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 WTO農業交渉再開 来年1月末ごろの合意目指す

2007/11/27

 世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)は、WTO事務局のあるスイス・ジュネーブで農業交渉事務レベル協議を今週、再開した。来年11月の米大統領選を見据え、各国は早期合意に向けた最後の努力を続けている。だが、合意すれば、日本の農業には確実に転機が訪れる。(飯塚隆志、財川典男)

■年内合意断念

 年内合意を目指してきたWTOのパスカル・ラミー事務局長は、21日の記者会見で「年内は打開や大きな進展ができない」と公式表明した。7月にWTOの交渉議長が出した農産品と、鉱工業製品の扱いに関する議長案に各国が反発し、10月に出す予定だった改訂版を出せるめどが立たないからだ。

 議長案には、高い関税が許される重要農産品の全農産品に占める割合などが幅をもって示されていたが、最終版となる改訂版は幅をなくすか、「誰が見ても落としどころのわかる幅」になるため、「変な案を出すと即交渉が決裂する恐れがある」(経済産業省)。

 落としどころがなかなか見つからないが、農業交渉は最大の交渉当事者である米国の動きを見据え、各国の交渉担当者が「交渉を前に進めるという思いは共通」(甘利明経済産業相)している。

■厳しい議長案

 農業交渉議長案が突きつけた日本にとっての厳しい分野は、コメなどの重要農産品だ。議長案は高い関税が許される重要品目の割合を「有税品目の4~6%」としており、10%以上を求めてきた日本の主張と大きくかけ離れている。

 議長案を日本に当てはめた場合、その数は40~60品目。品目数はコメだけで精米や玄米、米粉など17品目にも分かれている。小麦(20品目)や乳製品(47品目)、砂糖(56品目)を加えた4品目だと140品目にもなる。

 これらの中には比較的関税率が低めのもあるが、関税率が100%以上の品目だけでも国内には約130品目。日本は韓国などの食糧輸入国とともに、100品目以上になる10%以上を求めてきたが、食糧輸出国の中には1%を主張する国もあり、日本の主張がそのまま受け入れられる余地は限りなく少ない。



 仮に今の議長案の上限6%で決まったとしても重要品目は60にとどまり、その他品目は関税率の大幅引き下げが求められ、国内農業への影響は計り知れない。

■農政の転換も

 米国も農業補助金の分野で大胆な削減が求められ、議長案は各国に痛み分けを求めている。そんななかで各国が早期合意を目指すのは、ポスト・ブッシュ政権では、同じ共和党政権でも貿易自由化に対する熱意が後退し、民主党政権になれば保護主義傾向が強まって合意どころでなくなるとみられているからだ。

 米大統領選の日程から逆算すると、合意が必要な時期は「来年1月下旬ごろ」(甘利経産相)。農業分野で決裂すれば「WTOの自由化交渉そのものが今後一切できなくなる可能性もある」だけに、各国は必死だ。

 ただ、7月の参院選で、農家の所得保障政策を掲げた民主党が圧勝して以降、自民党も農業保護に大きく傾き始めている。議長案の改訂版が国内に大きな波紋を広げかけるのは必至だ。

11月27日22時40分配信 産経新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071127-00000992-san-bus_all