【’09衆院選 どうなる経済】過保護農政競う自・民  2009/08/12

 ■「50%達成」どちらも無理?

 総選挙でも、農業政策は大きな争点となっており、自民、民主両党はマニフェスト(政権公約)で食料自給率50%の達成を掲げる。ただ、政権交代を視野に入れる民主党の「戸別所得補償」に象徴されるように、票目当ての“過保護”農政の色合いが強い。やる気のある農家の意欲を引き出したり、企業の農業参入を促すなどの成長戦略が欠如しており、自給率の上昇にはつながらないとの声が大勢だ。(田辺裕晶)

 民主党の公約の目玉の一つである所得補償制度は、県や市町村ごとにコメ、麦などの生産量目標を設定し、売り上げが生産費(全国平均)を下回り赤字が出た場合、その全額を農家に直接支払う仕組みだ。年度の予算は1兆円で、農業関係の公共事業の見直しなどで捻出(ねんしゅつ)するという。

 生産目標を守らない農家は制度の対象外とする方針。コメの減反政策については、減反を実施しても米価の下落が止まらないことへの農家の不満を受け、廃止を打ち出した。

 これに対し、自民党は減反政策の堅持を掲げる。米価を安定させることで、農家の所得を維持。その上で大豆や麦、飼料用米などへの転作をする農家に補助金を支払う。また、農地を貸し出す農家への交付金の支給などで、農地の集約・大規模化を促進するほか担い手育成なども盛り込んだ。

 両党の政策の基本的な枠組みは、生産量を国が管理して、減り続ける農家の所得を補助金で下支えするというものだ。農業を産業として育成するとの視点は希薄で、“ばらまき”を競っているのが実情だ。

 政府の規制改革会議などは「農業の産業化促進のためには、企業の参入を促す農業生産法人の要件緩和などが欠かせない」と指摘してきたが、農業団体の反発に配慮し、両党とも公約では触れていない。

 自民は競争力強化に欠かせない農地集約を盛り込んだが、やる気のある借り手ではなく貸し手を補助するという「本末転倒」だ。民主の所得補償には、農家からも「世論の反発を買うだけ」との不満がもれる。

 宮城大学の大泉一貫副学長は「両党の公約には自給率を上げるプロセスが見えない」と指摘。「農家の所得を穴埋めする政策では健全な農業は育たない。農業を成長産業にするためには、人材育成と大規模化による生産性向上が必要だ」と警鐘を鳴らしている。

8月12日7時57分配信 産経新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090812-00000064-san-bus_all

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