県内で栽培されているスモモの高級品種「貴陽」の着果率が例年の6割程度にとどまっていることが、県とJAが5月に行った調査で分かった。着果率とは、標準的な結実数に対する実際の結実数の割合。県農業技術課によると、開花時期にあたる3月下旬の低温や天候不順によって十分な受粉ができなかったため。農家からは「収入が減るのでは」と不安の声が上がっている。 同課によると、スモモの人工授粉に適した気温は15度以上。しかし、甲府地方気象台によると、貴陽の開花期にあたる3月下旬の平均気温(甲府)は7・4度だった。 JAこま野によると、県内の貴陽の栽培面積の約半分を占める南アルプス市での着果率は例年の4割程度という。一般的な品種「太陽」「ソルダム」も例年の7割程度しか結実していない。 約10アールの畑で貴陽16本を栽培する同市落合の農業、塩沢寿雄さん(66)は「例年は1本の枝に3~4個の実がつくが、今年は1個だけの枝が多い。いつもなら摘果する実も、今年は収穫量を増やすためにそのままにしておこうと思う」と話す。 塩沢さんは15年ほど前に貴陽の栽培を始めたが、結実状況は過去最低という。また、4月も低温が続いた影響で、実の成長も例年より1週間ほど遅れている。「実が成熟しないと、どれくらいの値がつくのかわからないが、今の状態だと不安です」と、塩沢さんは表情を曇らせる。 県農業技術課は「病害虫の発生を防ぐなどして、ついた実はしっかり収穫できるよう指導していきたい」と話している。 貴陽は平均重量200グラムほど。小ぶりの桃とほぼ同じ大きさで、淡黄色の甘い果肉が特徴だ。JAこま野によると、露地物の貴陽は7月中旬から下旬に出荷され、東京都内には1個1000円前後で販売する店もある。【山口香織】
6月11日11時36分配信 毎日新聞
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