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 <米価>止まらぬ下落…所得補償で加速も

2010/02/04

 コメの値下がりが続いている。09年産米の作柄は作況指数(平年=100)98の「やや不良」だったものの、景気悪化を受けた消費低迷で08年産の古米も売れ残り、コメ余りが解消されていないためだ。農林水産省は4月から稲作農家の赤字分を補てんする「農業者戸別所得補償制度」をスタートさせるが、制度自体が米価下落を促すとの見方もある。消費者には追い風だが、米価が下がるほど所得補償に費やされる税金は膨らむだけに、今後の価格動向が注目される。【行友弥、太田圭介】

 ◇安値志向、消費低迷…

 農水省は毎月、全国農業協同組合連合会(全農)などの集荷業者が卸業者にコメを売る際の相対取引価格を調べ、公表している。それによると、昨年12月の全銘柄加重平均価格は60キロ当たり1万4754円と1年前より408円安くなった。

 特徴的なのは、高級銘柄米の下げ幅が大きいことだ。12月はコシヒカリが栃木産で前年同月比8%、茨城産で7%、新潟産で3%など、軒並み下落したのに対し、「きらら397」など北海道産米は1年前とほぼ同じ水準を保った。

 農水省が調べた12月の平均小売価格も、新潟・魚沼産コシヒカリが4・2%、新潟産(一般)コシヒカリが3.5%の下落だったのに対し、きらら397は0.1%の上昇だった。

 コメ情報調査会社「米穀データバンク」の高橋芳郎社長は「不況で低価格米に人気が集まり、卸業者同士の取引では値上がりしている銘柄もある。一方で高級なコメは敬遠され、売れ残る傾向がある」と解説する。

 安値志向に加え、コメ消費も低迷している。08年まで高値が続いた小麦の価格が下落に転じ、値下がりしたパンやめん類に消費が回帰しているためだ。

 総務省の家計調査によると、2人以上の世帯が購入したコメの量は昨年11月に前年同月比18%減、12月も13%減と、2カ月連続で2ケタの落ち込み。コメ卸大手の木徳神糧(東京)は「景気悪化を背景に家で食事をする『内食』が増えても、コメの消費増につながらない」と嘆く。

 業界関係者によると、民間流通業者が抱える08年産米の在庫は、年間消費量の6%にあたる約50万トンに上るとみられ、需給両面で米価を押し下げる要因となっている。「価格が上昇に転じる要素はほとんど見あたらず、当分は値下がり傾向が続く」(高橋社長)との見方が一般的だ。

 ◇「数量目標」に根強い懐疑論

 米価の下落傾向が続く中、注目されるのが政権交代で導入されることになった農業者戸別所得補償制度だ。

 同制度は、標準的なコメの生産費を標準的な米価が下回る分(恒常的な赤字分)を10アール当たり1万5000円とし、コメ農家に補償する仕組み。「標準的」とは過去数年間の平均を意味するが、単年度の米価が標準より下落した場合は、交付金を増額する仕組みも組み込まれている。

 赤字分が補てんされるため、農家はコメの増産に走りそうだが、農水省は主食用米の需要予測を基に算出した生産量の上限「生産数量目標」を割り当て、それに沿って作付けする農家だけを所得補償の対象とした。このため「過剰生産は回避され、米価下落の心配はない」と同省は説明する。仮に米価が下がっても、それだけ所得補償の魅力が増すので、生産数量目標を守ろうとする農家が増え、結局は生産が抑制されるという理屈だ。

 しかし、懐疑的な見方も根強い。

 生産数量目標の順守を所得補償の条件にする手法は形を変えた減反政策だが、ある卸業者は「過去40年間の減反もうまくいかなかった。農水省の思惑通りに運ぶとは思えない。従わない農家も相当数出るのではないか」と話す。

 需給関係に変化がなくても米価が下がるとの観測もある。秋田県の農業法人代表は「コメ取引に影響が出る。農家側の所得が補償されることを理由に、買い手側は値下げを求めやすくなる」と指摘。低価格志向を強める大手スーパーなどが卸業者に値引きを求め、それが取引価格にも波及する可能性はある。

 鳩山由紀夫首相は1日の衆院本会議で、「所得補償のせいでコメが余るのでは」とただした石原伸晃議員(自民)に「需給はむしろ引き締まる」と答弁した。しかし、もし米価の下落に歯止めがかからなければ所得補償に費やす費用は増え続け、財政負担の急増などで制度自体の存続が危うくなる事態も招きかねない。

2月4日21時53分配信 毎日新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100204-00000115-mai-bus_all