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 実りを求めて:模索する長野の農業/1 台湾(その2止) /長野

2007/01/01

 ◇台湾市場に魅力
 ◇国が輸出を奨励、活性化や国際競争力強化へ
 ◇手間や厳しい検疫など、積極的輸出にハードル
 農産物の海外輸出は、国が旗振り役となって奨励している。主戦場は台湾を含むアジアだ。
 アジアの経済成長などを踏まえ、05年に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」は「(日本の)高品質な農産物や食品は輸出拡大の好機」としている。農林水産物輸出額を05年の3310億円から、13年までに1兆円規模とすることが目標だ。
 背景には、世界的な人口増や地球温暖化により、食糧需給に不安定要因が生じてきたことが挙げられる。国内の食糧自給率(カロリーベース)は、65年の73%から下落を続け、05年は40%と多くを輸入に頼る。農業の活性化や国際競争力の強化は急務だ。93年には国内の凶作で米不足となり、タイ米の緊急輸入が騒動に発展するなど、ぜい弱な食料事情を露呈した過去もある。
 農林水産省は15年度の自給率目標を45%と掲げた。苦しい日本の農業に「攻め」を求めており、実現可能性には疑問符が付くが、喫緊の課題であることに変わりはない。
 農産物の輸出を巡っては、それを取り仕切る自治体や農協ごとに取り組みに温度差がある。リンゴについては、生産量日本一の青森県(05年は約42万トン)は積極的で、2位の長野県(同約18万トン)は慎重と対照的だ。
 リンゴを輸出する環境は整ってきた。台湾では中部の梨山でリンゴが取れるが、質は劣る。輸入量は10万トン台で、大半はアメリカ産。チリ、ニュージーランド、韓国からも輸入している。
 台湾は02年に世界貿易機関(WTO)に加盟し、関税率が輸入価格の50%から20%に引き下げられ、輸入制限枠(2000トン)も撤廃された。それまで、日本からのリンゴの輸出は年間1000トン強だったが、現在は1万5000トンを超える年もある。シェアは2けたに達した。
 輸出されるリンゴの約95%は青森産だ。長野物産展が開かれた裕毛屋では青森産の「陸奥」「世界一」が販売されていた。青森県りんご果樹課によると、同県は明治時代からリンゴを輸出してきたという。輸出目的はそもそも生産過剰による価格下落を防ぎ、国内需要を調整するためだった。今では年間1万トン以上を受け入れる台湾市場は、国内の四国より大きく、中国地方と匹敵する規模に成長している。15年には3万トンの輸出を目指すなど、今後も力を入れる方針だ。
 長野県からの輸出量は500トン前後。県内のリンゴの多くが集まる全農長野に対しては現在、台湾への輸出を求める流通業者から問い合わせが数多く寄せられている。輸出の場合、港渡し価格は国内市場よりも1割から1割5分ほど高いものの、選果場での手間や台湾の厳しい検疫などがあり、積極的な輸出には至っていない。
 全農長野果実グループの片桐邦俊グループ長(50)は「果実生産は右肩下がり。輸出で国内の流通をおかしくしてはいけない。まずは、国内需要をしっかり固めることが大切」としている。今後の輸出については「海外需要は一つの方策だが、輸出はリスクを背負う。まずは長続きするパートナー(流通業者)を見付けないといけない」と話した。【江連能弘】

1月1日16時1分配信 毎日新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070101-00000074-mailo-l20