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 バイオ燃料の国際基準 日本方針 「天然林転用に歯止めを」

2008/12/03

 農林水産省は、自然環境と共生しながら安定的な成長を目指す「持続可能性」をテーマに、バイオマス(生物由来の有機資源)燃料の国際基準に対する日本政府の基本的な考え方をまとめた。

 このうち、バイオマス活用の意義については「地球温暖化防止、循環型社会の形成、エネルギー安全保障の向上に貢献し、地域活性化や雇用にもつながる」と評価し、現在放棄されている耕作地などを活用することで食料安全保障や農林水産業の新領域の開拓にも役立つとの考えを示した。

 国際社会では、主要8カ国首脳会議(G8)の下に設けられた「国際バイオエネルギー・パートナーシップ(GBEP)」によってバイオ燃料の持続可能性の基準や指標についての検討が進められている。2009年4月末までに報告書をまとめ、次回のサミットに提示する計画だ。この報告書に日本の意見を反映させる狙いから、そのベースとしてまとめたのが、今回の「基本的な考え方」だ。

 7月の北海道洞爺湖サミットでは、首脳宣言に「バイオ燃料の生産と使用について科学に基づく基準と指標を策定するためGBEPが他の利害関係者とともに取り組むことを呼びかける」との内容が盛り込まれた。

 GBEPが現在検討している基準は、バイオ燃料について、成分の比率などを示す「規格」ではなく、バイオ燃料を定義付ける基本方針。「いずれ規格の議論は出てくるかもしれないが、その前段階として必要なのが考え方だ」(環境バイオマス政策課)。

 日本の「基本的考え方」自体に特段の目新しさはないが、個別テーマごとには日本の主張が打ち出されている。

 例えば「温室効果ガス」の項目では「ライフサイクル全体を通じた温室効果ガスの排出量を把握し、化石燃料に比べて排出量を増加させない」と記述し、既存農地の転用などに関する項目でも「土地利用変化や森林減少に歯止めをかけるような基準とすべきだ」と主張している。

 この背景には、一部途上国では天然の熱帯林を伐採し、そこでバイオ燃料用の作物を栽培しているケースもあるのではないかとの懸念もある。

 環境負荷が少ないとされるバイオ燃料だが、その生産のために二酸化炭素(CO2)の吸収源である森林を破壊するのでは本末転倒。製品化に至るまでのバイオ燃料の履歴を調べ、土地利用変化が検証できれば、同燃料をめぐる懸念の払拭(ふっしょく)にも役立つはずだ。

                   ◇

【予報図】

 ■「持続可能性」実現の議論必要

 環境配慮の時代となり、化石燃料の利用削減が求められるなか、バイオ燃料の活用はうなぎ上りに増えている。

 代表的なバイオ燃料であるバイオエタノールでは、2007年の世界生産量が6年前の01年に比べて2倍強に増加した。

 植物は成長する際、光合成によって大気中のCO2の炭素原子を取り込んで有機化合物を生成、植物の“体”をつくる。このため、植物由来のバイオマスを燃やしてCO2を発生させても、その植物の“一生涯”を通じてみれば大気中のCO2総量に増減は生じない。つまり“カーボンニュートラル”というわけだ。

 バイオ燃料については今後も市場の拡大が予想されるが、一方で、課題もある。

 その代表例が、バイオ燃料用作物栽培のために熱帯林が伐採されたり、食料用の穀物と競合して食料不足や穀物価格の高騰を招く問題だ。

 バイオ燃料の持続可能性について、国際基準の策定が急がれる理由もここにある。来年中の国際合意に向けた取り組みが進んでいる。

 バイオ燃料に関しては、その前提として森林保全があることはいうまでもない。とりわけ途上国にとって、バイオマス産業の育成と森林保護の両立は、貧困問題の克服とも密接に関係するだけに、「持続可能性」についてもその定義だけでなく、それを実現するための具体的措置の論議も今後活発化させる必要がありそうだ。(佐藤哲夫)  

12月3日8時31分配信 フジサンケイ ビジネスアイ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081202-00000048-fsi-ind