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 国際的衛生基準「HACCP」畜産農場も導入の動き

2008/12/25

 食の安全、安心への消費者意識が高まる中、畜産農場にも、国際的な食品の衛生基準であるHACCP(ハサップ)システムを導入しようという動きが活発化している。最終製品の検査だけでなく、原料から消費者が手にするまでの一連の工程をもれなく管理、記録することで、食品に対する安全性を確保しようというシステムだ。さまざまな事件で脅かされた食の信頼を“原点”から取り戻す取り組みとして期待がかかる。(服部素子)

 HACCPはそもそも、1960年代に米国で、宇宙食の安全性を確保するために開発された食品衛生管理の手法。

 食品の原料の入荷から製造、出荷までの全工程で危害要因を予測し、その危害防止につながるポイントを継続的に監視、記録することで、安全を確保しようというシステムだ。それにより、不良製品の出荷を未然に防ぐことができるという。

 導入にあたっては、その製品に合ったHACCPプランの作成が必要で、プランは7原則12の手順で構成され、内部検証と第三者による外部検証が求められる。

 農林水産省の「平成18年度食品産業動向調査」によると、食品製造業でこのシステムを導入している企業は全体の14・6%。販売金額規模50億円以上の大手では約7割が導入(導入途中も含む)している。牛乳・乳製品、鶏卵加工品を含む畜産分野の導入率が高い。

 こうした動きを背景に、加工原料の供給元である農場でも、病気になった家畜の摘発に重点を置いた従来の衛生管理法に対し、飼料添加物や動物用医薬品の使用、注射針の残留など、危害が予測されるポイントをコントロールすることで、健康な家畜の飼養につながる農場HACCPへの関心が上昇している。

 農水省動物衛生課によると19年度末現在、都道府県の家畜保健衛生所のすすめにより、農場HACCPを取り入れているモデル農場は2000カ所。21年度には認証基準を策定し、25年度には肉牛、乳牛、豚、鶏など全畜種で5000農場での運用を目指している。

 こうした中、大阪市内で今年11月に開かれた動物臨床医学会年次大会(動物臨床医学会、財団法人鳥取県動物臨床医学研究所主催)の公開シンポジウムでも、食の安全に対する獣医師の役割という視点から事例が紹介され、話題を呼んだ。

 事例を発表したのは、15年から福岡県飯塚市の農事組合法人「穂坂牧場」(肉牛肥育850頭、従業員9人)での農場HACCP導入をサポートする筑豊総合家畜診療所の獣医師で、九州獣医師HACCP研究会「農場どないするねん研究会」の犬丸憲之さん。

 同牧場では農場HACCPの導入により、病気の減少(1・8%→0・9%)▽質の向上(枝肉販売価格のアップ)▽クレームの減少▽食品副産物の活用によるエコフィード(リサイクル飼料)のコストダウン▽情報開示による消費者の信頼確保-といった効果が上がっているという。

 しかし、外部から遮断された食品工場と違い、農場は放牧など常に外界と接触している環境にある。加えて素畜(もとちく)(肥育前の子牛や子豚など)の導入から出荷までの管理期間が長く、食品の製造、加工段階の煮沸滅菌のような病原体を殺菌、滅菌する工程がないなど、安全性にかかわる内容は非常に複雑で多岐にわたる。

 犬丸さんは「農場HACCPの成否は、導入した農場が現状作業分析をすることにより、個々の重要管理点を明確にし、必要な教育、訓練を受けた従業員が定められた手順や方法を日常業務の中で正確に守れるかに負うところが大きい」と話している。  

12月25日8時2分配信 産経新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081225-00000054-san-soci