トップページへ 農業関連記事 農業資材取扱店 更新内容 情報掲載 お問合せ
 
農業関連記事
←前の記事 記事一覧 次の記事→

 国産バイオ 大増産へ始動 技術開発など多くの課題

2007/02/25

 国産バイオエタノールの大増産構想が本格的に動き出す。政府は「2030年までに年間生産量600万キロリットル」を掲げ、実現に向けた「工程表」を作成した。ただ、達成には、技術開発など多くの課題が残る。議論の過程では関係省庁・業界の間の温度差も表面化した。構想は絵に描いた餅に終わることにならないか、実行力が問われる。【位川一郎、松尾良】

■農水省は大きな期待

 現在30キロリットルに過ぎない年間生産量を600万キロリットルに引き上げる目標は昨年11月に松岡利勝農相が提案した。ガソリン消費量の約1割に当たる量だ。温暖化防止、資源の有効活用、地域活性化に役立つとして、安倍晋三首相が具体化を指示。工程表を含む報告書が、農林水産省を中心とした関係省庁の「バイオマス・ニッポン総合戦略推進会議」によって22日にまとめられた。
 600万キロリットルの原料別内訳(農水省試算)を見ると、サトウキビ、規格外小麦などの既存原料は5万キロリットルにとどまる。大半は稲わら、木材、資源作物(コーリャン、多収穫米など)といった新しい原料に頼る形だ。食料用に生産されている既存原料を大量にバイオエタノールに振り向けると、穀物価格の高騰や食料自給率の低下につながる懸念があるためだ。
 新しい原料が使えるようになれば、未利用の資源や耕作放棄地を有効活用できるため、「攻めの農政」の一つとして農水省は大きな期待を寄せている。ただし、それには技術開発が絶対条件。1リットル当たり100円とした生産コストの目標も高いハードルだ。
 バイオエタノールを普及させるには、制度面の整備も必要になる。ガソリンへの混合率は現在、法律で3%まで認められているが、報告書では混合率の引き上げを課題の一つに上げた。税制優遇についても「検討する」とした。

■決め手にはならず

 工程表づくりの議論では、エネルギー政策を担当する経済産業省が農水省と対立した。経産省は当初から「600万キロリットル」に対し「非現実的だ。数字を入れると言われたら席を立つ」(幹部)と反発。ガソリン消費の急減を恐れる石油業界も「地に足のついた政策を」(渡文明石油連盟会長)と繰り返しけん制した。結局、報告書では600万キロリットルの数字を「別紙」にだけ記載することで何とか折り合った。
 経産省は昨年、自動車など運輸部門の石油依存度を現在の100%から、30年までに80%まで引き下げる目標を掲げた。バイオエタノールについても、実際の販売に向けて今年5月ごろまでに品質確保や脱税対策をまとめる。ただ、最大の生産国ブラジルさえ、将来需給がひっ迫するとの予測から「脱石油の決め手にはならない」とみている。
 このため、経産省はクリーンディーゼル、電気自動車用バッテリーなどとバイオ燃料を組み合わせた新戦略を、政府の「骨太の方針」に盛り込む意向だ。

 【ことば】バイオエタノール サトウキビ、トウモロコシなど植物に含まれる糖を発酵して作るアルコールで、ガソリンと混ぜ輸送用燃料に使われる。石油製品と異なり、植物の成長過程で二酸化炭素を吸収するため、温暖化防止に効果があるとされる。欧米では広く実用化されており、05年の生産量はブラジル1670万キロリットル、米国1500万キロリットルに上る。  

2月25日10時19分配信 毎日新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070225-00000007-maip-bus_all