和歌山県南部の農村部で、廃校舎を活用して作られた農業体験宿泊施設「秋津野ガルテン」(田辺市上秋津)が11月1日でオープン1年を迎える。利用者は年間で当初予測の4倍近い5万人に達し、自治体からの視察も相次いでいる。地元産の料理にこだわり、農家が共同出資して運営会社を設立するユニークな運営方式。一連の取り組みは、全国の農村の生き残りへのヒントになるかもしれない。 平成18年に移転した市立上秋津小学校の廃校舎を活用。地元食材を使ったバイキング形式のレストランや、梅やミカンなど地元産の農作物の加工体験などもできる複合的な施設だ。 当初、市は廃校舎を取り壊す計画だったが、跡地の有効活用に加え、少子高齢化や農家の後継者問題などを抱える地元の将来像を模索するため、地域で跡地利用の検討委員会を設立。「グリーンツーリズム」(都市と農村の交流)という発想のもと、農業を生かして雇用や産業をもたらす施設を作ろうと土地と建物を購入した。その際、運営会社を設立する資本金として1口2万円の株式購入を呼びかけたところ、地元の290人を含む全国489人が賛同、計4180万円が集まった。 年間利用者は約1万3千人と見込んでいたが、今年10月末で約5万人に上った。運営会社「秋津野」の玉井常貴副社長は「広域合併が相次ぐ中で、住民主体の農商工の連携作りが注目を集めているのではないか」と話す。 人気はやはり、地元主婦が交代でシェフを務めるバイキング形式のレストラン。昼のみの営業で、休日には県外客が4~5割を占める。玉井副社長は「地産地消で安全で素朴な食品が時代に合っている」と分析する。 行政やNPOなどの視察が毎月10件以上あり、のべ100件を超えた。農林水産省の招きで米国やマレーシアなどの大使館員らも訪れた。廃校舎活用の成功例として研究対象になることも多く、玉井副社長は「単なる経済活動にせず、地域作りにつなげたい」と話している。 10月29日22時19分配信 産経新聞 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091029-00000621-san-soci |