トップページへ 農業関連記事 農業資材取扱店 更新内容 情報掲載 お問合せ
 
農業関連記事
←前の記事 記事一覧 次の記事→

 WTO交渉凍結長期化必至 農業問題が依然ネックに

2008/12/16

 WTO(世界貿易機関)の新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)は、閣僚会合の開催が見送られたため、交渉凍結の長期化が必至となった。保護主義化の動きだけでなく、2国間や多国間で自由貿易圏拡大の動きが強まる見込みだ。日本には、WTOからの農業開放圧力がなくなったが、農業の開放ができなければ、各国が拡大を目指す自由貿易圏から取り残されることになりそうだ。

 閣僚会合の正式断念は、WTOのラミー事務局長が「年内大枠合意の見込みがない」と判断したためだ。二階俊博経済産業相は15日、「早期妥結に向け、最大限の努力をする」とコメントしたが、米国で来年1月に誕生するオバマ政権が交渉体制を整えるのに時間がかかるほか、インドで5月に総選挙があることなどから、交渉の凍結は長期にわたる見込みだ。

 また、閣僚会合さえ開けなかったことは、年内の大枠合意を促した11月の金融サミット(緊急首脳会合)などの世界的な合意事項を軽視させることになる。金融サミットでは、「今後1年間、貿易で新たな障壁を設けない」ことを求めたが、ロシアが自動車関税の引き上げを決めるなど、保護主義の動きが出始めた。

 世界全体での自由貿易体制推進が見込めないことは、2国間や多国間での自由貿易体制の推進を促すことになる。韓国はEU(欧州連合)と、自由貿易協定(FTA)を早期に妥結しようとしている。これが実現すれば、EU域内への日本製自動車や電機製品の輸出が、韓国製品に比べて大きなハンデを負うことになる。

 シンガポールとブルネイ、ニュージーランド、チリの4カ国による経済連携協定(EPA)交渉には、米国やオーストラリアなどが参加方針を表明しているが、日本は「農業問題がネックになってとても参加できない」(経産省幹部)状態だ。

 日本はこれまでも2国間や多国間でのEPAを推進してきた。ASEAN(東南アジア諸国連合)とのEPAは、今月になって発効した。ただ、日本が目指すASEANと日中韓、オーストラリアなどを加えたEPAは、構想段階のままで、実現の見通しはたたない。

 オーストラリアとは2国間のEPA交渉を行っているが、「牛肉と乳製品の輸入拡大を迫られ、農水省が思考停止状態」(経産省幹部)との声が聞かれる。韓国がFTA締結で合意済みの米国とのEPAも、農業問題がネックで、構想どまりだ。

 望月晴文経産事務次官は15日の会見で、「(EPA交渉では)優先的な国との交渉の進展を図るべく、もう一度計画していく必要がある」と述べたが、オーストラリアや米国など、今後の交渉相手国には農業問題が立ちはだかるケースが多く、農業改革が進まない限りは世界の動きに乗ることはできない。  

12月16日8時33分配信 フジサンケイ ビジネスアイ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081215-00000024-fsi-bus_all