滴性
    ビニールハウスでは、外気との温度差によってハウス内面(フィルム内側)に結露水が発生します。結露が作物に付着すると光線透過率の低下や病害の発生を招くおそれがあります。防曇性(ぼうどんせい)や流滴性(りゅうてきせい)を備えた被覆材を使用することで、結露水をフィルム内面に沿って流し、付着を防ぎながら病害の発生を抑制できます。防曇加工が施されたビニールを選ぶと、より安定した栽培環境を保つことができます。

  5. 耐久性とコスト
    耐久性とコストのバランスを考慮することは、ハウス被覆資材を選ぶ上で欠かせない要素です。使用年数や張り替えの頻度を踏まえ、初期費用がやや高くても長期的にコストパフォーマンスの良い素材を選ぶことが重要です。特に長期運用を想定する場合は、フッ素フィルムなどの高耐久素材が管理の手間を減らし、結果的に経済的な選択となります。

ハウス被覆材の張り替え時期と注意点

ハウス被覆材の寿命は、素材の種類や気象条件、使用環境によって大きく異なります。長期間使用することで性能が低下し、作物の生育に影響を及ぼすこともあります。以下のようなサインが見られたら、張り替えを検討しましょう。

  1. 光線透過率の低下
    汚れや黄ばみにより光が通りにくくなり、光合成や成長に悪影響を与える可能性があります。
  2. フィルムの破損やひび割れ
    風・雪・台風などの影響で損傷がある場合は早めの交換が必要です。
  3. 表面の汚れやベタつき
    汚れの蓄積は透過率を下げる原因となるため、定期的な洗浄と点検が大切です。

張り替えの目安は、以下を基準に考えるとよいでしょう。

  • 農ビ(農業用ビニール):1〜2年程度
  • 農PO(ポリオレフィン):4〜5年程度
  • フッ素フィルム(ETFEなど):10年以上の長期使用が可能

張り替え作業は規模が大きく、天候や作業条件にも左右されます。風の少ない日を選び、農繁期を避けて計画的に実施することが望ましいです。こうした定期的なメンテナンスを行うことで、ハウス内の環境を安定させ、被覆材の性能を最大限に活かすことができます。

まとめ|用途に応じた最適なハウス被覆資材を選ぼう

ハウス被覆資材は、作物や花の品質、さらには農業経営の安定に直結する重要な要素です。軟質系フィルムと硬質系フィルムの特性を理解し、ビニールハウスの屋根や側面など、用途や栽培環境に応じて最適な被覆材を選定することが大切です。

適切な資材を使用することで、光線透過率や防曇性、保温性の確保が容易になり、省エネ効果や収量・品質の向上が期待できます。特に花卉栽培では、光線透過性と防曇性の高い素材を選ぶことで、花の色鮮やかさを保ち、安定した開花環境を維持できます。

また、耐久性とコストのバランスを考慮し、素材ごとの寿命に合わせて計画的に張り替えを行うことが重要です。これにより、被覆材の性能を長く保ち、長期的に効率的で安定した農業経営を実現できます。

加えて、地域の気候や風土、栽培環境は場所ごとに大きく異なります。実際の導入や張り替えを検討する際には、近隣の先輩生産者の経験を参考にしたり、地域事情に詳しい農業資材店やハウス施工業者に相談することが大切です。現場で得られる具体的なアドバイスは、被覆資材の選定精度を高め、より確実な成果につながります。

施設園芸を成功させるためには、環境や作物に最も適したハウス被覆資材を見極め、地域の知見も活かしながら上手に活用することが何よりの鍵となります。

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