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地産地消:「食の安心」求めて 「作り手の顔が見える」(その2止) /三重 2009/01/01

 ◆健康朝市--伊賀・きじが台
 ◇新鮮野菜で町活性化 住民とJA共催「住みよい地区に」
 屋根付きテントが張られた100平方メートルほどのスペースで、地元産の野菜や果物があっという間に売り切れていく。伊賀市上神戸のきじが台集会所で毎週水曜朝に開かれる「きじが台健康朝市」は、住民ボランティアによる運営委員会がJAと共催する珍しい形式の青空市だ。
 きじが台地区は市の南端に位置し、約300世帯(800人)が生活している。近鉄大阪線美旗駅まで徒歩約20分という立地だが、地区内にスーパーや商店はなく、水道を共同井戸に頼る未給水地域。開発した不動産業者の倒産などで不安定な給水に悩まされてきた。
 健康朝市は00年、地区の水道対策を話し合う会の代表だった西村三郎さん(73)が、自治会の活性化を模索するなかで、「地元の新鮮な野菜をまちづくりに生かせないか」と、JAいがほくぶに提案して実現した。以来、同JA管内で登録した農家13軒が、地区住民を対象に野菜や果物を割安な価格で販売。住民も加わっての運営で、今年は開設10年目を迎える。
 西村さんは「青空市ですべての食料品を賄うには限界がある。大型スーパーでの買い出しを補うため、週の半ばに新鮮な野菜を売っています」と定着の秘訣(ひけつ)を話す。昨年12月17日には、すべての野菜が半額となる年末感謝セールも実施した。
 「地産地消」という言葉が広く知られる以前から、住民主導型の青空市を実施してきた、きじが台地区。西村さんは「住みよい地区にするため、周囲の農家と持ちつ持たれつで長く続けたい」と話している。【伝田賢史】
 ◆茶屋 花の岩屋--熊野・有馬町
 ◇“古代米”で観光客増
 ◇トイレや公園整備、地元産品30種販売 「世界遺産」が追い風
 熊野市では、地元で取れた古代米を活用、名所・花の窟(いわや)神社前に設けた茶屋で餅にして売るなど、観光と結びつけた地産地消の取り組みが行われている。
 神社は、日本書紀に「イザナミノミコト、紀伊国の熊野の有馬村に葬りまつる」と記された地とされ、ご神体は高さ45メートルの一枚岩。毎年春と秋の大祭では、住民たちが稲わらで編んだ長さ約170メートルの大綱を、ご神体の頂上から、近くの七里御浜海岸まで張る「お綱かけ神事」を行っている。
 地元・有馬町の住民たちは、神事を町の活性化につなげようと95年、「有馬を創造する会」(和田生会長)を設立。市に掛け合い、神社前に公衆トイレと公園を整備してもらい、神社が「紀伊山地の霊場と参詣道」の一つとして世界遺産に登録された04年には、参拝者をもてなす「茶屋 花の岩屋」(木造平屋20平方メートル)を開いた。
 茶屋は、住民たちが土日祝日に開店し、参拝者にお茶を無料で振る舞うとともに、地元特産の「サンマずし」など計30種類を販売。立ち寄った観光客は営業日だけの集計で04年度には1万2000人を数え、08年度は2万3000人になる見込みで、人気を呼んでいる。
 そこの名物の一つが古代米を使った商品。町内に古代米が出土した遺跡があることから栽培を始めた。古代米は粒の弾力と味の良さが特徴で、その玄米と小豆入りの餅「お綱もち」を売り出し好評。現在古代米のアイスクリームやパンも試作中だ。
 古代米を栽培する速水孝晏さん(74)は「08年は20アールで800キロを栽培した。地域の女性たちがローストチキンの腹に香味野菜と一緒に入れることなどの活用法を考えている。10年は、更に20アール増やす予定」と話した。
 県北部から熊野市までの自動車専用道が13年度に開通する。住民らはそれを視野に入れ、茶屋近くの環境整備も検討している。メンバーの山川寛さん(73)は「地元産の農産物を販売する無人市場や駐車場を広げるなどして、更に多くの人に来てもらいたい」と話している。【汐崎信之】
 ◇「売り手と買い手、信頼関係が第一」
 「食の安心安全」が叫ばれる中で、食品表示に関する相次ぐ法改正には、生産者から戸惑いの声も上がる。
 有機認定制度を盛り込んだJAS法は00年に施行され、06年に新JAS法へと移行した。改正で旧JAS法の認定を受けた事業者も、今年2月末までに再度認定を受け直すことが必要になった。しかし、農水省によると、全国約5700の旧認定事業者のうち、昨年9月末時点で1997の事業者が再認定を受けておらず、新規登録を含め、新JAS法の認定は3620事業者にとどまっている。
 再認定が進まない原因を、県内唯一の有機登録認定機関、全国愛農会(伊賀市別府)は「認定に基づく栽培を経験して、もうしんどいという農家が多い」と分析する。認定を維持するには、農業生産の記録や書類の作成など事務作業が膨大で、「多品目にわたる野菜を、個人農家が一つ一つ記録するのは至難の業」だという。栽培法が制限されるため、昔から有機栽培を営む農家の中には反発もあり、あえて認定を取得しないことも多い。「認定を受けないと有機JASマークは使えないが、有機の表示が無くても信頼して買ってくれる消費者に独自ルートで販売している」(愛農会)という。
 農家だけではない。伊賀や熊野など名の通った牛を扱うことの多い、この地区の食肉業者にも戸惑いは広がる。牛肉も牛トレーサビリティー法の施行で牛の個体識別が徹底され、事務量が増えた。伊賀食肉組合の森脇秀彦組合長は、「今までちゃんとやってきた業者には(相次ぐ制度改正に)歯がゆさもある」と打ち明け、「時代に合わせたコンプライアンス(法令順守)は必要だが、まずは売り手と買い手の信頼関係を構築することが第一だ」と話している。【金森崇之】
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 ■ことば
 ◇有機JASマーク
 99年のJAS法改正で定められた。農作物や加工品はこのマークがなければ「有機」と表示できず、「無農薬」「減農薬」といった紛らわしい表示をすることも禁止されている。農水省登録の認定機関が調査・認定し、2~3年以上化学肥料や農薬を使わなかった土地で収穫されることなどが条件となる。
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 ■ことば
 ◇トレーサビリティー
 食品などの生産や流通にかかわる履歴情報を追跡できるようにすること。「牛トレーサビリティー法」では、牛の出生時に10けたの個体識別番号を付け、店頭で販売される牛肉の包装にも表示を義務づけている。卸・小売業者が不適正な表示をし、是正勧告や改善命令にも従わない場合は30万円以下の罰金が科される。
〔伊賀版〕

1月1日17時0分配信 毎日新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090101-00000097-mailo-l24

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