和歌山県串本町の重畳山で栽培されているポンカンの木に、シカによる食害が深刻化している。電気柵や網を設置しても防ぎきれず、農家は「シカ対策に追われ、農作業がはかどらない」と頭を悩ませている。被害の深刻な農家の6人は、今月中にわな猟免許の取得を目指すという。 重畳山は1967年に国のパイロット事業で開発され、ポンカンの産地となっている。重畳山果樹生産組合(36戸)の田中忠会長(64)=同町伊串=によると、シカによる食害が出始めたのは4年ほど前から。最初は小さな枝の葉をかじられる程度だったが、3年ほど前から、幹周りの皮もはがされるようになった。 田中さんの園では、5~10年前に植えた苗木120本の多くが食害に遭い、残ったのは30本ほど。3年前にネットを設置したが、かみ破られるため、毎年新しくしている。今年は昨年までのものより目の細かい、ナイロン製のネットを1・5メートルほどの高さに張り巡らせたところ、被害が少なくなっているという。 田中さんは「なんとか防がないと。食害に遭うと細い枝は枯れていく。木が高齢になってきていることから、今後も被害が続くと木に負担がかかるだろう」と話す。わな猟免許を持った組合員がいないため、取得を目指すという。 体験観光農園「四季彩園」を経営する竹田敏明さん(58)=同町姫=の農園では、一昨年の6~7月、約50本がシカの食害に遭った。対策としてひもを4 段に張り巡らせ、鈴も設置したが効果があまりなく、昨年はネットを設置。そのネットもかみ破られたため、今年は目の細かい金網を設置したが被害は止まらず、30本ほどが被害に遭った。苗木を囲んだ網の結び目がほどかれ、中の苗木が食べられたこともあったという。 竹田さんは「草刈りや枯れ枝切りなどをしなければいけないのに、シカ対策に手間がかかってしまう。対策も最初は効果があっても、シカが慣れてくると効果がなくなる」と嘆く。 ポンカンを栽培して約40年の堀竹治さん(77)は、電気柵を設置しているが効果は薄く、昨年は約50本、今年も約50本の枝や幹がシカの食害に遭った。電気柵の下から首を突っ込んだり、飛び越えたりして侵入するシカを何度も目撃したため、柵の間隔を狭めたり、支柱に返しを作ったり、金網を設置したりしている。「小さい木は被害に遭うと成長が止まる。栽培意欲も削がれてしまう。園全体を囲むためには600メートルくらい金網を設置しないといけない」と肩を落とす。 竹田さんと堀さんも、わな猟免許の取得を目指す。 町は、鳥獣被害防止のため、電気柵や防護柵、ネットなどの材料費の半分(限度額10万円)を補助している。今年4月からは、農業者がわな猟免許を取得する場合、町と県が費用の4分の3を助成しているほか、町は有害駆除でシカを捕獲した場合の報償金を5千円から1万円に引き上げている。
7月6日17時3分配信 紀伊民報
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