世界貿易機関(WTO)は25日のパリでの非公式閣僚会合で、夏までに次官級会議を開き、多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)を再開することで一致した。ただ、会合では米国と新興国の足並みの乱れがさっそく露呈。「早期妥結」を掲げる日本も農業分野で大幅な譲歩を迫られるリスクを抱えている。【行友弥、赤間清広】 「相当な努力が必要だ」。石破茂農相と会合に出席した二階俊博経済産業相は、ラウンド推進を歓迎する一方、今後の交渉の難しさをにじませた。 ラウンド交渉は01年にスタートしたが、決裂を繰り返してきた。昨年7月の非公式閣僚会合でも、自国産業保護のため緊急輸入制限の拡充を求める新興国と米国の対立が解消せず、交渉は物別れに終わった。 今回の会合では、米国のカーク通商代表が10年中の最終合意を目指す方針を表明。従来以上に2国間の協議に力を入れるよう提案した。対立する新興国を個別に説得する狙いがあるとみられるが、インド、ブラジルなどは即座に難色を示した。 主要国は7月の主要国首脳会議(サミット)なども活用して交渉の前進を探る方針。しかし、経済危機で保護主義の流れが強まる中、「各国の譲歩の余地はむしろ狭まっている」(政府関係者)という見方もある。 ◇懸念は農業分野、高まる日本への市場開放圧力 日本にとって最大の懸念は、農業分野の市場開放圧力が高まっていることだ。日本は昨年7月、大幅な関税引き下げの例外となる「重要品目」の数を全品目数(1332)の8%とするよう求めた。しかし、WTOのラミー事務局長は原則4%、条件付きで6%とする裁定案を提示。品目数では53~80となり、現在200%以上の関税を課している101品目の多くが漏れることになる。 国内農家が厳しい国際競争にさらされることになり、裁定案に沿った合意は農業団体や与野党の強い反発が必至。しかし、交渉の焦点が鉱工業品分野を中心とする米欧と新興国の対立に移る中、農業分野で日本の主張が通る可能性は低い。 年内妥結が遠のき、日本は農業については時間的猶予を得た形だが、米国が中国やインドなどと交渉を進展させれば、日本はさらに孤立を深めることになりかねない。石破農相は25日のカーク通商代表との会談で「期限設定より、実質的な議論の積み上げが大事」と強調した。 6月26日21時33分配信 毎日新聞 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090626-00000154-mai-bus_all |