ジュネーブで開いた世界貿易機関(WTO)の公式閣僚会議は2日夜(日本時間3日未明)、2010年3月までに新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の課題点を抽出する「論点整理」を行うことで一致し、閉幕した。ただ、10年中のドーハ・ラウンド合意に向けた道筋を示すことはできなかった。世界的な景気悪化で、各国に保護貿易主義の誘惑が広がるなか、交渉は難しさを増している。 各国とも、関税引き下げ・撤廃など自由貿易化を進めていくことでは一致しているが、品目や関税率、ルールなど各論に入ると対立は根深い。先進国は工業製品の輸出拡大とともに自国の農業保護を目指し、途上国は自国の産業を海外の輸入品から守ろうとする。その上、加盟153カ国・地域の産業構造はさまざまで対立構図は複雑を極める。 乗り越えるには政治判断が求められるが、その前に既存の規則や法律との整合性をどうとるかなど技術的な問題は少なくない。何を問題として取り上げるか、論点整理は確かに交渉の土台となる。ただ論点整理さえ政治的な要素を含んでおり、各国の警戒心を呼び起こしかねない。 今回の閣僚会議では、一部加盟国が交渉加速のためにも論点整理を閣僚級で行うべきだと主張していたが、WTOのラミー事務局長は「時期尚早」と判断し、事務レベルで作業を進める方針を示した。何とか前進したとはいえ、今年7月にイタリアで開かれた主要国首脳会議(ラクイラ・サミット)、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)で必要性が確認された2010年中の交渉妥結に向けた道筋を示すことができなかった。 貿易立国である日本は、ドーハ・ラウンド推進を強く主張すべき立場にある。10年のAPECは日本が議長国を務め、1994年にインドネシアでの首脳会議で打ち出された域内の先進国が「自由で開かれた貿易および投資という目標を達成する」ボゴール目標の期限でもある。日本が交渉をリードする大きなチャンスだ。 そのためには、交渉上“弱点”となっているコメなど農産物について、自由貿易拡大と両立できるような政策を早期に確立することが求められる。(粂博之) 12月4日8時16分配信 フジサンケイ ビジネスアイ http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091203-00000010-fsi-bus_all |